2013/03/01(金) NO.753号
がん登録法制化の本当の目的
一昨日、第4回目となるがん登録法制化作業チームの打ち合わせ会が行なわれた。がん登録法制化とは、超党派の国会議員でつくる「国会がん患者と家族の会」で提唱された、現在都道府県主体、ボランティアベースで行なわれている地域がん登録制度を、国の制度として法整備、義務化し、がん登録の精度を上げようというものだ。
今や国民の2人に1人がかかり、3人に1人が亡くなる病気である、がん。しかし、その治療のための情報整備と言えば、例えばがんを患って手術などをした後、5年後に生存している率を示す「5年生存率」についても、その最新のデータは、1999〜2002年の、それもたった6府県の登録情報から推計によって作られた数字に過ぎない。これがわが国の実態だ。これら行政、法律の不作為のしわ寄せは、がんで今なお苦しんでおられる患者の皆様に行ってしまっている。
今日の会合では、諸外国のがん登録制度の実態について学んだが、海外諸国では、医療機関からの登録で9割程度把握しており、またがん登録自体多くの国で法制化、義務化されていることを改めて学んだ。
今後の重要な論点としては、法制化の重要な哲学の一つでもある、がん登録データベースの情報をより詳細な治療等に係る情報と併せて利用することによる、がん対策、がん治療の質の向上についてだ。
わが国では地域がん登録のほかに、国内400余りの拠点病院を中心に取り組んでいる「院内がん登録」制度が存在する。罹患率、生存率の把握に重点が置かれている地域がん登録に比べ、院内がん登録は診断、治療、予後などの情報収集・整理・分析を柱としているため、登録すべき情報項目も地域がん登録に比べ多い。これを地域がん登録とどう結びつけ、有機的な枠組みにするか、重要かつ難しい問題だ。
法律を作る際、法制局や省庁など役人は、完全性を追求するあまり、本来の大目的を後回しにしてしまうことがある。今回のケースで言えば、情報収集の悉皆性を追求し過ぎるあまり、本来の目的である「がん対策」「治療の質の向上と苦痛の軽減」とそのための研究をないがしろにしてしまってはならない。大目的に立って考えなおしたとき、登録すべき必須の項目は何なのか。患者の気持ちと目線に立って、がん治療に役立つ、がん対策に生かす取り組みを推進するような制度にしなければならない。
根本哲学である「がん治療への貢献」「がん患者のニーズに応える」の二つの柱を忘れてはならないと思っている。今後、法案骨格に対する、関係機関、医師、患者の皆様の意見等を聴取する機会を徐々に設けていく予定だ。引き続き、緊張感を持って議論に臨みたい。
今や国民の2人に1人がかかり、3人に1人が亡くなる病気である、がん。しかし、その治療のための情報整備と言えば、例えばがんを患って手術などをした後、5年後に生存している率を示す「5年生存率」についても、その最新のデータは、1999〜2002年の、それもたった6府県の登録情報から推計によって作られた数字に過ぎない。これがわが国の実態だ。これら行政、法律の不作為のしわ寄せは、がんで今なお苦しんでおられる患者の皆様に行ってしまっている。
今日の会合では、諸外国のがん登録制度の実態について学んだが、海外諸国では、医療機関からの登録で9割程度把握しており、またがん登録自体多くの国で法制化、義務化されていることを改めて学んだ。
今後の重要な論点としては、法制化の重要な哲学の一つでもある、がん登録データベースの情報をより詳細な治療等に係る情報と併せて利用することによる、がん対策、がん治療の質の向上についてだ。
わが国では地域がん登録のほかに、国内400余りの拠点病院を中心に取り組んでいる「院内がん登録」制度が存在する。罹患率、生存率の把握に重点が置かれている地域がん登録に比べ、院内がん登録は診断、治療、予後などの情報収集・整理・分析を柱としているため、登録すべき情報項目も地域がん登録に比べ多い。これを地域がん登録とどう結びつけ、有機的な枠組みにするか、重要かつ難しい問題だ。
法律を作る際、法制局や省庁など役人は、完全性を追求するあまり、本来の大目的を後回しにしてしまうことがある。今回のケースで言えば、情報収集の悉皆性を追求し過ぎるあまり、本来の目的である「がん対策」「治療の質の向上と苦痛の軽減」とそのための研究をないがしろにしてしまってはならない。大目的に立って考えなおしたとき、登録すべき必須の項目は何なのか。患者の気持ちと目線に立って、がん治療に役立つ、がん対策に生かす取り組みを推進するような制度にしなければならない。
根本哲学である「がん治療への貢献」「がん患者のニーズに応える」の二つの柱を忘れてはならないと思っている。今後、法案骨格に対する、関係機関、医師、患者の皆様の意見等を聴取する機会を徐々に設けていく予定だ。引き続き、緊張感を持って議論に臨みたい。
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