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2012/05/18(金) NO.715号 

「一体改革」とは国の形の作り直し

 先週木曜日から、衆議院「社会保障と税の一体改革に関する特別委員会」における、消費増税関連7法案の審議が始まった。消費増税の本格国会審議は18年ぶりだ。

 15日(火)には、自民党社会保障制度に関する特命委員会(野田毅委員長)が開催され、社会保障改革の「対案」が初めて提示された。特記されるべきは、社会保障・税の一体改革問題に関する自民党内議論が漸く初めて行われたことだ。「もう対案はできている」と、テレビ討論番組などでわが党幹部が述べてきたが、その案がようやく平場の討議にかけられた。健全野党としては、議論が足りなくないか。平場の活発な議論こそが、自民党の活力の源泉だったはずだ。

 「今後の社会保障に対するわが党の基本的な考え方(骨子案)」と題する今回の自民党の提案内容は、「自助」を基本とし、「共助」、さらには「公助」の順に政策を組み合わせる、との考えを基本としており、概ね賛同する。また、民主党のマニフェストにあった「最低保障年金創設」、「被用者年金・国民年金一元化」、「後期高齢者医療制度廃止」など、効果なき非現実提案は放棄すべき、との考えも当然のことである。

 しかし、今回の約12兆円の消費税増税に当たり、社会保障政策の新たなビジョンだけを示せば有権者は増税を受け入れる、と野田政権が考えているとすれば、いささか安易かつ早計だろう。現在の国の一年間の税収が約42兆円であることからすれば、12兆円の増税とは国民視点に立てば30%近い巨大な税負担増である。これだけの大変革を問おうというからには、国のかたち全体を一体的にどう作り直すか、という議論が当然なければならない。よく「大きな政府、小さな政府」というが、まさに、どういう政府を国民が望むかという、国全体を問う問題だろう。野田総理が掲げる「社会保障と税の一体改革」との問題設定自体、社会保障のためなら増税もやむなし、と国民に考えてもらうために意図的に小さく作られた土俵ではないか、という点を含め国会を通じて厳しく問うていかなければいけない。
 
 今回の増税を納税者に理解してもらうには、まずは歳出全体を見直す事だろう。当然、真っ先に来るのは、社会保障そのものの中身の改革であり、その点では、今の政府・民主党の姿勢は余りにお粗末で到底飲むことはできない。自民党としては、これからの国会論戦を通じて年金制度を含む自らの社会保障ビジョンをより具体的に、分かり易く示していくことになろう。また、社会保障に止まらず、バラマキを含んだ全ての政策的支出や、議員定数、公務員人件費を含めた、政府支出全体の見直しが不可欠だ。当然、その前提として、徹底的な行政改革、公務員制度改革などの姿を示さねばならない。もちろん、税金徴収の徹底、納税者番号制を含め、歳入改革も不可避だろう。

 同時に、日本経済の競争力回復を実現する成長戦略、産業構造改革に徹底的に取り組む事が必要だ。「景気回復を増税の条件とする増税回避の口実だ」との批判があるが、それも問題の核心から目をそらしているだけだ。企業がどんどん弱くなり、海外流出も止まらない現状の流れを反転させずに増税しても、将来の税収は増えない。そのためには、コーポレートガバナンスなど、あらゆる国内制度などを国際標準に改める一方、研究開発推進、教育改革なども含め、「良いヒト、良いモノ、良いカネ」がどんどん集まる国を目指した国内大改革が必要だ。

 財政再建と同時に歳出見直しと成長戦略、という大きな二本柱の改革を断行する事は、誰がどれだけ税負担をし、誰がどれだけの政府サービスなどを受け取るのか、納税力をどう高めるか、を決める事であり、日本の国のかたちを変える事に等しい。しかし、こうした大事な議論を皆すっ飛ばして、増税、増税だけが前面にでているのが今の政権だ。

 今こそ、自民党は、こうした大きな改革に関する包括的提案を、すなわち国のかたちを変える全体像の提案を、具体的に国民に提示すべきタイミングだ。それによって民主党政権との国家像・政治哲学の違いをしっかり示した上で、もう一度、国民に今後の国のかたちの選択をお願いしようではないか。それこそが、あるべき憲政の道と考える。

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