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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2014/04/13(日) NO.791号 

より住民の心に寄り添う政治、行政を

 以前から、松山インターチェンジに近い、松山市北土居町の町内の各種集まりの際に、必ず出る話題がある。「平成3年に都市計画決定され、20年余り。大きな道路が住宅街を抜けることが決まっているのに、一向に具体化しないが、高齢化も進む中、住居の移転等をどうしたらよいのか決めかね、困っている」というお叱りだ。

 高速道路の松山インターチェンジを降りたところから西に、歩行者、自転車、ミニバイクなどは通れない自動車専用道を中心とする「松山外環状道路」が松山空港に向かって工事が進んでおり、先月には、松山インター付近約1.2 km が供用開始され、にぎやかに開通式も行われた。しかし、事業化が決まり、工事が現実に進んでいる路線は、インターのすぐ東側を南北に走る国道33号線から西に向かって松山空港までの 全長 8.6 km 。国道33号線から東に伸びる国道11号線までの約 2 km は、路線だけ決定されているものの、全く動きがなく、道路が抜ける北土居町、今在家町、来住(きし)町、とりわけ住宅が多い北土居町の皆さんから懸念の声が強い。

 昨日、私の音頭で、この道路に関係する国・県・市の担当責任者と北土居町の幹部との話し合いの場を、北土居集会所で持った。国土交通省・松山河川国道事務所、愛媛県土木部道路都市局、松山市都市整備部の三者と、歴代の北土居町内会長や改良区総代など、総勢10人余りの集まりだ。

 冒頭、私から会の趣旨、とりわけ、この20年余り、行政からのフォローアップ情報が何もないまま、地元住民がいかに困っているかを説明した。道路建設路線が決まっていながら20年以上にもわたり、高齢化と住宅老朽化が進み、一方で道路の工事開始が決まらないまま住宅を移転するにも移転できず、その間、近隣の宅地にはどんどん家が建ち、将来同じ町内で住居移転しようにもそのような土地はなくなりそうで、不安が募るばかり、というのが正直なところであることを伝えた。

 国・県・市からは、計画路線の地図を指し示しながら、都市計画決定がなされているため、必ずいつかはこの道路はできること、道路となる計画路線がどこを走っているかを知るには、指定状況を示す地図が愛媛県庁、松山市役所に備え付けられており、誰でも閲覧できること、しかし、公共事業抑制が進む現状では、現在進行中の外環状線の松山空港に向けての延伸完成の目途が立たないと、国道33号線以東の計画路線での事業化は難しく、それが何年先になるかについては責任が持てない旨の説明がなされた。

 また、計画路線の地図のコピーを関係する世帯全戸に配布するか、北土居集会所に一時的にせよ備え付け、20年余ぶりに自らの目で確認してもらったらどうか、との私の提案に対し、役所側からは、「工事開始が近々決まる、との誤解を招いては混乱が広がるので、県庁、市役所に来て地図を確認してもらうか、各戸でコピーを渡さずに地図を見てもらうかにしてほしい」との回答だった。

 それに対し、地元町内幹部からはまず、20年前どころか、住民説明会は昭和57年くらいから5回ほどあり、住民たちは優に30年以上は行政から放置されたままで来たことが指摘された。それも、あたかも数年後には道路は完成するかのような印象すら住民は受け取ったという。さらに、20年余りぶりに見た地図では、自分たちの記憶しているより計画道路が幾分南にずれている感じがする、との疑問が提起された。もちろん、役所からは即座に、計画路線は全く変わっていないので、南にずれることはあり得ない、との回答があった。

 ここまで来て、私には政治や行政と国民との関係における問題のある側面を実感した。手続き上、都市計画決定をする際には、住民説明会開催が義務付けられ、その際には地図を見ながら説明され、考えることができる。しかし、その後は、経済低迷・財政悪化、公共事業批判などで、四半世紀近くもこうして放置され得ることとなる。また、これは我々国会議員の責任でもあろうが、全国的に地図は役所で閲覧するものと法律上定められ、役所まで来て見るべしとの全国統一的な扱いとなっており、誰もそれに逆らってこなかったようだ。そして担当する役所側の人材は、2〜3年もすれば配置替えされていくため、住民の懸念は引き継がれていかない可能性が大きい。しかし、住民の配置換えはなかなかない。

 誰でも役所に行けば見られる地図なら、もったいを付けずに役所のホームページに掲載するか町内の集会所への備え付け、あるいはコピー配布を行っても良いのでは、と誰でも思うだろう。それよりも何よりも重要な問題は、20〜30年間もの長きにわたり生活拠点である住宅の転居問題が不透明なまま放置され、その不安や不都合の緩和や解決を図ろう、との姿勢が政治や行政に欠如してきたことだ。政治や行政が住民の心により寄り添う姿勢に転ずるしかないのではないか、との思いに至った。北土居町のような住民の心に本当に寄り添えば、今回のような問題は起きなかったか、軽微で済んでいただろう。行政を監督する国会議員として、反省させられる昨日の会合だった。