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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2008/06/06(金) NO.469号 

ハート購入法案が通らない(6月6日)

 国や地方自治体は、障害者が働いている施設などの物品やサービスを優先して購入しなければならない。こうした努力義務を国、地方に課すことなどを定めた法律案(「ハート購入法案」、正式には「国等による障害者就労施設からの物品等の調達の推進等に関する法律案」)を私たち自民党が議員立法として作成し、去る5月27日に衆議院に提出、今国会での成立を期したが、どうも民主党の反対で通りそうもない。働く機会の増大を待ち望んでいる障害者の皆さんには申し訳ない限りだ。

 現在、授産施設や地域活動支援センター、「就労継続B型事業」を運営する小規模作業所などは、障害者の皆さんにとって地域における重要な活動拠点だが、仕事の確保に苦労されている。また工賃も極めて低い上、昨今は天下り先への優先発注などの不祥事の多発により、発注先を事前に一つに絞る「随意契約」への批判の高まりから、何でもかんでも「一般競争入札」にする、という流れが杓子定規に適用されてしまい、障害者への仕事の発注が減ってしまっている。

 そこで我々は昨年10月に、かつて労働省で障害者雇用対策課長も務められた坂本ゆきこ参議院議員などと一緒に勉強会を立ち上げ、障害者就労施設や障害者団体等からのヒヤリングや、最大のネックになっていた会計法を司る財務省など関係省庁との議論を重ねて法案内容を詰めてきた。

 その結果まとまった法案では、@まず国、地方公共団体、独立行政法人などの公的機関は、障害者就労施設で作られる製品、施設や公園の清掃、売店やレストランの運営サービスなどを優先的に購入、利用する努力義務が課せられ、その結果も公表しなければならない。そのためにA公的機関は、障害者就労施設からの物品等の調達推進に関する基本方針を定め、毎年度、その基本方針に則して年度ごとの調達推進方針も作成義務が課せられる。

 また同法案では将来課題の一つとして、B国、地方の仕事を受けようとする民間企業については、その企業が障害者に関する法定雇用率(1.8%)を遵守しているか、障害者就労施設に仕事をどの程度出しているか、などの実績を評価しながら国、地方からの発注先企業を決める仕組みを3年以内に導入する事も定め、継続的に障害者の就労を支援していく事としている。
 
 そもそも障害者自立支援法は、障害者の就労・雇用促進による所得増、自立の実現が大前提であり、同法は精神障害者も新たにその対象にすることなどを含んでいた障害者雇用促進法の改正とセットで導入された。働く機会の増大なくして、自立はない。当時から私たちは自民党の中で、「小規模作業所支援議連」などを中心に、如何にして障害者の働く機会を増やすかについて議論してきたし、私は内閣官房長官として、格差問題解消策の一つである「成長力底上げ戦略」の中で、障害者施設での「工賃倍増計画」を明確に位置づけた。

 経済が伸び悩み、地方経済の再活性化が必要である中、障害者の就労を増やして欲しい、との声が日増しに高まっている。その意味でもこの法案は重要な意味を持っており、1日も早い成立を、との思いで、衆議院厚生労働委員会の自民党理事が我々の法律案を今国会内に成立させよう、といわゆる「委員長提案」(全会一致で速やかに成立可能な法案)にすべく、民主党とねばり強く掛け合ってきてくれたが、民主党は内容には異論がなさそうであるにも拘わらず、なぜかこの法案に賛成してくれず、このままでは今国会内成立は不可能となっている。こうした問題を政治の駆け引きで犠牲にして欲しくはないものだ。あと一週間ある。民主党の翻意を促したい。

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