2010/02/27(土) NO.577号
強い日本を復活させる(2月27日)
一昨日、舛添要一さんらと先週立ち上げた「経済戦略研究会」の第二回会合を開く。テーマは郵政民営化。22名の本人出席を含め、前回より1名多い46名が出席。ゲストスピーカーは、経済同友会の櫻井代表幹事と東洋大学の松原聡教授だ。
櫻井代表幹事からは、再配分政策だけでは経済は続かず、社会保障を維持するためにもやはり成長戦略が必要との基本認識をまず披露。そして、経済の主役の企業は、政治に「おねだり」する事はせず、自らしっかり努力すべきであり、政府の役割は成長のための環境整備。郵政問題も経済環境の一つで、鳩山政権は、再び政府出資など公的支援を残すことを通じて、郵貯・簡保のユニバーサルサービスを維持しよう、金融サービスの自由度を拡大しようとしている。これでは、政府保証付きで金融をなんでもやって良い、ということになり、民業圧迫となり、国民にツケが回る。自民党の当初の民営化路線を前進させ、構造改革の旗印としてしっかり掲げてもらいたい、とハッパをかけられる。
また、日本郵政郵便事業会社取締役を昨秋突然「クビ」にされた松原教授は、郵政民営化の「キモ」は、「事業分割・民営化・上場により、130年余り国営だった郵政事業の効率化を図ること」と「郵貯・簡保の完全民営化による、ゆがんだ金融システムの是正」との基本をまず押さえる。ユニバーサルサービス提供義務を親会社に課し、郵貯・簡保子会社は民間一般会社をよそおう、モデルには根本的に無理があり、強い政府保証が残ることで「官業による民業圧迫」は必至。これまでの民営化の基本方針は、上場益約2兆円を基金化し、その資金活用により郵便局ネットワークを維持することで、郵貯・簡保を含めて過疎地でもユニバーサルサービスを確保するはずだった。しかし、鳩山政権は、先国会で成立させた法律で株式売却を凍結したうえ、今国会での法律改正で、毎年1兆円の税金投入でそれを行おうとしている。それでは、過大な国民負担がかかってしまうことを指摘された。
次回勉強会では、郵政民営化で大きな影響を受け、地方などの民間経済活性化を阻害されることを懸念する、信用金庫などの声も聞いてみたいと思う。
一方、昨日の朝9時より自民党「成長戦略特命委員会」の第一回会合が開かれた。石破茂政調会長の委員長の下、私が座長をあずかることとなった。委員長は、冒頭挨拶で、5月連休明けにはマニフェストを発表したいので、自民党としての成長戦略を4月末までにまとめてもらいたい旨を明らかにされた。
昨年末発表された「目次だけ」のような殆ど内容のない「新成長戦略」についての説明の後、経産省から一昨日スタートした「産業構造審議会競争力部会」の問題意識を披露してもらったが、マクロもミクロも経済政策不在の鳩山政権の官僚サイドから、久し振りにまともな現状分析を聞き、おもしろかった。
そもそも、他省では研究会など、大臣のカラーが強く出た勉強会が数多くできているが、経産省では政務3役がおとなしいのか、あるいは経産省官僚が巧妙なのか、クラシックな「審議会」がまだ生き残っている。資料説明を聞いていても、面白いほど官僚サイドの考えが色濃く出ている。
部会の問題意識からして、「日本経済の行き詰まりは一過性のものではなく、構造的問題」と明言。また、「再配分政策だけで需要創出し、経済成長を図ろうとしても無理だ」とか、「企業だけが儲けているかのように言われるが、日本の労働分配率は先進国中最も高い」とか、「外需から内需へ転換すべき、というが、日本の輸出依存度は低い」等々、正論ばかり。今後、政権内でどこまでこうした考え方との折り合いを付けていくのか、注目だ。
昨年の総選挙のマニフェストでは、自民党には成長戦略があったが、民主党には不在だった。批判に耐えかねて成長戦略を作る、と付け焼き刃で宣言し、需要創出による「第三の道」などと、意味不明瞭で思いつき的な事を言う鳩山政権。これから6月にかけて、政府・与党と自民党の双方が成長戦略を作ることとなるが、要はどちらが本当に強い日本の復活ができるシナリオを書けるか、の勝負だ。
櫻井代表幹事からは、再配分政策だけでは経済は続かず、社会保障を維持するためにもやはり成長戦略が必要との基本認識をまず披露。そして、経済の主役の企業は、政治に「おねだり」する事はせず、自らしっかり努力すべきであり、政府の役割は成長のための環境整備。郵政問題も経済環境の一つで、鳩山政権は、再び政府出資など公的支援を残すことを通じて、郵貯・簡保のユニバーサルサービスを維持しよう、金融サービスの自由度を拡大しようとしている。これでは、政府保証付きで金融をなんでもやって良い、ということになり、民業圧迫となり、国民にツケが回る。自民党の当初の民営化路線を前進させ、構造改革の旗印としてしっかり掲げてもらいたい、とハッパをかけられる。
また、日本郵政郵便事業会社取締役を昨秋突然「クビ」にされた松原教授は、郵政民営化の「キモ」は、「事業分割・民営化・上場により、130年余り国営だった郵政事業の効率化を図ること」と「郵貯・簡保の完全民営化による、ゆがんだ金融システムの是正」との基本をまず押さえる。ユニバーサルサービス提供義務を親会社に課し、郵貯・簡保子会社は民間一般会社をよそおう、モデルには根本的に無理があり、強い政府保証が残ることで「官業による民業圧迫」は必至。これまでの民営化の基本方針は、上場益約2兆円を基金化し、その資金活用により郵便局ネットワークを維持することで、郵貯・簡保を含めて過疎地でもユニバーサルサービスを確保するはずだった。しかし、鳩山政権は、先国会で成立させた法律で株式売却を凍結したうえ、今国会での法律改正で、毎年1兆円の税金投入でそれを行おうとしている。それでは、過大な国民負担がかかってしまうことを指摘された。
次回勉強会では、郵政民営化で大きな影響を受け、地方などの民間経済活性化を阻害されることを懸念する、信用金庫などの声も聞いてみたいと思う。
一方、昨日の朝9時より自民党「成長戦略特命委員会」の第一回会合が開かれた。石破茂政調会長の委員長の下、私が座長をあずかることとなった。委員長は、冒頭挨拶で、5月連休明けにはマニフェストを発表したいので、自民党としての成長戦略を4月末までにまとめてもらいたい旨を明らかにされた。
昨年末発表された「目次だけ」のような殆ど内容のない「新成長戦略」についての説明の後、経産省から一昨日スタートした「産業構造審議会競争力部会」の問題意識を披露してもらったが、マクロもミクロも経済政策不在の鳩山政権の官僚サイドから、久し振りにまともな現状分析を聞き、おもしろかった。
そもそも、他省では研究会など、大臣のカラーが強く出た勉強会が数多くできているが、経産省では政務3役がおとなしいのか、あるいは経産省官僚が巧妙なのか、クラシックな「審議会」がまだ生き残っている。資料説明を聞いていても、面白いほど官僚サイドの考えが色濃く出ている。
部会の問題意識からして、「日本経済の行き詰まりは一過性のものではなく、構造的問題」と明言。また、「再配分政策だけで需要創出し、経済成長を図ろうとしても無理だ」とか、「企業だけが儲けているかのように言われるが、日本の労働分配率は先進国中最も高い」とか、「外需から内需へ転換すべき、というが、日本の輸出依存度は低い」等々、正論ばかり。今後、政権内でどこまでこうした考え方との折り合いを付けていくのか、注目だ。
昨年の総選挙のマニフェストでは、自民党には成長戦略があったが、民主党には不在だった。批判に耐えかねて成長戦略を作る、と付け焼き刃で宣言し、需要創出による「第三の道」などと、意味不明瞭で思いつき的な事を言う鳩山政権。これから6月にかけて、政府・与党と自民党の双方が成長戦略を作ることとなるが、要はどちらが本当に強い日本の復活ができるシナリオを書けるか、の勝負だ。
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