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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2001/06/21(木) NO.190号 

「骨太の方針」を断行せよ!

 経済財政諮問会議が「経済・財政運営の基本方針」、いわゆる「骨太の基本方針」を決定した。医療をはじめとした社会保障の中味など、今後具体化するにあたっての課題は山積だし、不良債権処理との関連で財政面での緊縮政策導入時期などについて若干心配している点があるが、基本的にこの「骨太の方針」は断行しなければならない。私自身、竹中大臣とも意思疎通しており、認識は概ね共有している。参議院選挙後が勝負だ。
 
 その心配な点、やや不十分かな、と思う点とは何か。それは一番大事な不良債権処理に関し、引き続き「破綻懸念先以下」のみをその処理対象としており、「要注意先」の企業・産業再生策、銀行での処理策はどちらかといえば民間任せで、殆ど欠落したままな点だ。整理回収機構(RCC)の活用が最後の二日で急に書き込まれた事は、私がかねてから主張してきた事なので歓迎だが、金融庁の担当者に確認すれば、その対象債権は「破綻懸念先以下」だけであり、緊急経済対策の枠組みは一歩も出ないとのこと。これを突破口に、今後政策に幅を持たせていくしかないだろう。
 また、不良債権処理状況を示すという「新たな指標」も説明を聞いてみるとちょっと心配になった。例示されている「不良債権比率」「与信費用比率」のいずれも分母は「総貸出」。金融庁はこれらについて日米比較をしているが、圧倒的に銀行貸出が多い日本と直接金融中心の米国をこのような指標で比べてはミスリーディングだ。やはり、経済全体へのインパクトを見るには不良債権などを名目GDPなど経済規模をより良く示す指標と比較しなければならない。しかも、与信費用比率は、オールジャパンで一本の指標だというが、全国一本の指標を見てどうするんだろうか?不良債権は、結局一本一本の貸出案件の問題だし、一行一行の銀行の存続の問題なのだ。
 もう一点心配なのは、財政支出の厳格な上限設定を先にしてしまうと、構造改革を断行していくうちに政策的に手足を縛られる事になるのではないか、という点だ。「財政支出=国債発行」という考えにとらわれすぎると、政策手段に困る事になるまいか。私が「10年ビジョン」で唱えている様に、国有資産の売却、証券化、民営化がファイナンスの方法である事を忘れてはならないし、政策の順番(不良債権処理と財政構造改革)にも十分注意すべきではないだろうか。それほど不良債権問題は大きい問題なのだ。

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