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2013/06/29(土) NO.764号 

原子力規制庁官僚の暗躍、跋扈を許さない

 一昨日、ニューヨークに向かう飛行機の中で読んだ27日付けの新聞で、原子力規制委員会の田中俊一委員長が、規制委の職員数について「今の陣容は十分ではない。倍増したい」と定例記者会見で述べ、総務省への来年度の定員要求で職員約500人の増加を求める意向を明らかにした、との報道があった。

 私はかねてより、原子力規制委員会が国民の「信頼と信認」を得るためにすべきことは、福島原発事故の教訓の一つでもある、原子力に関する知見と経験の分断を解消し、原子力規制組織を「高度な専門知識を持つ規制のプロ集団」に進化させ、科学的知見をベースにした独立した規制判断が下せる体制を、一日も早く創設することだと主張してきた。

 そこで我々は、新たに創設される原子力規制委員会に、博士号取得者などを中心に真の専門家集団として原子力規制行政の実体を担ってきた傘下独立行政法人である「原子力安全基盤機構」(JNES)を原子力規制委員会に統合・合体させることにより、規制機関の専門性の欠如、すなわち国会事故調も指摘するところの「規制の虜」状態を克服することを原子力規制委員会設置法に明記した。

 JNES統合の最大の障害は国家公務員の定数の問題。JNES職員は現在公務員ではないので、彼らを皆原子力規制委員会に入れるとなると、当然その分だけ定数が必要となる。行政改革の潮流の中で、国家公務員は減らす流れにある。その中で、JNES職員数500名ほどだけ定数を増やすというのはなかなか困難な課題だ。しかし、原子力の安全は公務員人件費等とは次元の違う問題だ。

 当初田中委員長はJNES統合に後ろ向きで、記者会見等でも我々国会の結論を「拙速」とまで批判していた。しかし、国内のみならず海外からも、規制組織の専門性不足や今後の安全審査などでのマンパワー不足が指摘されてきており、私も衆議院・原子力調査特別委員会での質疑において強く指摘をしてきたところだ。

 そのような中、今回の記者会見での発言に関する報道に接し、ようやく田中委員長も現実を見始めたのだ、と私は好意的にとらえていた。

 しかし、その後の動向を聞いてみると、何と原子力規制委員会の事務局組織たる原子力規制庁の職員らが、田中委員長発言の火消しに回っているとのこと。曰く、「田中委員長は個人的思いを語っただけで、人員倍増などとは言っていない」と。

 敦賀原発の破砕帯評価においても、当時田中委員長は事業者である(株)原電による調査結果に基づく意見提出を待ってから、活断層であるかどうかの判断をする、と公の場である記者会見で言明していた。しかし、その会見直後にその会見場において直ちに、原子力規制庁次長が記者に対し発言を訂正し、委員長発言そのものを覆してしまうという事件があった。それと同じことがまた繰り返されつつあるのだ。

 JNES統合は法律で決められた事項であり、いうまでもなく国権の最高機関である国会を通じた、いわば国民の意思だ。原子力規制委員会設置法の附則第六条4には、「独立行政法人原子力安全基盤機構の職員である者が原子力規制庁の相当の職員となることを含め、このために必要となる法制上の措置を速やかに講ずるものとする」と明記されている。それを原子力規制委員長が実行に移す段になり、何故事務方の官僚がそれを妨害したり覆したりできるのだろうか。

 昨年出版した、原子力規制委員会設置法成立までの軌跡とその意味合いを記した私の著書「ガバナンスを政治の手に―『原子力規制委員会』創設への闘い」でも指摘した通り、独立行政委員会委員とそれを支えるはずの官僚との関係は、すぐれて国家の統治機構、ガバナンスの問題だ。

 今回のような民主的プロセスで選ばれてもいない官僚が、「国会同意」という民主主義のプロセスを経て選ばれた者の意思を裏で覆すことがあってはならない。今後ともこうした国家の行くべき方向性に逆行する官僚組織の勝手な暗躍、跋扈を許さず、引き続き国家を思う良識ある同僚議員とともに、断固とした姿勢で原子力規制改革に全力で取り組む覚悟だ。
 

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