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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2003/12/14(日) NO.335号 

年金改革は二段ロケット方式で

 朝のテレビ政治番組で、年金問題とイラク問題が主に議論されていた。とりわけ年金問題が深刻だ。与党協議や税調幹部会の場でいろいろ決まりつつあるようだが、このまま行くと、自民党は国民の猛烈な反発と批判にさらされそうだ。

 先の衆議院選挙では、自民党が政権公約で「2004年に年金制度の抜本改革を実施」「基礎年金の国庫負担割合を2分の1に引き上げ」と約束した。しかし、その説明文では、「2004年の通常国会に法案を提出する」と書いてあるところから察するに、これは、「現在の公的年金の基本的な仕組みは変えず、5年に一度のいわゆる定例の『財政再計算』を、今までに比べればかなり大掛かりにやります」と約束しただけだった。

 これに対し民主党はそのマニフェストで、「税財源による基礎年金と所得比例部分からなる二階建て年金制度を4年以内に確立します」との、これまでの仕組みから離れた新たな年金制度を提案した。この案では、個人事業主の保険料負担が急増してしまうなど、とてもすんなり納得される案ではないが、少なくとも「抜本改革」的なものは提示した格好だ。

 今日のテレビ番組を見ても、現在与党で検討され、報道されているようなレベルの案では、国民は全く納得も安心もできない、というように映っていた。当然だろう。国民が「抜本的な改革によって安心したい」と思っているのに、「基本的な仕組みはそのままで、このようなとりあえずの手直しでどうですか?」と言っているに等しいからだ。おまけに、保険料の上限を設定する、ということは、上限到達後は給付カットしかない、と本能的に悟られることは必至だ。

 私が選挙直後から言ってきたことは、この年末は選挙直後で時間もないので、とりあえず定例の「財政再計算」は深掘りしてやるが、その後直ちに現在の制度に囚われず、新たな制度構築を含めた抜本的な改革の論議に入る事をまず明確にするべきで、場合によっては与野党の壁を越えた協議の場を設定し、国民的な論議の下で、少し時間をかけて答えを出したらどうだ、ということだった。民主党でも4年かけると言っているくらいなのだから、腰をすえた議論をじっくりしたら良い。要は、「二段ロケット」にする、ということを明確にすべきではないか、ということだ。今回の改正で打ち止めだ、という選択肢だけはありえまい。

 少子高齢化と年金財政が深刻であることは、国民もよく分かっているはずだが、それを改めて丁寧に説明し、財政支出や行革などとセットで年金の抜本改革を提示していくしかないのではないか。