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愛媛新聞-2004年5月27日掲載記事

手話について 〜四季録〜

テレビドラマ「オレンジデイズ」が好評だ。病気によって耳が聞こえなくなった女子大生と主人公の、手話によるラブストーリーである。

私は高校時代、「手話と敬語はマナーとして身につけていたほうがいい」という学校の方針で、簡単な挨拶程度ながら手話の教育を受けた。が、私が学んだのは正確にいえば「手話」ではなく、「日本語対応手話」だったと、二十年目にして知った。教えてくださったのは、衆院議員の塩崎恭久さんである。塩崎さんによれば、日本のろう教育は「日本手話による教育」を認めていないのだという。

「えーっ、なんですか、それ」

失礼ながら、私は幼稚な声をあげてしまった。

調べてみると、「日本語対応手話」とは、日本語を話しながら、その語順通りに手話単語を並べるものであった。「オレンジデイズ」で柴咲コウさん演じるヒロインのように、日本語教育を受けてから聞こえなくなったのなら、それでもいい。が、生まれついての聴覚障害者や言葉を学ぶより早く聴力を失った子供は、単語だけでは「日本語そのもの」を覚えることができないという。そのために「日本手話」が必要なのだそうだ(異論もある)。

人は幼児期に言葉を「聞いて」覚え始める。では「聞こえない」子供はどうか。私は、そんな当たり前のことも想像できなかった自分の浅はかさに、がく然とした。

文部科学省が認めている「ろう教育」は、聴覚口話法と手話単語を併用している。音声言語である「口話」、いわゆる読唇術に近い方法を中心に教育を行うもので、聞こえない子供に「音」を中心とする口話を強いるため、意味の疎通がはかりにくかったり、学力が伸び悩んだりするという。もちろん、それがすべての意味ではないだろうが、「聞こえる人」や「途中から聞こえなくなった人」が作った制度だとしたら、あまりに悲しい。

何が最良の方法なのか、正直いって私にはわからない。私にできることは問題意識を持って書くことくらいだ。それでも、何もできなくても、知らないよりは知っていたほうがいいと私は思う。私たちは自分を基準に考えてしまうことが、まだまだ、たくさんあるような気がする。

(大野優凛子・日本推理作家協会会員)

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