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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2006/01/13(金) NO.423号 

新しい国づくりに励むタイ(1月13日)

 今回の私のタイ訪問は、スラキアート副首相の配慮でタイ政府の公式招待となり、滞在中一貫してタイ外務省から一人アテンドが付く。移動の際のパトカー先導はフィリピン同様。

 午後から、タクシン首相が主要閣僚を招集しているとの事情から、タイ政府が午前中に5人の閣僚と会談をセットしてくれる。続いてスラキアート副首相招待の昼食会が行われ、カンタティ外相も同席。その後のチェンマイ滞在を含め、手厚いもてなしを受けることとなり、スラキアート副首相をはじめタイ政府に感謝。

 まず朝一番にタノン財務大臣を財務省に訪ねる。アジア通貨危機直後で日本を含め、アジア経済全体が不安定であった98年に、大蔵政務次官としてここを訪問して以来だ。東京外大、横浜国大留学経験を持つ同財務相とは、EPA、アジアボンド構想、メガ・プロジェクトなど、広汎な話題につき意見交換。特記すべきは、タクシン首相の方針から、もはや日本のODAは活用しない、とされてきたが、タノン財務相から日本の円借款の再活用についての意志表示がされたことだ。巨額な資金を必要とするメガ・プロジェクトの調達コストを下げる方途として考えたい、との発言は理に叶っていよう。

 カンタティ外務大臣とは、極めて良い雰囲気の中で、幅広く議論を行う。本年がタイ国王即位60周年であるとともに、来年が日・タイ修好120周年であるなど、友好をさらに深める良いチャンスとの認識で一致。北朝鮮に関してタイも失踪者がいることが考えられ、3月の同外相訪日時に、その情報元であるジェンキンズ氏と面会したい旨の表明がある。

 ソムキット副首相兼商務大臣はEPA、日・タイ経済の将来を含めかなり明確な自説を持っておられる。中国南西諸州の将来性を強調しておられたのが印象的。

 旧知のスラナン首相府相とは、懸案の日・タイ議員連盟を通じた議員交流の再活性化について話し合ったほか、お互い、政府、政党の広報改革を進めつつある事を確認し合う。
 今回のタイ訪問の招待者であるスラキアート副首相とは、彼がタイ外相としてオーストラリアのダウナー外相と共同開催していたアジア対話の場「クーラム・フォーラム」以来の仲。11月にも彼の訪日時に天ぷらを食べながらミャンマー対策などを議論したばかり。今回はまず、国王即位60周年行事の責任者としての決意表明から始まる。2国間関係の促進について、日本が「ホームステイ型高校生留学」の受け入れを大幅拡大する方針であるとの説明に対し、是非タイにも日本の高校生を送って欲しい、との意向も示され、その場で同席するタイ政府高官、日本の小林大使に、お互い政府部内で急ぎ検討するよう指示を出す。東アジア共同体関連でも今後に向けた意見の摺り合わせを行う。国連改革については、改めて日本の立場への支持表明がなされる。

 続いて首相府において同副首相主催昼食会がカンタティ外相も加わって開かれる。和やかながらもミャンマー問題等について建設的意見をお互い出しながら、意義あるひとときとなった。

 午後、タクシン首相の懐刀であるパンサック首相補佐官発案の「Thai Creative Design Center」を訪問。日本のウォークマンがなぜヒットしたか、日本人の感性の属性分析などを行うエグジビションが近々開催される予定で、会場設営が始まっていた。世界中のデザイン関係の蔵書、DVD等を集めた図書室では、タイのデザイン関係の若者が勉強やミーティングを熱心に行っている。何と建築家でたまたまタイを訪れている小林大使のお嬢さんも昨日、ここに勉強に来ていた、というほど値打ちのあるところのようだ。JETRO の黒田所長並びに同センター代表の案内を受けながら見学。感覚の先端性に感服する。その後、同じ建物内で「一村一品運動」の結果新たに産み出されつつある個性ある製品を集めたショップを見る。タイの伝統文化と現代の若者の感性の融合の結果を見る思いだった。 
 その後タイ中央銀行のバンディット副総裁を訪問、日・タイ経済見通し、アジアボンドやチェンマイイニシアティブ等地域協力の今後、コーポレートガバナンス問題など、幅広く意見交換を行う。

 夕食をとりながら日本企業関係者等との意見交換を大使公邸にて行う。日・タイEPA交渉でタイ側から出された要望にそれなりに理がある点など、多くを教えて頂く。

 それにしても、4年ぶりに来たバンコクの変わり様は大きい。かつてのエンジン付き輪タクのような「トクトク」はもはや町中で殆ど見かけず、走る車は9割方綺麗な日本車。高速道路、地下鉄、高架鉄道の建設などにより交通渋滞も以前に比べれば圧倒的に改善。タクシン首相が日本から学びながら導入した「一村一品運動」は、タイの人々のやる気を起こさせ、古いものと新しいものとの融合を起こさせ、間違いなくタイ社会は前に向かってダイナミックに動いている、と感じた。学ばれた当事者の日本はさらに頑張らないといけない。そして、大事なことは、学んでくれたことに値するだけの日・タイ間の深い信頼関係を実現しているか、ではないか。言葉だけの「東アジア共同体」では手にするものは少ないはずだ。

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