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朝日新聞 2001年7月5日

「日本版SEC」つくれ -市場行政一本化を-

自民党金融調査会副会長 塩崎恭久

-証券市場 信頼回復の条件-

違法営業で4日から全店営業停止になった国際証券をはじめ、証券会社の違反行為が相次いでいる。投資家の業界不信に日米景気の減速も重なって株式市場は視界不良の状態だ。96年秋に打ち出された日本版ビックバンから5年。相次ぐ違反は改革がはらんでいた矛盾の表れとの指摘もある。市場と業界の信頼回復への条件を識者に聞いた。

―証券会社の違法行為が続出している原因をどう考えますか。
「資本市場から違反者をつまみ出す最低限の機能が、日本の市場監督当局に不足している。だから、証券会社が増長し、個人投資家は不信感から市場と距離を置く悪循環が起きている。このままでは、証券税制などを改めても市場はよみがえらない。」

―なぜ当局のにらみが利かないのでしょう。
「関連行政がバラバラで最終責任部署がないためだ。金融庁の総務企画局、監督局、検査局と証券取引等監視委員会に分散し、市場のモニターは証券取引所に任せている。この体制自体が問題だ。証取委は違反を調べて処分勧告するだけ、金融庁は勧告を受けて処分するが、市場で何が起きているのか把握する能力はない。組織に無駄とすき間があり過ぎる」

―対策は。
「市場行政の部署をすべて一本化して、強大な権限と陣容を誇る米国の証券取引委員会(SEC)と同様の組織、日本版SECを急いで作る。
金融担当大臣の管轄も外し、国家行政組織法の3条委員会にして独立させるべきだ」

―証取委の人員増強だけでは不十分ですか。
「市場という独特のシステムに適合した監督体制を築き専門スタッフを育成するには、今の金融庁は分割する必要がある。金融庁を作る時、銀行や保険会社と、証券会社や資本市場を同じ役所に任せたのは失敗だった」

―なぜですか。
「過去の大蔵行政は、銀行や生保の経営悪化が金融システム不安を招くとの理由で、会計基準をねじ曲げて問題金融機関を救済した。その積み重ねが企業の財務内容への不信を高め、資本市場の機能不全を招いた。銀行保育株式取得機構への対応も同じで、金融庁は旧大蔵省に似てきている。市場行政部分を切り離すことが不可欠だ」
「日本版SECには訴追権、差し止め権、民事制裁を科す権限、審決権など、準司法的権限を持たせる。市場監視や違反を摘発しやすいルール作りも日本版SECの重要な任務だ。米国のSECは3千人体制だが、日本も市場規模などを勘案して専従1千人体制が必要だ」

―人員増強には行革の壁があります。
「全中央官庁から人材を結集するとの政治決断があれば克服できる。肝心なのは専門性をどう高めるかだ。民間の先端業務の表も裏も知る優れた人材を集める。このため、日本版SECは、守秘義務などの厳格化を条件に公務員の転職規制の例外とすべきだ。様々な事情で早期に退職せざるを得ない場合でも、すぐ転職できる仕組みにしておけば、民間から市場の番人になろうという人は必ず増える」