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朝日新聞-2002年2月15日

提言 デフレ対策(公的資金)

<デフレ対策の一環として、不良債権処理を進めるため、公的資金を金融機関に強制的に注入する案が出ています?>
公的資金で資本注入すれば、すべての問題が解決するという考え方があるようだが、とんでもない。まず、現行法では強制できない。『強制注入』などと言うだけムダだ。
<しかし、政府内からも、資本注入を検討する動きがあります?>
資本注入は目的ではなく、手段だ。最終目標は、産業や企業の活性化だ。どうやって企業を元気にするかだ。デフレとは価格が下がり続けることだが、価格は需要と供給のバランスで決まる。携帯電話などアイデアと技術革新を生かした商品なら、今でも売れる。

<では、金融部門の健全化はどのように進めるべきでしょうか?>
銀行の健全性を確保するのは金融庁長官の責任だ。貸し出し資産の健全性を見るため、厳格な査定をすることだ。破たんした『そごう』などを見ると、明らかに厳格な査定はできてない。
厳格な査定をやり、それに見合った資本が足りなければ銀行に業務改善命令を出す。それでも足りないなら必要に応じて資本注入をする。完全な債務超過になっていることが判明すれば基本的には国有化するべきだ。

<99年の資本注入は効果がありませんでした?>
単に『穴の開いたタイヤ』に空気を入れただけだったからだ。『穴』とは、金融機関の貸出先の経営が悪化した企業だ。借り手である企業の再生を図らないまま、金融機関が中途半端な債権放棄だけやった。だから、3年後にはタイヤからすっかり空気が抜けてしまった。
借り手企業を元気にし、担保不動産の価値を上げないと何も変わらない。産業再生をセットでやる必要がある。
デフレ傾向だけをくい止めようとするのは、病気の人に『熱を下げましょう』とだけ言うのと同じ。なぜ熱が出ていて、原因をどう取るのかを考えないと完治しない。

<金融機関の不良債権処理が進むことで、かえってデフレが悪化するとの指摘もありますが?>
間違いなく不良債権処理にはデフレ効果がある。首相は『改革なくして成長なし』と言うが、本当は『構造改革なくして日本経済は再生しないが、短期的にデフレ効果がある』ということだ。そこは正直に認めればいい。デフレ圧力が高まれば、ある程度の痛み止めも必要になる。

<政策転換になりませんか。「国債30兆円枠」は首相の公約です?>
30兆円枠は守ればいいが、下支えは財政しかできない。だから、国有資産を売ればいい。NTT株など政府保有株は約5兆円弱ある。不動産などの資産も約30兆円。財務省の土地は5階建てで使っているが、民間のディベロッパーなら必ず買い、高層ビルにする。必ず売れる。財源はある。

<政治家から、日銀に一段の金融緩和を求める声が出ていますが?>
金融緩和などは飽きるほどやってきた。日産自動車が経営を立て直したのは、日銀が市場に潤沢に資金を供給したかではなく、カルロス・ゴーン氏が経営者として指導力発揮し、社員が頑張ったからだ。不良債権問題は、つまるところ、一つひとつの企業をどうするかの問題だ。