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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2005/11/26(土) NO.415号 

戦略的外交の一層の強化を(11月26日)

 三極委員会の朝のセッションは、中国外交部の李肇星部長(外務大臣)のスピーチとQ+A。到着後、控えの間でお目にかかり、ご挨拶。30分ほどのスピーチを聞く。全て英語、それもテキスト(読み上げ原稿)なしだ。あらゆる外交問題への考え方を披露する。なかなかパワフル。

 Q+Aでも、当意即妙に応対する。田中均氏が日中関係に関し、日本だけではなく中国側の問題もあるはず、との指摘をするが、全く取り合わない。両国関係の先行きの難しさを感じさせられる。

 その後、中国に進出しておられる日本企業の代表の皆さんと昼食会。ロシアを含め世界のどの国も、政治が自国産業のプラスとなるように動いているのが常識な中で、現在の日中関係の不正常さが日本企業のビジネスチャンスを失わせる可能性が大きくなりつつあり、困っている、との率直な考えを示される。打開策を真剣に考えなければならない事を実感。

 午後、北京中心部から小一時間の距離にある、日中が戦争に突入するきっかけとなった盧溝橋事件の現地にある、「中国人民抗日戦争記念館」を訪れる。館長の王さんが休み返上で出迎えて下さり、案内を受ける。今年の記念日(7月7日)までに展示内容等のかなりの模様替えをし、未来志向にしたと言われているが、確かに、最後の展示会場には、胡錦涛主席と小泉首相の握手の写真もある。戦闘の始まった、「マルコポーロ橋」も半分まで渡る。改めて、不戦の誓いをする。

 唐家セン国務委員主催夕食会が釣魚台迎賓館にて開かれ、まずは唐氏と参加者全員とが会談。唐氏が、東アジア協力(East Asian cooperation)の重要性、なかんずくその主役はASEANであること、さらにはASEAN+3、ASEAN+1 プロセス、外国にも開かれた東アジア、その延長線上で12月にマレーシアで開催される初の東アジアサミットの重要性、などについて滔々と30分ほど語る。この東アジア協力関係はまだ初期段階であるが、今後益々重要になる事を、ことのほか強調し、中国の今後の外交の大きな柱であることを印象づけた。

 夕食会に移り、唐国務委員のおられるメインテーブルに、7人の参加者と共に座る。かなり率直な会話が弾み、楽しく、中味の濃い夕食会だった。

 今回の訪中で、唐家セン国務委員、李肇星外交部長、委員会参加の中国の学者など、中国側の主張を聞き、改めて日本のよりパワフルな戦略的外交の重要性を痛感する。国家・国民の意思を明確に据えた、変化に応じ、先を見通した骨太な対外政策を格段に強化しなければならない。