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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2003/03/02(日) NO.320号 

踏ん張れ、日本!

 2月28日(金)午前11時前発の便にてバンコクへ向け成田を出発。第31回ウィリアムズバーグ会議に参加するためだ。米国のカーラ・ヒルズ元通商代表、シンガポールのトミー・コー元国連大使、日本の室伏稔伊藤忠商事会長の3人が共同議長を務める伝統ある会議。西はパキスタンから東は米国、南は豪州まで、約80人の参加で、台湾、そして何よりも北朝鮮からの参加が目立っていた。北朝鮮は、外務省米州局(American Affairs Department)の局長を送って来ていた。
 
 いつもは50人くらいの参加だそうだが、今回は同じ数の招待状に対し参加率が圧倒的に高く、これまでで最大の参加者だそうだ。イラク、北朝鮮、カシミールなど、域内での緊張が高まっていることと関係しているのだろうか。北朝鮮からは、この会議には2度目の参加。前回は2年前の沖縄での会議だったそうだ。発言は一回型通りの原稿を読み上げた後、私が核兵器を保有するようになれば、アジアの安全保障の枠組みが変わる、と指摘に対し、「北朝鮮は核兵器を保有する意思はない」と応じてきたのみだった。しかし、昼食時や別れ際などに個人的に話す機会があり、先方には関係改善には対話再開以外には選択肢がないことを強調しておいた。
 
 会議全体のテーマは幅広かった。「経済展望」セッションでは「地域の成長」「地域の連携の枠組み」「コーポレートガバナンス」が取り上げられ、「国境を越えた社会問題」セッションでは「アジアのエイズ」「テロリズムと宗教過激派」「環境と資源問題」が議論された。二日目は、「地域安全保障」セッションで「米国の対アジア政策」「米国政策へのアジアの対応」「対テロ戦争と域内安定」「米国国内政治」が熱く議論された。そして、最終セッションでは、「タイ並びにアセアンの今後」と題し、極めて多様な意見が出て有意義だった。
 
 日本に関しては、残念ながら、もはや日本のカムバックを想定してこの地域の枠組みを語る人はいなかった。昨日午前中の「経済展望」のセッションで米国元国務省高官のホルブルックがまとめに際し、「結局今日の議論からもはっきりしたことは、日本経済の問題解決への処方箋を誰も持ち得ていないということだ!」と言い放った。不愉快ながら強烈だった。一日も早く自分のことは自分で始末を付けて立ち直り、こんなことは言われないようにしなければいけない。
 
 今回の会議でも「結局『日本問題』は政治システムの問題のはずだ」とアジアの友人達に指摘されてしまったが、本当に、このまま政策決定方式を変えなければ日本再生はありえない。小泉首相には、昨年3月に自民党国家戦略本部で我々がまとめた「政治システム」で示した具体的改革を我々と共に実行してもらいたい。