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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2009/04/14(火) NO.518号 

「士気高き霞ヶ関」と「天下りの根絶」には議員立法が必要(4月14日)

 3月31日に国会に提出された内閣提出の公務員制度改革関連法案に関し、同日付民主党行革調査会長談話は、「幹部職制度が、『新たな制度』ではなく、従来の一般職の枠内に止まっており、例えばその『降任』について・・・実質的に不可能にしている事をはじめ、『基本法』の趣旨に照らして完全に骨抜き」と批判している。せっかく政府案で新たに内閣人事局を作り、審議官以上の幹部職員人事を内閣が一括管理する事とし、なおかつ麻生総理が「天下り、渡りは年内で廃止する」との英断をして政令を閣議決定したにも拘わらず、このような批判を受けるのは何故なのか。
新制度は、幹部職員に真に競争力のある若手や民間人を積極的に登用して内閣を強力にサポートさせることを目標としている。これを実現するには、現に幹部ポストに座っている者に外れてもらわねばならないから、幹部職を柔軟に降任させる制度が必要だ。「降任」が十分できないなら、「結局(ポストを空けるために)天下りが継続されてしまうか、高い給与のままで定年まで幹部職として残ってしまうか(つまり大量に高給ポストを増やすか)、いずれかだ」という批判に晒される。今政府が導入しようとしているボーナスだけで人事評価を表す仕組みだけでは不十分、ということになるのだ。

 だからこそ私達は、議員立法で政府提出法案を補完することが必要だ、と唱えてきた。政府が人事院勧告を待って、それを元に来年の通常国会に新たな給与体系などの法案を出すのでは、今の時点で国民に改革の全体像が見えず、士気の高い霞ヶ関の再構築や、公務員制度改革の工程表で言う「天下りの根絶」はお題目に過ぎないとの批判を浴びることになってしまうからだ。そもそも人事院は権限の委譲問題で甘利行革相に徹底して刃向った。労働組合と連携していたとも言われる。その人事院に、「百年に一度の改革案」を作らせるのは、如何なものか。人事院は憲法に定められた組織でもなく、国家公務員法で特定の事務を授権された第三者機関に過ぎないのだ。制度全体を改めようというときに、人事院があたかも拒否権を持つかの如く振る舞っているのは、役割をはき違えている。主役は、人事院でなく立法府のはずだ。

 ここは政府が示す改革の次の段階の、より抜本的な改革の姿をセットで示すため、政治任用であるいわゆる「特別職」と「一般職」との間に、中間的な「幹部職」を創設する事などを定めた「幹部公務員法(仮称)」を議員提案すべきだ。人事管理の原則を示すと共に、一般職と異なる身分保障を法定し、その給与は人事院勧告の対象外とし、弾力的に設定できるよう法定することなどを織り込んではどうか。

 「幹部公務員法(仮称)」と同時に必要なのは、公益法人への新たな天下り規制だろう。公益法人改革に伴って「主務官庁」という概念がなくなったことを理由に、今後新なた規制は作らない、とした昨年末の質問趣意書への答弁書の方針は軌道修正し、従来の「非常勤役員」ベースの「三分の一規制」(天下り役員は非常勤役員を含めた役員数の1/3を超えてはならないとの規制。これでは、非常勤役員を水増しすれば天下り役員の数を増やせる)よりも強化した、新たな規制に関して自民党行革本部で早急に結論を得て、今回の一連の公務員制度改革法案と共に国会に明らかにすべきだ。同一省庁から同一ポストへ5代連続就任した法人が100近くもあったが、それらは殆ど公益法人。「渡り天国」は止めなければならない。