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NIKKEI NET 特別コラム「ザ・フロントランナー今週の視点」第1回 -2001/06/05 号

会計、監査の改善は「国家的緊急課題」だ

企業が決められた会計基準に基づいて決算をし、投資家に公表しているかどうかをチェックする会計監査の基準が国際的に一本化されようとしている。監査基準の統一を目指し、国際監査実務委員会(IAPC)が近く、改組される。会計基準の一本化を目標に、国際会計基準委員会(IASB)が本格的に動き出したばかりだが、このIASB設立の過程で危うく世界から取り残されるところだった日本は、今度は国際的な監査基準設定主体作りにおいても、また置いてきぼりになるおそれがあるようだ。

●米国は政治が主導し改革を推進

改組されるIAPCの委員15人のうち、各国の代表を選ぶ7人の枠に、日本が入れるかどうか、瀬戸際にあるらしい。7月に国際会計士連盟(IFAC)が委員の条件などを示す報告書をまとめ、秋には選考が終わるという。IFACの藤沼亜起会長によると、それぞれの国内に独立して機動的に監査基準を設定する組織があり、IAPCとスムーズに連携できることが必要という。組織には常勤者がいることも条件のようだ。現在の企業会計審議会のままではこうした条件を満たさない。

相次ぐ金融機関の破たんや含み損の飛ばし(決算への計上を避け、関連会社に売却するなどして帳簿からはずす行為)などが横行した結果、日本企業は英文の決算書に「弊社の会計処理はローカル・ルールで行なっています」と自ら宣言するに等しい屈辱的なレジェンド・クローズ(警句)の付記を海外から強要される状態がいまだに続いている。

なによりも問題なのは、こうしたことのツケを、製品価格の上昇や給与ダウンを通じて国民が払わされることだ。

しかし、何も財務上の不正は日本に限ったことではなく、「会計・監査先進国」といわれる米国でも決算粉飾事件や大型倒産は繰り返し、起きてきた。ただ、日本と決定的に違うのは、米国では1980年代以降、会計や監査を国家的な緊急課題として政治が先頭となって膨大なコストとエネルギーをつぎ込んで、改革を推進してきた点だ。

●日本版SECの創設、待ったなしに

会計や監査がしっかりしない限り、日本経済への信頼と競争力の回復はあり得ない。この信念のもと、私は自民党内の「企業会計に関する小委員会」の委員長として、この2年近く活動してきた。多くの支援のお陰で、この7月には新たな会計基準設定主体として企業会計審議会から独立した「財務会計基準機構(仮称)」が我々の提言通り、誕生する。しかし、監査基準については、まだ、ほとんど手付かずの状況だ。

日本企業のコーポレートガバナンス(経営統治)の質的な向上を図り、ひいては効率的で厚みのある資本市場を作り上げるためには、この際、政治が国家的緊急課題として会計、監査の改善に取り組み、監査基準設定主体についても、関係者間の率直な協議を早急に促し、強力で独立したものにすべきだ。

それにつけても、米国のSEC(証券取引委員会)にならい、こうした問題を含めて、資本市場を総合的に監督、監視、育てていく「日本版SEC」の創設がやはり待ったなしだ、という思いは深まる一方だ。