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サンデー毎日-2000年 8月6日号

自民党の明日を創る会激白座談会 オレ達で政権を獲る!

若手議員らが7月初旬に結成した「自民党の明日を創る会」。公然と森政権を批判し、来年の総裁選に向けて、同会からの候補擁立で政権奪取を狙う。あるいは田中真紀子、石原慎太郎氏の可能性も。中心メンバー4人が論じる日本の政治の明日とは?


編集部 「明日を創る会」は自民党の改革を目指すということですが、具体的には・・・

河野 いちばん打破しなければならないのは、人事が年功序列と派閥で決まってしまっていること。委員会の配属まで派閥で割り振っている。これではこの国がよくなるはずはない。

渡辺 派閥は、中選挙区の遺物ですよ。その派閥システムの摩擦を極力回避する方法が年功序列だったんですが、それが可能だったのは、38年間自民党が政権党であり続けたからなんですね。二つの前提がいま崩れちゃっている。
 自民党が政権に復帰して、橋本(龍太郎)内閣の時に参議院選で大惨敗しましたね。あのあとの総裁選挙は、けっこう面白かった。派閥の仕切りがなかったんですよ。最大派閥の小渕派も梶山(静六)さんを支援するグループとに分かれちゃった。旧渡辺派なんかもシツチヤカメッチャカ。三塚派だって小泉(純一郎)さんでやろうという人と、裏では、そうじゃねえという人がいたりして。ところが小渕(恵三)さんの2回日の総裁選のあたりから、またぞろ沢閥が復活してきて、昔の仕切りになってきちゃった。
 だからここで、われわれはこういうアホみたいな自民党的な遺物を、根本的に変えようということで立ち上がったんですよ。

編集部 年功序列をなくすにしても、実際問題として、他にいい人材がいますか。
石原 日本の社会って、地位が人をつくる部分があるんですよね。現に、田中真紀子さんは当選1回で科学技術庁長官を、野田聖子さんだってソツなく郵政大臣を務めた。ある程度の能力さえあればこなせるんですよ。

編集部 派閥といえば、旧小渕派に代わり橋本派が誕生しました。

石原 派閥を持つ意味がなくなつたことを象徴する出来事じゃないですか。派閥というのは、親分を総理にしようと思って集まっているんだけど、(橋本派は)一度総理になっちゃった人が会長になったわけですからね。

河野 結局、派閥には、ポストの配分システムしか残ってない。ポストを実力主義で割り振るようになってくれば、泥閥は要らなくなる。派閥の覿分はいまそうなることをいちばん恐れているんじゃないですかね。そうすると、派閥の親分は、自民党の改革を阻害する側に回るしかない。

編集部 渡辺さんは、森首相を代えるのがいちばんいいと言い切ってますね。

渡辺 システムをかえる手っとり早い方法は、トップの首を代えることなんですよ。
ですから、私は選挙の前から森さんには代わってほしいと言っていた。やっぱり選挙に負けた直接のきっかけは、森さんにあったと思います。森さんとツーショットのポスターをベタベタ張った人たちは多くの人たちが落選したりしていますからね。私のように、森批判を大いにやった人は逆に票を増やしちゃって、私の選挙区では自民党の比例票も増えちゃいましたからね。

河野 来年9月の総裁選に、「明日を創る会」で候補を立てて戦えれば、派閥の求心力はだんだんなくなってくると思うんですよね。みんなどっちにつくのか、「明日を創るにつくのか、自分の派閥につくのかという踏み絵を踏むことになりますから。そこで石原さんか塩崎さんを立てて、しっかり戦えるかどうかがこの会のいちばんのキーポイントじやないですか。

塩崎 いま国民は何が不満かというと、将来ビジョンを示せる政治家が全然いないこと。オレは日本をこうするんだ、という人がいて、自分の考えに近いか、遠いかというのを考えながら、総裁が選ばれていくプロセスでないと、国民はもう納得しないんだろうと思うんですよね。

渡辺 橋本さんが総理になるのに、初当選から33年かかっているんですよ。小渕さんは35年。森さんは31年。30年以上たったら賞味期限切れですよ。YKKの管きんはこの間25周年を迎えて期限ギリギリ。われわれは、石原さんが10年。田中真紀子さんは7年、塩崎さんも7年。私と河野さんはまだ4年目ですよ。ですから、やっぱり新鮮なうちに国づくりのビジョンを示して、国民にアピールしていくことは大事だと思いますよ。

塩崎 政治家にも賞味期限がある。3年、4年前にいいと思っていても、いまはもう通用しないかもしれない。食べられない、シケちゃってて。公認を決める際に現職優先なんてやっている先進国はどこにもないんですよ。賞味期限が切れているのに、現職であるがゆえに死ぬまでやれるみたいな自民党的な話は、通用しない。

編集部 YXKも、もう時代遅れだと。

河野 YKKは、党改革の「改」の字も言わなくなつてしまった。派閥の宙ぶらりんのところにいる時にはいろいろおっしゃっていたけれど、トップに立ったら、守りに入っちゃつた。YKKだって、要するにいま年功序列でポストを分配し、うちの派閥のポストはなんだといって取ってくる方になっちゃっている。その次の世代も、待っていればオレたちだと思って、上を向いて口を開けている状態で。

渡辺 お三方とも流閥の領袖になつた時点で、役割は終わった。私にいわせれば、YKKのあとの世代は、電気自動車みたいなもの。排気ガス出さないからクリーンなんだけれども、パワーがないんじゃないか。われわれは、たぶん排気ガスも出すかもしれないけど、パワーもあるぞという集団じゃないでしょうか。

石原 私は、ちょつと違う感覚を持っているのは、あの3人は政治改革の時に中選挙区のままがいいと主張して、守旧派のレッテルを張られた。その時、小泉さんと加藤さんに私言ったんですよ。あなた方、YKKといって次代のエースと言われるけれども、いま守旧流だと言われて寝ていたら、われわれやりますよと。それで「グループ新世紀」をつくった。そういう思い入れがあるから、YKKにはもう1回頑張ってもらいたい。賞味期限ぎりぎりでもう1回勝負してもらいたいですね。

渡辺 でもね、加藤さん、山崎さんは、総裁選に挑んで、小渕さんの次は由分の出番だよという意思表示をしたにもかかわらず、その後2回も巡ってきた好機を逃した。小渕さんが執務不能になった時、選挙で自民党が大敗を喫した時、この2回とも見送り三振なんです。小泉さんはといえば、使い分けをやっている。YKKの顔と総裁派閥の領袖という顔とね。だから小泉さんが、加藤さん、山崎さんを、反主流流なのか、非主流流なのか、隠れ主流派なのか分からなくしている。そのあたりが非常に不透明ですよ。

編集部 小泉さんは皆さんより過激に行動する可能性を、まだ持っていませんか。

渡辺 森さんの考えとは全然、違いますね。

石原 いちばんラディカルな構造改革派ですよ、YKKのなかでも。ただそれがたまたま副社長になっちゃった。副社長というのはやっぱり、社長が100年やってくださいと言わざるを得ない。本当は自分がいちばん社長になりたいんだけど。

渡辺 その通り。

石原 それと力学。小泉さんは、やっぱり数を持ったものの長が強いどいうことを肌で感じているから、ああいうふうに言っているんじゃないですか。でも、蛮勇は振るいますね、いちばん。

編集部 そこで、皆さんが目指すという「自民党の改革」ですが、国民はもう自民党の「党改革」に飽き飽きしているんじゃないですか。つまり、この10年、20年と、同じ言葉を聞かされ続け、もう無理、期待しても無駄だと。

石原 改革の動きは歴史の必然みたいなもので、そのつどそのつど、出てきているわけです。かつての自民党は、田中角栄から三木武夫に疑似政権交代するみたいな賢さで乗り切ってきた。亀井静香政調会長だって、自民党を刷新する会をつくって金丸信さんに盾突いたり、新井将敬、太田誠一、山崎柘さんなんかと、私も「新生自民党を創る会」を発足させたこともありました。

編集部 今回の動きは、従来とはどこが違うのですか。

石原 決定的に違うのは、小選挙区の土俵での出来事だということです。今回の総選挙の結果を見れば、大都会だけじゃなくて、もう一つ大きな変化が起これば、全議員が一挙に入れかわる可能性だってある。東京で起こったことは、次の選挙では全国の県庁所在地でも起こり得る。自民党が農村党になり下がって、国民政党じゃなくなっているのが具体化しちゃうわけです。そういう危機感を持って行動を起こしている。

渡辺 いまの時代に必婆なのは政策のスピード。中選挙区時代のようなのらりくらりの対応では全くダメ。私たちは、日本の政治に対する危機感から集まっているんです。

塩崎 国民は、自分たちの不安が政策にスバーンとはね返ってこないという苛立ちを募らせています。年金が崩壊するんじゃないか、財政はどうみても破たんする、将来の増税は間違いなく起きる・・・。しかし、政治は相変わらず、派閥や党を優先し、今度の組閣も旧態依然とした論理で変わらないことをやっている。国民は象の皮をポリポリ掻いているような気持ちを抱いていると思うんです。

編集部 で、そうした閉塞状況を打破するには、「明日を創る会」から総裁候補を出すことだと?

塩崎 それは一つの象徴的な表現であって、実現するには、やはり数がいる。いくら候補者を出しても、票を開いてみたら20票というのでは意味がない。だから、いま何をやるべきかというところから、まず党改革を考える。それでもだめだったら、ほかの党も含めて行動するんじゃないのかなと、私はそう思う。

河野 それはね、すごく分かりにくい。国民は、自民党を改革しますとか何とかいっても、どうでもいいと思っている。納得させるには、やっぱり総裁を取っ代えちゃうしかないなと思いますね。

塩崎 だから、代えるためには、数が必要だと、言っているわけだよ。

河野 いままでは執行部に盾突くと怖いからなんとなくゴマをすつていたけれども、小選挙区制度の中で、ゴマすっていても、選挙でスパッと首を取られちゃうわけだからね。
執行部より国民の審判のほうが怖い。そうすると、古い自民党と新しい自民党の二つの選択肢が出てきて、相当数の人たちは新しい自民党を取ると思いますよ。総裁選挙が、仮に来年の参議院選挙の前に、何かのはずみであるようなことがあったら、ここは勝負をかけないとね。そこで自民党の総裁を若手がバーンと取りましたといったことを見せない限り、やれ基本方針を変えました、政策を変えましたといってみても、納得はしてくれないと思いますね。

編集部 総裁の椅子を、本気で狙うということですか。

河野 われわれは、もうルビコン川を渡っちゃったんだから、勝つか急けるかになっちゃうんだと思いますよ。

渡辺 大原則は、派閥の前に党があって、党の前に国家・国民があるということです。昔、私の父や石原さんのお父さんが青嵐会というグループを、派閥横断でつくりました。これは田中角栄内閣と当時の狂乱物価のアンチテーゼとして盛り上げていこうという運動だった。残念ながら、3年ぐらいで解散することになりましたが、当時、武道館に1万人が集まるほどのインパクトがあった。永田町の運動だけでなく国民運動になつたからですよ。われわれは、理念を実現するために権力を取らなければいけないという、政治の当たり前の行動をいま起こそうとしているわけですから、成否は、国民運動を起こせるかどうかということにかかっているんじゃないでしょうかね。

石原 われわれは秋の臨時国会の前に地方に出ようと考えています。どうしても自分の耳に入ってくるのは、自分に縁のある人たちの声が多い。地方で会合を開いて、この運動にどれだけ協賛してくれるのか、国民の声を聴くつもりです。

編集部 目指すは、あくまで政権奪取。

塩崎 やるんだったら、もちろん政権を取らなければいけないですよ。

渡辺 当然、そうです。いまのところ、「自民党の明日を創る金」という名前になっていますが、そのうち「日本の明日を創る会」になるかもしれませんよ。もちろん、自民党を割って新党をつくるなどということは考えておりませんが、無所属の人たちと連携するとか、場合によっては伸晃さんのお父さんに登場してもらうとかね。

編集部 現実的に考えると、マスコミも世間も、まだ渡辺さんにしろ塩崎さんにしろ石原さんにしろ河野さんにしろ、総理大臣としての期待感は熟してない。本気で政権を狙うのであれば、首相候補ナンバー1人気の石原慎太郎、ナンバー2の田中真紀子という選択肢が出てくるのでは。

河野 石原慎太郎、田中真紀子の名が挙がるのは、マスコミに登場している回数が多いから、世論調査をやると1位、2位になる。石原伸晃でも塩崎恭久でも、マスコミにどんどん出て、生の声が国民に届くようになつたら、状況は変わると思います。実際、塩崎さんについては、昨年の総裁選で、私が推薦人を30人集めようと署名を集めました。結果的には1桁しか集まらなくて、ごめんなさいってことになりましたけど(笑)。

石原 でも、塩崎さんは、インターネットのバーチャル総裁選挙では、総裁になったんですよ。

渡辺 30万票ぐらい取ったんだよね。

石原 断トツだった。

塩崎 必要なことは、われわれが地方に出て、国民に語りかけながら、改革の運動を盛り上げていくこと。そうしないと、総裁選という話にもならない。

石原 チエ・ゲバラもカストロも、いきなりハバナに来たんじゃないですよね。地方から攻めていったんですよ。

塩崎 やっぱり、それをやらなければいけないんじゃないですかね。

石原 まあ、殺されちゃわないように頑張っていかなければいけないね。

河野 しかし、世の中の状況を考えると、総裁選は、「明日を創る会」の候補で本当に45人きちっとまとまれば、勝てるところまではいくと思うんですよ。世論は絶対にこっちに味方する。

編集部 総裁選は1年余りあと。スピードの時代をいっているのに、それまで待つということでいいんですか。

石原 われわれができることは、総裁選の前倒しでしょうね。参院選は来年の夏。それまでに、何かなかったら、権力者はそんな簡単に変えられない。なんかの契機に総裁選の前倒しをやって、その時、初めて森さんの理念が分かってくる。森さんは、所信表明をしてませんからね。

塩崎 (首相になったのは)ホテルで5人で決めたんだから。

河野 来年の参院選を現体制で戦うとしたら、もう勝ち目ないですね。それなら、総裁選を前倒しして、新しいリーダーを決めればいい。その時は覚悟を決めて、「明日を創る会」のなかで総裁候補を決めていかなければ、どうしようもないでしょう。

編集部 ところで、皆さんと民主党の若手たちと、どこか違いますか。

石原 民主党の若手とは同じですよ。彼らは、保守・革新という旧来の分類からすると、大体保守ですからね。

塩崎 先の総選挙で、民主党は、大蔵省出身者が4人当選しているんですね。それに、興銀出身者が2人いた。そういう人たちは、かつては自民党から立候補していたんです。ところが自民党が、予備選挙もやらずに、相変わらずの現職優先の古い体質で、候補者を決めているから、彼らが、入り込む余地がなくなって、しようがないからみんな民主党から出た。実は、人材確保能力が自民党の一つの財産だったわけですが、自民党に新しい人材が入ってこなくなった。リクルート能力が落ちた自民党というのは一番の問題だと思います。

編集部 そうすると、いま自民党の枠にこだわる理由は何なんですか。

河野 まず自民党を改革しないと対等合併できないじゃないですか。

塩崎 消去法ですよ、消去法。兼ね備えなければいけない条件は、自民党はやっぱりいろいろ持っている。先輩もメチャメチャひどいというわけでもない。学ぶべき人もたくさんいるし、経験もある。しかし、国民あるいは国家が先にありきだから、死んでも自民党と心中しますなんてことは、誰も考えてないだろうと思いますよ。

渡辺 ただ、戦術論として、例えば河野さんも私も、おやじたちの失敗の教訓に学んでいるということですよ。新自由クラブは途中でポシャツちゃった。ミッチー新党もすぐに消えてしまった。私は、党内改革ではなくて「革命」と呼んでいますが、それを起こせるんじゃないか。起こしてみようじやないかということで自民党にとどまっているだけのことです。

編集部 繰り返しますが、総裁選には「明日を創る会」に名を連ねる田中真紀子さんという選択はありませんか。

河野 私はもう、2回前の総裁選から塩崎を総裁へと応援しています。総裁の条件は、政策がきちっとでき、海外でもわたり合える資質が必要。真紀子さんは、破壊力はあるかもしれないけれども、力の発揮どころは別のところにあるような気がします。

渡辺 рヘ田中さんを総数候補にと言っておりますが、石原伸晃さんでも、塩崎さんでもいい。誰も出なければ、私が出る。運動を持続する志さえあれば、必ず話はまとまる。場合によっては、伸晃さんのお父さんというウルトラCもまったくないわけじゃないですからね