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2012/09/21(金) NO.734号 

一日も早く日本版NSC(国家安全保障会議)設置を

 尖閣諸島を巡る問題が悪化しつつある。中国側からの挑発が断続的に行なわれており、ついには軍艦までもが尖閣諸島の北方海域に展開されていることが判明した。もちろん過剰な反応は避けるべきで、平和的な対策をまずは検討すべきである。

 中国の反応が「想定を超えていた」などと日本の首相がテレビであっけらかんと述べているのを見て各国は腰を抜かしただろう。総合的な外交・安保戦略の失敗・欠如をトップ自ら世界に発信するような国はどこにもない。しかしこれは、民主党政権の危機対応能力欠如の一端に過ぎない。

 折しも今年の6月、日本経済新聞社が、米戦略国際問題研究所(CSIS)の協力を得て設立した日経・CSISバーチャル・シンクタンクにおいて、日本版NSC(国家安全保障会議)を創設すべきとの提言がまとめられた。

 日本でこの日本版NSC(国家安全保障会議)の創設を、政府として最初に打ち出したのは安倍内閣だった。実際に法案を作成し、国会に提出をしたのも、歴代で安倍内閣のみだ。しかし、安倍内閣が退陣して後、民主党政権になって以来もずっと、この議論は店晒しにされることとなった。

 2010年には菅総理が、2011年には野田総理がそれぞれ日本版NSC創設に触れてはいる。しかし、国家戦略会議同様、法的根拠を立法によって与える覚悟もなく、小手先、格好付けだけの提案としか思えない。我々自民党には既に出来上がった法案があり、政権交代後、直ちに成立させることができる。

 民主党政権の危機意識のなさは、今回の尖閣問題で更に際立っている。一昨年の尖閣諸島における中国漁船との衝突事故の際は、官邸、外務省、海上保安庁、検察が対応の責任を押し付けあい、省庁間の政策調整や政治的リーダーシップがまったく発揮されなかった。あの時こそ、海保ビデオで明らかになった中国漁船のわが国領海内での不法行為に対しては、わが国の法律で裁判にかけ、有罪となり、その後に国外追放することが、ここに領土問題が存在しない事についての最も分かり易い世界へのメッセージとなっていたはずだった。

 しかし民主党政権は、中長期の戦略的視点に欠けた、とにかく不透明で場当たりな対応に終始した。その結果、無事に釈放された漁船船長は英雄として帰国し、中国に「やり得」だとの印象を与え、その失敗が現在の尖閣危機へとつながった。しっかりと国内法に則り裁いていれば、今日のような混乱は起こらなかったはずだ。

 さらに言うなら、こうした事態を招いたそもそもの遠因は、鳩山首相のうかつな基地発言以来の日米関係における相互信頼感欠如が、同盟関係の基盤を弱体化させている、との印象をアジアや世界に与えたことにある。

 周辺国とのパワーバランスが変化するときこそ、外交・安保の戦略的舵取りが一国の死活問題につながる。平時から独自の事務局に集まる政府内外の豊富な情報に基づき、日本の中長期的な外交・安保戦略を静かに地道に練り上げておく必要がある。

 それに対し、民主党政権が政府内に今般設置した「尖閣不法上陸に対する関係閣僚会合」「竹島の領土問題に関する関係閣僚会合」のいずれにも、防衛大臣が呼ばれていなかったとは仰天だ。我々の日本版NSCは、総理、官房長官、外務大臣、防衛大臣の4人が基本メンバーだ。こうした安全保障のしっかりとした枠組みなしで、いざ有事に政治が毅然たるリーダーシップを発揮することはできない。

 総裁選でも安倍元総理は、マニフェストの柱としてこの日本版NSC創設を掲げている。韓国・中国・ロシアなど、自民党時代には考えられなかったほど周辺国との緊張が高まってしまった。新総裁の下で一日も早く政権を取り戻し、外交・安保政策の総合司令塔機能、日本版NSCを設置しなければならない。
 

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