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現代ビジネス-2013年2月21日掲載記事

政府与党一体で、これまでとは次元の違う大胆な経済再生策を! 自民党・日本経済再生本部も全力で安倍内閣を支える覚悟だ(現代ビジネス)

 いよいよ安倍政権による国家再生への取り組みが本格スタートした。

 私は党政調会長代理として政調会長を補佐し、党の政策全般を見る。中でも、総裁直属機関として総裁選直後に発足した「自民党・日本経済再生本部」の本部長代行として、特に地方の活性化に力点を置くほか、日本社会全体に巣食う構造問題の解消に向けた議論を深めつつある。「失われた20年」を「失われた30年」にしないよう、全力で安倍内閣の日本再生への取り組みを支えていく覚悟だ。

 現段階の国民の最大のニーズは経済再生だ。国民の所得と雇用を回復させることに正面から取り組み、確かな暮らしの実現を目指したい。一人ひとりが国と自らに対して再び自信と誇りを持てる、強い日本を実現するために、力を尽くしたいと考えている。

 安倍総理は1月28日の所信表明演説で、「これまでの延長線上にある対応では、デフレや円高から抜け出すことはできません。だからこそ、私は、これまでとは次元の違う大胆な政策パッケージを提示します」と明言した。全く同感だ。

 旧態依然、霞が関主導の対策では、「失われた30年」に突入しようとしている日本を再び蘇らせることはできない。同じく所信表明で安倍総理が明らかにしたように、財政出動に頼り続けず、民間活力を持続的に拡大する、成長のための大胆な戦略の断行こそ重要だと考える。

 自民党日本経済再生本部では、政府「日本経済再生本部」での検討において補強、強化が望ましいと思われる論点を主に取り上げ、安倍内閣の経済再生策を強固なものにすることを目指す。また、元旦早々に総理から直々、「自民党の再生本部では、特に地域経済の再生に向けて、具体的な知恵出しを願いたい」との要請を受けたが、こうした総理・総裁からの特命事項を、しっかりと掘り下げることが、政府を支援する与党として、大事であることは言うまでもない。

構造問題そのものに切り込む

 自民党日本経済再生本部では、従来の講師ヒアリングに留まらず、「マクロ金融財政経済政策」、「地域経済再生」、「規制改革」「労働力・生産性向上」「金融資本市場・企業統治改革」「教育改革」「戦略産業」「研究開発」の8つのテーマに関する作業グループを、当選1〜2回の若手議員を中心に編成し、本部とは別に鋭意議論をしてもらい、提言を出してもらうことにした。ベテラン議員が居並ぶ前では提案しにくいような、斬新かつ大胆な提言を新進気鋭の若手議員に期待している。

 日本経済の構造的な問題を考える際、私の問題意識の根底には、「何故日本には、アップル、マイクロソフト、グーグル、Facebookのような元気な成長企業が生まれないのか」、また「何故、ROE(自己資本利益率)が低く、生産性が低い企業が生き続け、産業再編が起こらないのか」との認識がある。例えば「金融資本市場・企業統治改革」グループでは、そうした問題の根幹にある、コーポレート・ガバナンス(企業統治)のあり方について、深く切り込んで欲しいと思う。

 銀行が単なるゾンビ企業の生命維持装置と化していないか、銀行の株式保有や企業の株式持ち合いなどの株主構成の歪み、それに伴う取引関係の歪み、などをどう是正していくか、など一朝一夕には解決できない複雑かつ根深い課題が多いはずだ。そして、いつまでも突破口が開かれなければ、いかなる政策を打とうとも、自ら力強く伸びる企業が次々と生まれるような状態にならない限り、日本経済に活力が戻ることはないだろう。

 また、東京市場を魅力あるものにし、世界から投資を呼び込むために、制度上の改革として何ができるか。国際会計基準IFRSへの収斂や、企業育成・再生に強い地域金融機関の育成、「独立取締役」導入や公開会社法、女性・外国人取締役の拡大と開示義務化等、企業統治の観点からの改革も重要だ。

「地域経済再生グループ」では、前述の総理要請に則り、特区制度や企業立地政策改革、東京一極解消へのインセンティブ制度の創設、中小企業対策や観光戦略、産官学連携推進など、幅広に議論してもらいたいと考えている。商店街再開発等、街づくりに関わる規制改革・緩和も重要な論点だろう。

 また、このグループでは、自治体による新しいチャレンジへの支援についても鋭意提言してほしいと思っている。例えば、宮城県による仙台空港のPFI(コンセッション)方式による民営化・復興や、愛知県大村知事による高速道路へのPFI方式の導入などは、その好例だろう。

 地方の活性化という文脈では、農林水産業の再生ももちろん欠かせない。従来の発想を変えながら隘路を除き、強い農業を実現し、日本ブランドが世界にも羽ばたける政策が重要になってくるだろう。

規制改革は成長戦略の一丁目一番地

 安倍総理は、「規制改革は成長戦略の一丁目一番地だ」と語っている。こうした総理の思いをしっかり受け止めて、「経済再生に資する規制改革グループ」には、果断な規制改革提言を出してほしいと思っている。

 人口減少、高齢者化社会の中で、それでも規制改革による需要創出、財政依存なき成長の実現を果たすために、具体的な実効策をどんどん打ち出していかなければならない。これまでの議論でも、ハローワーク民営化等の労働政策関係や、容積率・建蔽率などの規制改革は直ぐにでもできる案件だと気勢が上がっている。

「労働力・生産性向上グループ」では、人口減少下における経済成長政策を論じてもらう。我が国の戦後成長は、一部の輸出型産業の高生産性がずっとリードし、日本を経済大国にまで育て上げたが、その他産業、とりわけ非製造業は低生産性だった。しかもここにきて、輸出型産業の生産性も低迷している。このことが「失われた20年」の遠因にもなっている。

 労働力の底上げについては、女性、高齢者、外国人の就労支援策を総合的に考える必要がある。中でも女性、高齢者の就労支援策は特に重要だ。そのために、子育て支援や介護支援、一般家事支援などへの支出を、所得を得るための必要経費として税制優遇する「家事支援税制」など、これまでにない視点での女性支援策の検討も重要だ。

「経済再生に資する教育改革グループ」では、経済成長に寄与する大学・大学院を生み出す改革断行を議題の一つにしてもらいたいと思っている。日本の大学運営は、国内外のニーズ変化に十分対応できておらず、世界の大学運営方法と大きく異なるが、これは一重に、「自治」優先、「経営」不在の大学人による極めて内向きな運営に由来するものだ。これらは大学のガバナンス改革によってのみ解決できるだろう。そのためには、学長がリーダーシップを格段に発揮できる仕組みの構築がまず重要だ。

 また、大学の教育と企業が必要とする人材ニーズとの乖離、という深刻な問題にも早期に改善が必要だろう。企業や社会が期待する能力は熱意、行動力、協調性、論理的思考力、課題解決能力などだが、有名大学で優秀な成績を残しても、必ずしも企業や社会では活躍できない。「知識の量」ではなく「生きる力」を大学では教えなければならない。大学が変われば高校以下の教育もすべて変わるはずだ。英語教育にも抜本的な見直しが必要なことは論を待たない。

「戦略産業グループ」では、政府のターゲティングポリシーの補強を、「研究開発グループ」では、成長の原点は科学技術であり、新興国の経済発展、先進国間の競争激化を踏まえれば、あらゆる産業の高付加価値化こそが唯一の生き残りの道であるとの認識の下、国家レベルと民間レベルの双方の研究開発促進を強力に推進する施策を検討する。

「マクロ金融財政経済政策グループ」は唯一、新人ではない当選6回の山本幸三議員が主査を務める。名前の通り、マクロ的な視点から、金融・財政・経済のあらゆる分野の具体的な施策を検討、提案していただく。

緊張感を持って地方からの再生を

 また同時に、都道府県連支部連合会毎に、各々の政調会長を本部長とする「地域経済再生本部」を立ち上げ、国・県・市町村議員こぞって地域経済の活性化策を議論してもらい、日本経済再生本部まで提言を提出してもらうよう、本部長代行である私の名前で全国に通知した。地方の声を十分に反映して、地方からの底上げ、地方からの日本経済再生を、党主導で強力に推し進めていきたいと考えている。

 勘違いしてはならないのは、自民党は今回の選挙で勝ったのではなく、民主党の失政という敵失で得た議席に過ぎないということだ。民主党よりはマシだからという消極的な支持を頂いている状態に過ぎない。そこで手段を誤れば、我々も民主党政権と同じ道を辿ることになるだろう。そのためには、地方、有権者の生の声をしっかりと聞いて、それを踏まえた、頭でっかちではない確かな政策を作る、というプロセスを大事にしていくことこそが重要だろう。

 強い日本を復活させる。それが果たせなければ自民党もおしまいだ、という緊張感と覚悟を持って臨まなければならない。読者各位からも、様々な提言を是非ともお寄せいただきたい。


http://gendai.ismedia.jp/articles/-/34940