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日本経済新聞-2002年8月24日掲載記事

ザ・ディスクロージャー 透明な市場へ課題を聞く -インフラ整備 長い目で- 

●会計監査が進んでいるとされた米国で会計不信が起きています。金融問題に詳しい議員の立場からどうみますか。

「米国ではバブルが崩壊し、バブル期の不正が暴かれている。バブル崩壊からわずか一年弱でいろいろな問題点が表面化してきた。不正も含め情報を公開することはマーケット(市場)の基本原則だ。米国では証券取引委員会(SEC)をつくるにあたり、情報を完全に公開して市場の判断に委ねることにした。不正が暴かれる、という正常な仕組みは日本よりかなり進んでいることを改めて認識する必要がある」

●日本でも会計監査や情報開示などで改革の動きがありますが。

「日本はこれまで裁量行政でやってきた。日本には投資家保護の視点が乏しかった。私はかねて、証券市場の監督当局を"日本版SEC"として独立させる構想を提唱しているが、最近の米国の例を見て有効ではないという人がいる。だがこういう時こそ、改めて日本のシステムを検証し直すいいチャンス。経団連も五月に日本版SEC創設を訴えたが、長い目でみて投資家のためになることをすべきだ」

●日本では、経営者が投資家や上場メリットについてあまり考えてこなかったようです。

「日本はそもそも間接金融が中心でディスクロージャーという発想がなかったからだ。情報開示に加え、上場企業の経営者は利潤を追求することで投資家の利益を守る必要があるが、証券当局とともに投資家の保護を考えなくてはいけない。米国ではこれが至上命題だが、日本の場合はまだそこまではいっていない」

「投資家保護を実現するにはまず日本版SECをつくり、会計、監査、取引ルール、摘発権限、すべてをフルセットで整合的に考えられる人を置かないと、貫した証券市場行政はできない。旧大蔵省の出身者は業者を抑えることが仕事だと思っているが、銀行と証券では事情が違う。そうした業者行政としての証券行政は資本市場の運営全体から見ればほんの一部に過ぎない」

●公認会計士不足という問題もあります。

「会計がいかに大事かを国民にわかってもらうことが必要だ。会計が大事だ、と認識されれば需要が増える。米国と日本の経済力を考えた場合、少なくとも会計士の数を倍に増やす必要がある。会計士の質が下がらないようにするためには、需要を高めていけばいい」
「会計士、監査法人の行政、政治、企業経営者からの独立性も確保する必要がある。その一方で、社会問題にもなっている会計士の責任の問題も明確にしなければならない。会計士に責任があることを世間が認めるには報酬を増やす必要があるが、それも企業経営者が会計の重要性を感じなければできない」

●政治家や官僚の間では会計の重要性は認識されていますか。

「私が委員長を務める自民党の企業会計に関する小委員会を先日開いたが、国会議員だけで三十人も出席した。米国の問題を対岸の火事と思っていない政治家は少なからずいるということだ。一方、行政は組織に加え、担当者の頻繁な異動が問題だ。あんなに代わっていてはマーケットのプロに勝てるわけがない」

「資本市場のインフラ整備は、短期的には成果が出てこない。インフラは整備できても、経済にはね返ってくるのは五年、十年先だ。しかし景気に配慮して問題を隠したとしても駄目なものは駄目だ。真実の姿をみせ、それでも投資しますか、という姿勢が真のディスクロージャーだ」