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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2003/12/30(火) NO.336号 

来年も課題は山積

 いよいよ年の瀬。今年も日本にとって新たな領域への歩みがいろいろあった。まずは、イラク問題での決断。私は戦闘終結宣言の日にバクダッド入りしたが、その時に心配した「イラクのベトナム化」の懸念が現実化しかけている。当時は安全だ、と言われたクルド人自治区でも自爆テロが発生するようになってしまった。もちろん総理の政治決断は重たいものだが、一方で、ベトナム戦争の経験においてマクナマラ元国防長官がハノイ対話から教訓を得たように、貴重な命の犠牲をできる限り回避することも考えるべきではないか。また、自衛隊派遣に反対しているはずの民主党の国会議員が、6人も小牧での航空自衛隊壮行会に参加したことはどう理解すべきだろうか?世界におけるわが国の貢献のあり方について、憲法論議を含めて、与野党の壁を超えて整理し直すときが来ている。

 来年に向け、私の年越し案件も山積している。

 まず、行政訴訟改革。自民党司法制度調査会の中で、この問題を受け持つ小委員会の委員長を仰せつかった。先日公表された司法制度改革推進本部検討会の取りまとめの案では、これまでの「官」と「民」のあり方を変えていくには全く不十分だ。

 独禁法改正。「措置体系の見直し」と「独占・寡占規制の見直し」が公正取引委員会の改正案の二本柱だが、これも日本経済の競争力復活の観点から、十分に議論すべきテーマだ。独占・寡占分野における「不可欠施設」が議論の焦点となろうが、やはり公正な競争を確保して、消費者の利益を図るとともに、いかにわが国の産業の競争力を高めていくのかとの視点から考えるべきだろう。措置体系は、不良債権問題の解決や産業の再生と並んで、日本の産業構造を強化するとの観点からも重要な政策である。

 商法改正。「現代化」と称し、平成17年度通常国会へ向けて準備が進んでいるが、さまざまな根本的な改正事項を含んでいる重要案件だ。コーポレート・ガバナンスの強化など世界経済の潮流の変化を睨んだ改正を行っていくべきだ。
 
 特に、公認会計士法の改正と平行して、コーポレート・ガバナンスの改革については、何が必要かを単なる「商法典の現代化」とは別に考えるべきだろう。議員立法で形にしていきたい。

 児童福祉法の改正。児童虐待の横行など、社会の根深い問題に起因する児童の擁護をどう図るか、通常国会での法改正をしっかりしたものにしなければならない。


 NGOの活動の一層の環境整備。ODAにおける位置付けの抜本改革と、NPO税制の改善が不可欠だ。NGOを通じたODAをいつまでも特別なもの、として別枠にすることは早急に止めるべきであり、「無償資金援助」の中に溶け込ませるべきだ。米国のODAの3割強は、NGOを通じて供与されている。NPO税制は、「NGOないしNPOが政府や国際機関とパートナーシップを結ぶことが、NPO、NGO活動の本質に反しない」、との認識に180度転換をしなければ、21世紀のNPO、NGOの活動は伸びていかない。とんでもないNPOも結構ある、との報道が見られるが、だからNPOの全部がけしからん、ということにはなるまい。昨年末の「認定NPO」制度改革はかなり進んだが、相変わらず10団体が20団体程度にまで増えた程度である。財政が窮地に陥っている中で、「民」と「民」との間の助け合いを税制でどのようにバックアップするか、という根本的な問題だ。

 人づくり。奨学金制度などをさらに改革し、ヤル気と責任感のある個性ある若者を育てよう。

 そして、暮らしに直結する年金と介護。年金制度では、抜本的な制度改正を積み残しており、これは2段ロケットで取組むべきだ。また、介護保険も5年目の見直しが迫っている。このように、課題は沢山ある。来年も精一杯頑張ろう。引き続きよろしくご指導、ご支援下さい。そして、何よりも良いお年をお迎え下さい。