トップ > やすひさの独り言

やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

  • メールマガジン登録・解除
  • 全タイトル一覧
  • バックナンバー
2020/05/06(水) NO.829号 

科学、多様性、スピード、透明性重視の英知の結集

昨日の夕刻、大阪の吉村知事が独自の数値目標付きの「出口戦略」を発表、5月末まで延長された緊急事態宣言期間中でも、外出自粛や休業要請の段階的な解除を行う考えを打ち出した。「PCR検査陽性率が一週間平均で7%未満」、「感染経路不明患者が一週間平均で10人未満」、「重症者向け病床使用率が60%未満」との3つの指標が原則7日間続けば、自粛を段階的に解除していくというものだ。さらに、再び感染拡大を疑わせるような状況についても、具体的数値を前提に自粛要請を段階的に再度実施すると、あくまでも感染拡大を封じ込めることが規制の緩和の条件である事を外していない。

一般の大阪府民から見ても、専門家から見ても、分かり易いと思う。今回のような深刻な感染危機に際しては、一人一人が納得がいき、自ら自分の行動を変えよう、と思わなければ、感染抑制は成功しない。そのためには、十分丁寧な、理解可能な具体的な説明が不可欠だ。抽象的だったり、一方的な説明と説得はうまくいかない。


このところ、米国やEU、個別EU加盟国が「出口戦略」を公表している。米国は、「Guidelines: Opening Up America Again(アメリカ再開ガイドライン)」を4月16日に、EUは4月15日に「Joint European Roadmap towards lifting COVIT-19 containment measures (封じ込め措置の解除に向けたロードマップ)」を公表している。

経済活動再開に前のめりのトランプ大統領の米国でも、再開基準として、1.新規感染者・検査が14日間減少する事、2.病院での危機対応の解消、3.医療従事者の抗体検査を含めた強固な検査体制確立、など数値目標を含む基準だ。

EUも判断基準に関し、加盟国が科学的根拠でそれぞれ決めることとした上で、1.「疫学基準」として新規感染者、入院患者、集中治療患者について持続的に減少する事、を定め、2.「医療提供体制」に関しては、集中治療室の占有率、病床数、検査従事者の数、などを定め、3.「検査・監視機能」として、大規模な検査機能、接触履歴を追跡する機能、患者隔離能力、等数値目標を含めて決めるよう定めている。

一昨日、わが国政府は専門家会議の考えを基に、緊急事態宣言を5月31日まで延長し、10日後の5月14日に専門家会議を開催、分析の上、一部地域での宣言解除する可能性を示したが、そこにはほとんど具体的数値基準はなく、どのような条件変更が宣言解除に結びつくのかが分かりにくい。

そこでは、「1.感染の状況、2.医療提供体制、3.近隣都道府県の感染状況、などを踏まえ、総合的に判断する」と、霞が関が良く行う、何を根拠として物事を決めたか分かりづらい「総合的判断」が、このような科学で判断しなければならない、「感染危機」においてもまだ、総合的判断だ、という。経済社会への規制のあり方に帰着する限り、最後は政治判断である事はその通りだが、その前提に科学的判断が十分反映されている、という確信があった方が、より良い。

休業に追い込まれ、収入源を絶たれている多くの不安な事業者や、休校により自宅待機で教育機会を失っている多くの子ども達から見ても、どうなったら封じ込め解除となるのかが分かり易い方が良い。一昨日のBSフジのプライムニュースで私から、「14日の専門家会議の判断の際には、是非とも判断の数値的根拠を十分示していくべき」と提案した。

新型コロナウィルス感染が始まった年初からこれまでの政策対応を振り返り、また、大きな政策変更をもたらす5月1日や4日の専門家会議の提言などを読みながら、次のような事が私達与党議員にとっても課題ではないかと思う。

1.科学に基づく、そしてエビデンスに基づく政策作りと国民の説得(リスク・コミュニケーション)が重要
ーーー「8割接触削減」にしても、その科学的根拠は未だに不明確。国民が容易に理解、納得する説明に努めるべきだろう。たとえ一人一人の国民が理解しづらくても、一つ一つの政策決定や提言に際しては、参考資料で良いので、科学者向けに科学的、データを伴うエビデンスをきちんと示し、世の中の専門家間の議論を通じた国民理解の深化を図る事が大事だろう。EBPM(Evidence Based Policy Making)だ。自民党行革推進本部でも、推進中。

2.多様な意見に基づく政策作りを一層心掛けるべき
ーーー感染経路不明患者が増え、最早クラスターを追跡するだけでは不十分である新たな局面に入っており、今後は検査・隔離をより重視する、ということを専門家会議も最近述べている。ならば、新たな局面に相応しい陣容にすべく専門家会議も新たなメンバーを加えてはどうか。この事は、ノーベル賞受賞者である本庶祐先生も繰り返し提言しておられたし、私も、厚労省には、追加メンバー候補者リストをとっくに渡してある。例えば、「検査・隔離重視」医療専門家、救急や呼吸器系の臨床医、ゲノム解析専門家、ビッグデータ分析医療政策専門家、経済財政専門家、マーケティング戦略家、危機管理弁護士、などがその候補分野だろう。

3.スピーディーなディスクロージャーを徹底すべき
ーーー政府の透明性は国民の信頼、安心の基礎。未知の新型ウィルスとの闘いである事を踏まえ、できるだけ多くの英知を結集することが重要。専門家会議の議事要旨の公表は2〜3カ月後というがこれでは、未知の敵との戦いに勝てるスピードではない。せめて1〜2週間後には、専門家会議の全ての議事要旨を世に公表し、多くの多様な意見をもらい、軌道修正が必要なら早めに行うことが国民益の最大化に繋がると思う。

いずれにしても、ここは、十分なレベルまでの感染拡大抑制を科学的な根拠を持って実現し、それに従って経済社会活動の再開を、科学的根拠を持って一日も早く実現していくことが何よりも大事だろう。新型コロナウィルスについて、依然として未解明なところばかりである事を考慮すれば、できる限り幅広く英知を結集するしかない。

バックナンバー

2020/05/06 NO.829号
科学、多様性、スピード、透明性重視の英知の結集
2020/05/03 NO.0号
【本日】TV出演情報『プライムニュース』(BSフジ)
2020/05/02 NO.828号
やはり重視すべきは、国民目線
2020/04/28 NO.827号
柔軟発想で、コロナ危機を乗り切ろう
2020/04/26 NO.826号
新型コロナ危機にこそ、休眠預金活用を、との提案