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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2021/01/04(月) NO.848号 

看護師等の届出は法定義務化すべし

新型コロナ感染症の新規感染拡大が止まらない。東京都をはじめ、医療現場の切迫度合いも増す一方だ。

医療崩壊寸前だった北海道・旭川市や大阪市に、応援看護師、保健師の派遣が国や他の都道府県、日本看護協会等を通じて行われたのに加え、自衛隊の看護師までもが派遣されたのは、つい先日だ。喉元過ぎれば熱さを忘れる、とは、この事だ。当時、看護師さんや、時に医師の皆様までが、集中治療室などの消毒や掃除まで受け持ち、疲労困憊されている実態が明らかとなった。政府もそうした業務の外部発注費用を予算化せざるを得なくなるほど、看護師等の人手不足と医療現場の疲労は限界に近い。改めて、最前線で頑張って頂いている医師、看護師さんなど医療関係者には深く感謝したい。

そうした人手不足解消を図るとともに、非常時の医療供給体制の維持のため、医師、歯科医師、薬剤師は、2年ごとに、氏名、住所、勤務先などを、知事を経由して厚労大臣に届け出なければならないことが法律に明定されている。しかし、いま最も疲弊し、人材がひっ迫している保健師、看護師、助産師については、業務に従事している者のみ都道府県知事への届出の法的義務があり、それ以外は、医療機関等を離職した場合にのみ都道府県ナースセンターへの届出の「努力義務」止まり。任意の届出のままでは確保できる看護師が足りず、現在の看護師不足解消は到底できない。感染爆発の可能性も指摘されていることを踏まえると、医療人材確保に関する政府の本気度が問われる。

厚労省に訊くと、「復帰する意思のない有資格者が相当数おられるであろう中、全員に届出を義務化することの合理性や、関係者の合意を得ることは難しい」とし、義務化しようとの考えは希薄だ。しかし、これだけ医療崩壊への警鐘が打ち鳴らされ、特に看護師の職場離脱の増加と人手不足が深刻化している今、国民の命を守るため、という大きな大義だけでも、法定義務化を正当化するのに十分ではないか。感染症危機は、国の安全保障問題でもある。当事者である日本看護協会も、私の地元の看護協会・連盟を含め、法律による届出義務化に大いに賛成をしている。

そもそも、自衛隊の看護チームに緊急派遣をお願いするのは、民間医療サイドや行政の努力が尽きたときに要請するものであるはずなのに、12月には、いとも安易に防衛省にすがった政府の姿勢に、私は強い違和感を覚えた。政府内でまずやるべきことをやり、自衛隊はラスト・リゾートとするのが常識だろう。

同じ厚労省の大阪労働局が、「潜在看護師」3500人余りに2019年にアンケート調査したところ、条件付きではあるが、85%もの方々が復職を希望していることが分かった。「潜在看護師70万人」、の証左か。夜勤を免除するなり、柔軟な勤務体制を組むなり、事前研修を国が責任を持って用意して最新の医療技術にキャッチアップし易い配慮をする、など条件整備をしっかり行えば、不安なく職場復帰して頂ける看護師さんたちはかなりの数おられ、医療崩壊回避は可能ではないか、と私は思う。

遅すぎることはない。1月18日召集と言われている次期通常国会に、政府は離職中の者を含めた保健師、助産師、看護師の届出を法的に義務化する法案を提出し、医療ひっ迫の重圧が現場の看護師に集中しないようにし、ひいては、国民に安心して医療を受けられるよう、早急に対応すべきと考える。

医師法、歯科医師法、薬剤師法と同様の条文を用意するだけであり、決断さえすれば、直ぐにも法案は準備できるのではないか。

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