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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2009/12/27(日) NO.563号 

国際的リーダー育成の必要性(12月27日)

 昨日、前WHO西太平洋地域事務局長、尾身茂氏を招き、「感染症のプロ、『世界の中の日本』を語る」と題し、第22回フォーラム21を開催した。尾身氏は、政府の新型インフルエンザ対策本部専門家諮問委員会の委員長でもある。200人弱の方々にご参加頂き、内容の濃い尾身氏の講演、及び私との対談を聞いて頂いた。

 尾身氏とは高校生時代、共にAFSで米国留学をした同期。留学時から、120人の同期生の中で最も大人の雰囲気を持つ、リーダー格だった。小渕総理時代の98年、90年から勤務していたWHO西太平洋地域事務局の局長に選挙で当選し、SARS、鳥インフルエンザ対応などで辣腕をふるった。私が外務副大臣時代には、WHO非加盟地域の台湾との感染症対策連携に関し一緒に取り組み、また官房長官時代には、WHO事務局長選挙に立候補した尾身氏を政府あげて応援した。本年2月から自治医大教授、WHO執行理事などとして活躍中だ。

 尾身氏によれば、新型インフルエンザ対策として、ここまでの日本の対応は、感染による死者が米国の1万人超に対し、日本は100人超と、それなりの成果を上げているとの評価だそうだ。その理由は、@学校閉鎖など、批判があっても隔離政策を押し通したことが奏功したこと、Aこれもいろいろ地方を中心に批判のあったタミフル備蓄など、医療準備体制が充実していたこと、B手洗いなど国民の予防意識が高かったこと、などが上げられる。実は、マスクやうがいは効果が薄く、手洗いが有効だそうで、「余り効かないマスクを大勢の日本人がするくらい、日本人の予防意識が高いと解釈すべきだろう」との尾身氏の発言に会場も笑いを誘われていた。

 国際保健分野での日本は地位低下が顕著で、「かつてアジアでのWHOの会合に日本の厚生大臣が到着すると、会議を中断して挨拶を求められたが、今そのようなことはもはやない。。むしろ、中国の厚生大臣が参加するとかつての日本のような扱いで挨拶を求められている」そうだ。日本の地位低下の理由には、ODAの大幅削減もあるが、日本の政治家や政策立案者の意識、関心が内向きになっていることと、各国間で構築しているコミュニケーション・ネットワークに日本が入っていないことが大きい、との指摘だった。アジアの厚生大臣同士も、お互い何かあると携帯電話で直接話す関係になっているようで、「英語の壁」もある日本人は、意思疎通、意思決定のプロセスから完全に外れているという。

 中国など新興国の発展著しい中、日本の再生、生き残りのためには、日本は物づくり力で改めて世界をリードするだけでは足りない。加えて、ソフトパワーとして、国際機関の主要ポジションを含め、あらゆる分野で世界の標準(スタンダード)、基準やグローバルな政策を決める立場により多くの日本人がつくことが必要だと思う。世界の標準などを決めれば、日本勢がその分野で影響力を持ち、結果として日本の経済も強くなり、ひいては日本国民の生活水準も上がるはずだ。携帯電話では国際的に使えない標準を選んでしまった失敗が今日の世界の携帯電話市場での日本の大きな遅れ、携帯電話関連メーカーの収益力の低下を招いた。同様の失敗を繰り返してはならず、そのためにもそのような役割を担える、国際的に通用する、知的訓練をしっかり受けたリーダーを養成をしなければならない。

 今の政治情勢を見ると、新政権はまさに内向き。全ては来年の参議院選挙向け。とても国際競争に勝てる日本を作る、との長期的発想を持つ姿勢はないように思え、危機感を覚える。「今日を考え、今日を決める政治」から「遠い明日をも考え、今日を決める政治」への転換が今こそ必要だ。

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