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週刊エコノミスト-2003年6月17日掲載記事

「更正特例法を使え」

―――予定利率の引き下げは必要か。
生保の逆ざや状況が深刻なのは確かで、それが、中長期的に生保の経営に大きな影響を及ぼすのは間違いない。保険業法第1条には「保険契約者の保護」がうたってあり、契約者は第一に守られなければならなく、それは、金融庁が責任を持って考えることだ。
忘れてならないのは、生保の契約とは、あくまで民間の「私契約」ということだ。民間同士で一度約束したことは守られなければならない。ルールを重んじる法治国家ならなおのこと。もし、それが守れなくなったというならば、司法手続という解決方法がある。会社更生法、民事再生法、生保ならば更正特例法だ。こうした司法手続きであれば、裁判所が法律に基づいて、関係者を公平に扱い、再生可能な場合は、再生を図ってくれるだろうという世の中の信頼感がある。
引き下げは、破綻していないのに約束を破ることを意味する。それを嫌だと考える契約者も従わざるを得ないことになり、世界を見渡しても、こんなスキームはない。一人でも(引き下げに)反対する契約者がいたら、強制すべきではない。

―――破綻させるより、引き下げのほうが影響が少ないという意見がある。
生保が、実はどれだけの含み益を持ち、どれだけの社宅を持ち、どれだけの給料を支払っているのか、そういった資産状態などは、相互会社という形をとっている生保が多いために本当のところは不透明だといわざるを得ない。そのもとでは、どっちが影響が大きいとか少ないとかは、判然としない。

―――引き下げで生保の経営問題は解決するのか。
予定利率を引き下げたところで、生保のビジネスモデルが変わらないのなら、問題は何も変わらない。デフレ経済が続き、少子高齢化が加速していくなかで、経営が思わしくない生保が、引き下げた後、スポンサーなしで単独でやっていけるとはだれも考えていない。引き下げたとしても、合併・再編は避けられないと関係者は皆思っている。契約者にしても、同じ思いだろう。

―――生保問題は銀行問題か。
合計で2兆円ほどの資金が銀行から生保に、基金や劣後債等で流れていて、生保に万一のことがあると銀行が影響を受けるということは分からなくもない。しかし、生保全部が潰れることはなく、資本の持ち合いによって大きな影響がでるとは思わない。たぶん、銀行を守るためにという要請が、しかるべきところに来ているのだろう。
 再度言うが、株安で大変だ、生保が潰れて銀行も危ないという、そんな大雑把な話で法治国家のルールを破っていいとは思わない。