トップ > やすひさの独り言

やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

  • メールマガジン登録・解除
  • 全タイトル一覧
  • バックナンバー
2010/08/21(土) NO.612号 

民主党の異様な光景(8月21日)

 一昨日、議員会館の一階で、久しぶりに田中真紀子代議士に出会う。かつては「自民党の明日を創る会」を通じ、自民党を変え、日本復活を目指した仲だった。立ち話をしながら、私から「このままでは日本はつぶれてしまう。民主党政権は自民党政権よりひどい」と持ちかけると、「そんなことはないけど、今の政権は本当に素人ばかり。この際は、私たちが超党派で立ち上がらないといけないと思う」と言う。そこに通りかかった、やはり自民党から民主党に鞍替えした沓掛代議士も加わり、「先ほど、都市農業に関する党内の会合に出たが、参加者は2〜3人で、役員でもないのに私が挨拶をするハメになるほど、人材難だ」と同調する。

 党内会合に人がいない理由は、民主党が人材不足であることに加え、一昨日の夕刻には、何と党所属国会議員の三分の一を超える約160人が、はるばる軽井沢の鳩山前総理別荘での懇親会に総結集していたからだ。つい2ヶ月余り前に、沖縄基地問題と政治とカネの問題で引責辞任をしたはずの鳩山前総理、小沢前幹事長が、何事もなかったかのような明るい表情で9月の代表選を強く意識した挨拶をした上、自民党でも選挙で選ぶようになった参議院議員会長続投を密室で決めた輿石議員が、これまた笑顔で乾杯。「菅いびり」「ポスト狙い」や「様子伺い」「ごますり」など、様々な動機でうごめく議員達が、権力闘争の下に集結している。異様な光景だ。

 引責辞任に至る原因や参院選での結果への反省が、一体どこにあるのだろうか。そもそも、軽井沢の別荘という、一般国民の生活とはかけ離れた場所に政治家が大挙して集まることに違和感を覚える上に、鳩山前総理が「国民の『お暮らし』が第一」と言われては、そのアンバランスさに言葉を失う。また、円高と新興国からの追い上げによる日本経済敗退への危機感など、みじんも感じられない。 漸く動き出した追加経済対策策定作業を報道で見ても、日本経済の根本問題が何か、の認識に決定的に欠けているがゆえに対症療法ばかり。あげくに、効果もさして期待できないまま来週、菅総理と白川日銀総裁が会う、と言う。

 同じく一昨日、官房長官時代に官邸チームで政策立案をしてくれていた改革官僚の話をゆっくり聞いてみた。霞ヶ関の内情は、予想以上に惨憺たることになっている。経済がこれだけ不透明なのに、政府では国家戦略室・局の行方が迷走する中、相変わらず経済財政諮問会議のようなマクロ経済政策を議論する場が皆無であるほか、民主党サイドにも経済政策をまとめる会議などは存在しない。結局、すべてを財務省が仕切る格好だ。さらに、何につけ、各省、内閣ともに特定の問題に関し、特定の政務3役の決定的影響力と思いつきに考えられないほど振り回され、問題解決から遠のくばかり。1人の政務官によって内閣の方針が決まることがしばしばある、という。何という不安定な国家になってしまったのか。霞ヶ関全体の士気は、落ちるところまで落ちている。

 自民党時代には、飛行機に例えれば、コックピットには免許を持ち、訓練をそれなりに積んだ操縦士がおり、乗客は安心していられた。問題は、時々機長席に官僚、副操縦士席に政治家が座ることがあることだったが、それでもオートパイロットで確実に目的地に到着していた。ただし、時々乗客が考えていた目的地と若干異なる目的地に着いてしまうことが問題だった。

 ところが、民主党政権になってからは、操縦免許も持っているかどうか分からない、訓練も積んでいない政治家がコックピットを占拠し、オートパイロットもついていない飛行機で、どこに行くのか分からない、との不安に乗客は駆られだしたのではないか。

 いつも指摘するように、民主党の政権担当能力がここまでないことが明らかになっているのであるから、自民党にとって絶好のチャンスのはずだ。やるべき事は簡単だが、覚悟と決断がいる。党の抜本改革により体質をすっかり変え、体系だった日本復活の処方箋を力強く、より明確に打ち出すことだ。経済の再生がすべての原点だと思う。 

バックナンバー

2010/08/21 NO.612号
民主党の異様な光景(8月21日)
2010/08/17 NO.611号
公務員制度改革の本家を取り戻せ(8月17日)
2010/08/11 NO.610号
変化の兆し(8月11日)
2010/08/10 NO.609号
再び、友を失う(8月10日)
2010/08/09 NO.608号
わが友、逝く(8月9日)