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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2022/03/18(金) NO.871号 

再び新たなスタート

久し振りのメルマガ発信です。その分、多少冗長になる事をお許しください。

ロシアによる許されざるウクライナ侵攻開始から3週間余り。核保有国がここまで世界の秩序を無視した行動をとることができ、軍事行動をとらないことを早々と宣言してしまった米国をはじめ、西側諸国が手をこまねいて有効な対抗手段を取れない目の前で、毎日子どもを含む多くの市民の尊い命が失われていくのを、ただただ見詰めなくてはならないとは。プーチン大統領は、こちらが手も足も直接は出せないことを見越して、やりたい放題だ。言葉だけで言う民主主義では、ウクライナの人々を助けることはできない事が日々立証されている。世界の安全保障の前提が変わってしまった。

国会でのゼレンスキー大統領のオンライン演説について、ようやく実現に向け進みそうだが、英国、米国、ドイツに大きく後れを取った。前例がない、などという事が理由として議論されていることが報道されているが、ウクライナの人が聞いたら、同じ地球に住む人間の仕業とは映らないだろう。一昨年7月に、私は英国議会の正式な委員会にオンラインで日本の介護保険についてのヒアリングを受けた。「ハント前英国保健大臣及び英国議会保健介護委員会とのオンライン会議」(令和2年7月14日)昨年6月には、私が本部長だった自民党・党改革実行本部での提言では、例えば衆議院では、国会議事堂や議員会館の中で、オンラインでの会議ができる部屋が皆無であることを指摘、直ちに国会がネット環境を整備するよう提案したが、この有様。何とのんびりしている事か。危機対応ができない国、デジタル文化が全く根付いていない国日本であることを世界に露呈した。

昨年10月14日の衆議院の解散以来、約5か月。このところ、私にとって再び新たなスタートが始まりつつある。

今週の月曜日、今後の私の活動の基盤となる「一般財団法人 勁草日本イニシアティブ」の設立申請を、司法書士さんが東京法務局に行って頂いた。4月初までには正式発足となるのではないか。

「疾風に勁草を知る」とは、父が良く揮毫した言葉だが、「後漢書」の王覇伝にある「激しい風が吹いて初めて丈夫な草が見分けられる」との意味だが、日本が改めて真の「勁草」として蘇ることを念じての命名だ。

財団の設立目的にはこれまでに実践してきた課題、これから取り組みたい課題を18項目にわたって盛り込んだ。国会議員として様々な改革を進めてきたが、残念ながら、日本の「勁草」としての再興実現には依然、ほど遠いと思っているが故に、それだけ多くの課題に引き続き取り組むこととしている。

「10兆円ファンド構想」に見る国立大学等の改革の実効性のなさや、学校法人改革の迷走をはじめ、わが国が自ら変わる能力を持ち合わせないようにしか見えない実態とその行く末を見通すと、暗澹となる。

根拠もなく「それでも日本には底力がある」と豪語しても意味はなく、国際的な産業経済競争での負けパターン続きは随所で明らかだ。沈みゆく日本の証左のひとつとして、大学受験生の国外脱出が進みつつあり、上位進学校の優秀な高校生が、米国等の大学に、高校によっては毎年20〜30人単位で国外流出している。さらに、東大等では入学後も結構な数の学生が米国等へ転校していると聞く。恐ろしい事だ。有為な若き日本人材の海外流出が確実に進んでいる重みを深刻に受け止め、一日も早く反転させ、逆に世界から優秀な学生や研究者、教授陣等を日本に来てもらわねば、日本は世界で生き残れない。

昨年のIMF統計で2020年の1人当たり名目GDPを見ると、日本は24位。G7諸国の中でも6番目。近隣国ではシンガポール、豪州、香港、ニュージーランドに確実に水をあけられている。

経済も賃金も伸びない国に人は来ない。一方、今やグローバル人材が集まらない国や企業は成長しない。GAFAにしても、メガファーマにしても、SNSやワクチン等のベンチャー企業にしても、イノベーションの源は世界から集まる多様な有為人材だ。一民族で固まっている勝ち組グローバル企業は世界にない。

しかし、年功序列型、職能給型賃金で、自分の能力が公正に評価されない国にグローバル人材は間違いなく来ない。職務給型、ジョブ型雇用への大転換が必要だ。国籍、年齢、性別、学歴、等と関係なく優秀な人材を集められる企業、国に生まれ変わらない限り、わが国に明日はないと思う。昨日、既に社員全員をジョブ型雇用にすることを進めている日立製作所の最高人事責任者のお話を聞く機会を得たが、わが国では数少ない世界と戦える企業ではないか。

先進国で、一民族だけで生き残ろう、これからもそうしよう、というのは日本だけだ。他の国は皆グローバル人材を国内外を問わず、各階層で受け入れて成長してきた歴史だ。日本はせいぜい単純労働、3Kビジネスでのみ海外人材を受け入れ始めているが、「移民」などという言葉を使って外国人を特別視しているうちは、日本は成長しない。世界のグローバル人材に国境はとっくになくなっているのだ。

民間の雇用慣行に直接影響力を行使するのは難しい。私は、その突破口は、「出入り自由な公務員制度の実現」だと思う。まさに、公務員も、ジョブ型雇用への転換を果たし、霞が関の内外を問わず、ポスト毎に世界最高水準の人材を常時充てる仕組みへの転換であり、これを一日も早くやらない限り、日本の明日はないと思っている。

「新しい資本主義」と言いながら、国際競争に勝てないまま、つまり大して成長しない経済力のまま分配を増やす、賃金は3%上げてくれ、と言っても、持続可能ではない。目的と手段を取り違えていないか。賃金を最終政策目標にすること自体、持続可能ではないと思う。戦後高度成長を支えた「官僚統制社会主義経済」こそ日本経済社会の本質のままで変わっておらず、日本は「新自由主義」どころか、まだ資本主義にすらなり切っていないまま今日を迎えていることを再認識すべきだ。

初めて資本主義を本格的に目指し、その中で賃金、すなわち生活水準をいかに引き上げていくか、それは、国際競争に打ち勝てる強く、新しい日本経済を実現しない限り実現しない。

一民間人となった今、立場を変えて引き続き日本の「勁草」としての再興実現に向け、骨を折り続けたいと思う。そのためには、昨年9月の自民党総裁選挙時に9月21日付けのメルマガ「第三臨調により令和の大改革を断行せよ」で発信した「令和の大改革」の断行が不可欠と思う。幸い、経済界等を中心とした「令和臨調」が立ち上がりつつあるようだが、私も元国会議員はじめ随所におられる長年の仲間達とともに「令和の大改革」実現に寄与して参りたいと思う。

先週、愛媛県養育里親名簿に、我々夫婦が正式に登録された。大切な松山、愛媛の子ども達の養育のお手伝いをしっかりやって行きたい。もちろん、家庭養育優先原則が根付き、子どもの健全育成環境整備のための政策作りは、引き続き取り組み中だ。

また、2月22日、私主宰の「ゲノム医療推進研究会」の第一回勉強会を開催、約10名の国会議員、厚労省、製薬会社等10数社の民間ゲノム医療関連企業等約40名の現地参加、ほぼ同数のオンライン参加の下、活発な議論を開始。患者起点、患者還元を基本とし、命を守るためにゲノム医療を活用し、実際に使える個別化された医薬品の開発にも効果的につながるよう、ゲノム医療関連産業振興、個人情報の保護と利活用等のインフラ整備を図っていきたい。

一昨晩には、第4回目の「AMR(薬剤耐性)に関するワンヘルス・グローバル・リーダーズ・グループ(GLG)」会合がテドロスWHO事務局長参加の下、オンラインで行われ、世界の約20名の委員の一人として参加、WHOが検討中の「パンデミック条約」構想に、「スローパンデミック」と称せられるAMRの対策も入れ込む方途等を議論した。日本人のこの面での危機意識は、ここでも全く不十分だ。

その他、COVIT-19後の日本の公衆衛生の在り方と国と地方の関係など感染症有事における国家ガバナンス問題、グローバル・ヘルスのあるべき姿と日本の役割、ワクチンを含む医薬品開発問題、データヘルス改革等にも引き続き取り組むことは言うまでもない。

今後は、これまで同様、私の考え方を時に応じ世に発信をし、広くご意見を頂きながら、日本の「勁草」としての復活を目指し、また、これまでの学びを社会実践・実装に活かして参る所存です。宜しくお願い申し上げます。

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