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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2020/04/22(水) NO.825号 

求められる素早い決断の連続

 昨日は、朝夕のウォーキングを除けば、東京目黒区の方の自宅で一日一人で完全テレワーク。

 午前中に、愛媛大学医学部の先生とウェブ会議。マスクに止まらず、新型コロナウィルス感染リスクから消毒用アルコールの需給もひっ迫、かつて500ml当たり400円程度だった小売価格が高騰、一時ネット上では1〜2万円にもなっていた。厚労省は4月10日、「やむを得ない場合、高濃度エタノール製品を手指消毒用エタノールの代替品として用いることは差し支えない」との「事務連絡」を自治体宛てに発出したが、これに対し、元々、原料用アルコールを取り扱ったり、自ら蒸留施設を使って高いアルコール度の酒類生産を行ってきた酒蔵が既に国税庁の了解の下で消毒用アルコールを今月初から発売開始している。さらに、昨日、関連免許の緩和措置も国税庁は発表した。

 高知県・安芸市の菊水酒造や富山県・砺波市の若鶴酒造などがそうだ。しかし、問題は、この消毒用エタノールには、消費税以外に、高い「酒税」がかかっており、元々医療崩壊寸前で苦労続きの医療機関やクラスター発生で厳しい状況の高齢者施設等にとって、想定外の高い「酒税」を払って感染防護をしなければならない事になっているのだ。例えば、菊水酒造では、4月10日に「アルコール77」という消毒用アルコールを販売し始めたが、500mlの小売価格が1320円、うち酒税額が385円、酒税割合が29%と、高い酒税負担となってしまっている。酒税なかりせば、1000円以下の価格となるのだ。

 今、命と健康を守ることが最優先でありながら、このような高い税率の追加負担を酒税を通じて背負わなければならない事は、国家としておかしい。得をするのは、酒税が入る国税当局だけだ。国税庁幹部に、コロナ危機期間限定で良いから、酒税は免税とすべきではないか、と提案したが、法改正をしないと無理だ、との回答。しかし、酒税法第一条には、「酒類には、この法律により、酒税を課する」とあり、さらに二条には「『酒類』とは、アルコール分一度以上の飲料とすることができるもの」とある。病院や部屋の入口にある消毒用アルコールを、密かに飲む人間がいる、とでもいうのだろうか。一部の不逞の輩を排除するために、その他すべての国民が高い税負担をする理由はないのではないか。国税庁、財務省が国家的危機に際し、物事を正しい優先順位で、最大限のスピード感を持って決断することを望む。

 一方、「最低7割、極力8割の接触削減に協力を」と政府は国民に要請しているが、その国家の最優先課題に逆行している事がひとつある。それは、上場会社約2300社、一定規模以上の大企業約4200社の決算確定、株主総会開催問題だ。3月期決算の多いわが国の企業と監査法人は、3月末から5月にかけて決算を確定し、会計監査を行い、会社法に従って三カ月以内、すなわち6月末までに株主総会を開くのが通常だ。その準備のために、企業の経理担当者、監査法人の双方とも、通常、昼夜を問わず作業を重ねるが、今回は新型コロナ感染防止のため、テレワーク中心と行きたいところだが、決算事務や監査、となれば、なかなかそれでは効率が悪く、結局会社に出社、結果として「3密」となってしまっている。減らない電車通勤者の結構多くは、この決算業務関係者かもしれない。この解決のためには、株主総会を延期することだ。ところが、これまでのところ、株主総会延期を発表したのは、東芝1社にとどまっている。

 そこで、金融庁はじめ、法務省、経産省、公認会計士協会、経団連等が4月3日に、連絡協議会を立ち上げ、株主総会を開いても、一旦継続、とし、決算が確定、監査が完了した時点で総会を再開する、か、配当と議決権行使の基準日を延期するか、の法解釈の上の選択肢を示したが、企業は、投資家の反応を気にしつつ、企業間の「横並び意識」から、総会を延期する動きは全く起きて来ない。本来は、会社法を緊急に改正し、株主総会を延期できるようにすべきだろう。

 私は、ここは、企業のメンツより、人の命を選ぶべきで、経産省には、経産大臣が談話を出し、現下の日本と世界の危機から脱するためにも、長くて古い企業文化にもなっている6月株主総会を延期し、無理な過剰労働によって「3密」を作らない事を企業が率先して実行し、投資家にも理解してもらうことの決断を促すべきだと提案している。

 消毒用アルコールへの酒税課税にしても、株主総会に向けての「3密」準備作業にしても、ここは、政治と政府が英断を下し、素早い対応をして、最大の課題である新型コロナ感染リスクの回避を図るべきだ。