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2013/11/23(土) NO.778号 

一歩前進した企業統治

 昨日22日(金)の明け方5時半過ぎ、私と法務省幹部とが電話で話し、会社法改正案に関する修正案について最終合意をした。これで会社法改正案が閣議決定通り、今国会に提出される事となった。

 民主党政権下の昨年9月、政府は会社法改正案を取りまとめ、安倍内閣もその案をそのまま国会提出する流れが、6月に閣議決定された成長戦略である「日本再興戦略」でできた。しかし、政府の改正案で最も注目を集めていた「独立社外取締役導入」に関し、法的義務付けではなく、社外取締役の設置を努力義務とし、設置をしない場合は、設置しない方がより良いことの「相当の理由」を業務報告に記載すれば良い「comply or explain」(ルールに従え、さもなくば、従わない方がより良い理由を説明せよ)とされていた。

 おまけに、経団連の事務局幹部は「(社外取締役を導入しないことに関する)開示に関するひな型を作るつもりだ」と公言し、独立社外取締役を導入しない経団連企業は、金太郎飴のように事務局が作る全く同じひな型の業務報告をもって、「相当の理由」を株主などに説明する、という構えだった。独立社外取締役を導入する事の重要性がこれほど軽く見られたのでは、世界からの投資は集まらず、結局競争力強化、成長もできない、と私は思った。

 私個人としては、欧米では過半数、共産主義の中国でさえ3人が義務付けられている独立社外取締役設置は、わが国でも東証ルールか法律で義務付けるべき、との考えだ。しかし、今回そうしようとすると、政府が法制審議会に再度諮問し、相当時間がかかることなどを考慮し、昨年9月の改正要綱にある、抵抗する経済界でさえ容認した「comply or explain」の枠組みは変えず、しかし、「少なくとも一人の独立社外取締役導入を確実なものとする」という、我々が法務省と合意して自民党成長戦略「中間提言」で表明していたラインを実現するか、との勝負をすることとした。それが5月時点での決意だった。

 10月下旬から法務省に修正提案をし始め、主張を同じくする議員、外部法律家、識者などとも連携しながら、法務省と繰り返しやり取りを重ね、激しい議論の結果、昨日未明の決着となった。

 修正点の主眼は、(1)前年度に社外取締役がいなかったことに関する相当の理由に関する説明義務(explain)規定を省令から法律に格上げした事、(2)また、その説明義務を書面ではなく、株主総会で口頭説明を義務付けた事、(3)さらに、当該年の株主総会での社外取締役を選ばない「相当の理由」の「株主総会参考書類」への記載を省令で義務付け、事実上、前年度の説明と同時に当該年度に関しても、口頭で説明せざるを得ないようになった事、(4)加えて附則において、社外取締役義務化を含め、2年後の見直しをする事、の4点だ。

 同時に、私がひと月以上前から金融庁を通じて議論してきた東証上場規則等も改正され、独立取締役の定義、選任義務が強化され、加えて新設されたJPX日経インデックス400において、「独立取締役複数名以上」が加点要素とされた。

 今回の議論では、民主党政権時代の政府案にどれだけ実効性ある修正ができるか、が争点だった。その意味ではそれなりの結果が期待できる修正内容となったのではないかと思う。

 しかし、グローバルスタンダードから見れば、周回遅れの議論であるだけに、できるだけ早期に義務化に向けた流れを作り、強固な企業統治の下、真に強い、競争力ある企業を生み出し、国民生活の向上を図らねばならない。

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