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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2011/02/06(日) NO.635号 

「丸呑み」なら国民に信を問え(2月6日)

 昨日、官邸で税と社会保障の一体改革を議論する集中検討会議の初会合が開催されたようだ。福田内閣時代の「社会保障国民会議」、麻生内閣時代の「安心社会実現会議」に示された社会保障・税制改革案をベースに6月のとりまとめを行おうとしているように見える陣立てだ。自民党案の「丸呑み」でマニフェストを通じた国民との契約を破棄し、政治的危機を乗り切りを図ろうというのか。「政府の年金制度は破綻している」と繰り返し批判し、与野党協議に頑として応じなかった民主党。政権につくや「政権交代にかかわらず持続可能な社会保障制度を」と、我々が強く主張していたことを今になって強調する。

 金融国会の際の与党による野党案の「丸呑み」がよく引き合いに出され、菅総理はその時の民主党代表で経験者であるがゆえに、今回は、逆の立場で野党案を丸呑みしようとしているのではないか、との指摘がある。しかし、このアナロジーは全く当てはまらない。なぜかと言えば、金融国会の「金融再生法」の修正協議の際には、破綻金融機関の処理方法に関し、我々政府・与党は、「ブリッジバンク方式」という「正しい政策提言」をし、そこに民主党など野党が、「一時国有化方式」という、破綻金融機関の公的管理のもう一つの方式である、ある意味「正しい政策提言」を提示してきたので、我々「政策新人類」が両案を協議の上ドッキングしたに過ぎないからだ。「丸呑み」と言っていたのは、大蔵省から金融の検査監督機能を取り出すことに反対する大蔵省とその族議員達、並びに事の本質が理解できていなかったマスコミだけだったのだ。

 今回は違う。元々政府・民主党の年金などのマニフェスト案は、実現不可能であったり、膨大な財源が必要な、いわば「誤った政策提言」であり、我々自公政権が提案した「より正しい改革案」に収斂する、というなら、やはり選挙を通じて国民に信を問い直すのが筋だ。ましてや、岡田幹事長のように、マニフェストと異なる予算修正の可能性を認める一方、いまだ「子ども手当に対する基本的な思想、考え方まで変わるとは思っていない」というのでは、協議にならない。民主党のバラマキ政策に付き合いながらの増税論議は、あり得ない。

 このように社会保障改革が待ったなしとなっている主因のひとつである高齢化の現実を、昨日松山で実地で学んだ。成年後見制度だ。

 かねてから私の友人に成年後見制度の実体を学ばせてくれ、と頼んでいたが、昨日、それが実現した。彼が成年後見人を務める20名の高齢者のうちの一人、84歳の女性をお住まいの介護付き有料老人ホームに訪ね、昼食をともにしたのだ。神戸ご出身で、松山に来られて56年目のこの方は、10年程前にご主人を亡くされ、ホームに入られた。私の友人は、月に一回は被後見人の方と食事をしながらお話をし、家族的絆で結ばれていることを実感してもらう努力を続けている、という。時にはホームなどの施設外に連れ出し、2人きりの忘年会をしたりするそうだ。

 車いすを移動し、ホールで昼食を頂く。「どこに一番行きたいですか?」と私が聞くと、ぱっと顔の表情が明るくなり「神戸!」と、にこにこ嬉しそうに言う。聞けば、もう30年くらいは行っておられないようだ。「好きで、一番食べたいものは?」と聞くと、これまた間髪を入れず「お刺身!」と返ってくる。友人に聞けば、ホームや高齢者施設では、食中毒を恐れてか、刺身など生ものは殆ど出されないそうで、一緒に外出するときには必ずお刺身の出る食事にしている、とのこと。「じゃあ、次回はお寿司にしましょうか?」というと、うんうん、と嬉しそうにうなずいてくれた。

 殆ど訪ねてくる人がいないこの女性、私の訪問を望外に喜んでくれ、次回を楽しみにしますよ、とのメールが後見人の友人から今朝来た。こうした高齢者も、現役世代も、納得しながら将来が見えるようになる改革を実現しなければならない。そのためには「社会保障と税」という小さな範囲に議論を矮小化するのではなく、支出面を含め、日本という国家をどのような国にするのか、という各政党のマニフェスト全体を問う議論を尽くさねばならないと思う。

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