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NIKKEI NET 特別コラム「ザ・フロントランナー今週の視点」第2回-2001/07/17 号

決め手は強力な「裁量行政」、最後の肚をくくる時

「聖域なき構造改革」に燃える小泉総理の改革の青写真が示された。いわゆる「骨太の方針」である。氷結し切った日本の経済社会がようやく音を立てながら解け出し、漂流を始めた。失敗は許されない。

●欠落した担い手、だれが企業の整理、再生を担うのか

構造改革の嚆矢(こうし)は、言うまでもなく不良債権問題の最終処理である。残念ながら「骨太の方針」は全体的として先の「緊急経済対策」の「『破綻懸念先以下の債権』のオフバランス化」という枠を出ておらず、国内外の最大関心事である「要注意先債権」の扱いについては、銀行と借り手企業の努力を促すにとどまっている。
確かに、私的整理に関するガイドラインの大筋が公表されたが、これを含めて、これまでの対策に共通して欠落しているのは、「要注意企業の整理やワークアウト(企業再生)を具体的に推進する主体とその実行手段」である。

●RCCに「企業・産業再生本部」の新設を

結局は、冷静的確な検査などを通じた「金融庁の強力な裁量行政」以外に不良債権問題解決の決め手はないだろう。
 私は以前から整理回収機構(RCC)に「企業・産業再生本部」を新設して、モデルケースとなる要注意債権をひとまとめにしたうえで、新たに雇う民間のプロフェッショナルの手で整理・ワークアウトをすべきである、と主張してきた。今回の「方針」でも急きょ部分的に取り入れられたが、これとて「強力な裁量行政」なくしてはうまくいかない。

●銀行も企業も自らは決して動かない

引き当て不足の銀行が要注意先企業を整理するか、あるいはリスクに見合った引き当てを行えば、銀行の利益は減少し、ひいては株主資本が毀損されるのは必至である。従って、銀行自身は公的資本注入や国有化が不可避になるほど要注意債権に自ら厳しく切り込む気にはならない。
債権放棄後も株価が額面割れしている多くの総合建設会社(ゼネコン)のケースや倒産前のそごうの経験からみても明らかなように、徹底的な整理・リストラを自ら断行する理由は、企業側にもない。
要は、どんなにたくさんの「ガイドライン」や「新たな指標」を作っても、税制面でインセンティブを導入しても、現実の不良債権処理は銀行、企業両サイドが動かざるを得なくなるような強力な原動力がない限り、早急には進まない。

●業務停止、取締役解任、免許取り消し……、できることはある

1998年の金融国会冒頭の代表質問で津島雄二代議士が的確に指摘したように、銀行法は免許付与者に対し、第26条により業務停止権を、第27条、第28条では取締役解任権や免許取消権を与えている。金融機関破綻や不祥事以来、「裁量行政はすべて悪」との思い込みが強いが、こうした権限を有効に使わない手はない。なぜならば、上記の如く経済原理的に当事者任せで自発的な不良債権最終処理の本格的な履行はあり得ないからだ。
小泉総理の政治決意をバックに、金融監督当局は今こそ98年にはできなかった「最後の肚(はら)」をくくる時ではないか。