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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2009/01/08(木) NO.503号 

日本はIRENAへ正式参加すべき(1月8日)

 昨年末、日本が「再生可能エネルギー機関(IRENA: International Renewable Energy Agency)」に不参加の方針ではないか、との観測報道が一部マスコミで流れたが、一昨日、初めて開かれた外務、経済産業、環境、農水、国土交通の5省の課長級での打ち合わせで、今月26日にドイツのボンで開催される設立総会に、オブザーバーを派遣する事を決めたようだ。しかし、私はオブザーバー参加では不十分だと思う。「太陽光発電世界一奪還」など、我が国の環境技術の優位性を活用し、世界の再生可能エネルギーや新エネルギーをリードしていく意志を前面に打ち出している日本ならば、正式参加の意思を26日に設立総会で表明すべきだと思う。「条約審査が間に合わない」といったような事務的理由を盾に、課長レベルのオブザーバーを送ってお茶を濁すのでは、再生可能エネルギーの国際的な基準作りを日本がリードする事はできない。チャーターメンバーになるか否か、では、大違いだ。国会日程があっても、少なくとも副大臣レベルの代表を送り、日本政府の参加意思表示をすべきだ。

 EU諸国はかねてより再生可能エネルギーの積極導入に熱心で、とりわけドイツは再生可能エネルギー推進のための国際機関設立を国連加盟各国に呼びかけ、昨年10月の最終準備会合では、中国、韓国、インド、豪州,ブラジルなどを含め、世界から51か国が参加している。しかし、日本は、米国、ロシア、サウジなどと並んで参加してこなかった。日本の不参加理由は経産省出身者が事務局長を務める国際エネルギー機関(IEA)との役割重複と、同機関推進国の原子力発電への慎重姿勢のようだ。余り意味があるとは思えない理由だ。

 先日、総理官邸の政策担当者に確認したところ、本件は官邸では扱っていない、と聞き、驚いた。要は、霞ヶ関の各省のベクトルに任せっきり、という事のようだ。一昨年の「クール・アース50」のとりまとめは、4大臣会合(環境、経産、外務、内閣官房)など、官邸が中心となって、行っていたが、再び各省の縦割り行政任せに戻り、結果として強い役所の論理通りに進み、政権の意思不在、という旧弊が出ているのだ。霞ヶ関の結論としてこの新たな国際機関には参加しない、という事なので、各省の正式検討プロセスにも乗らず、総理秘書官に上がったのも2〜3日前だという。官僚組織の途中で握られたままで、大臣や総理にまで上げて意志決定を仰ぐ、という事が行われないのだ。こうした「ボトムアップ方式」は、変化の早いこの時代には通用せず、やはり公務員制度改革基本法通り、国家戦略スタッフや大臣スタッフを活用した「トップダウン方式」の早期確立が益々重要になる。

 オバマ政権構想の中で「グリーン・ニューディール」が脚光を浴び、日本でもここに来て斉藤環境大臣が総理に「日本版グリーン・ニューディール」の案を説明をし、再生可能エネルギーなど日本の環境技術という強みを活かしながら、雇用創出等不況克服と地球温暖化対策を両立させる新たな政策構想を推進する意志を明らかにした。ならば、設立される事が確実で、今後世界の再生可能エネルギー政策をリードする国際機関の中で、日本がその牽引車にならない選択肢はないと思う。これは、将来の日本経済と暮らしの活性化の問題そのものでもある。