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週刊東洋経済「視点」-2003/05/31 号

政府はNGOとの生きた復興支援を提供すべき

5月連休中に代議士3人で、国会議員として初めてイラクを訪れた。バグダッドを中心に、「無政府状態」そのもので、治安も保健衛生も司令塔不在。医療、教育、電力など生活基盤の迅速な人道・復興支援が急務の状況だ。復興支援も現地で不評な国連機関ではなく、日本独自の復興支援を幅広い民間団体とともに、現地ニーズを考えて行うべきだ。

実は昨年末、われわれはクルド人代表者を東京に招聘した。このときもイラク北部に展開するNGO(非政府組織)との連携で、解放後のイラクにおいて確実に力を持つであろう勢力とのひそかなパイプ作りが可能となった。官邸、自民党、外務省、エネルギー庁などとも有益な関係構築を行い、おかげで今回の訪問でも極めてスムーズに復興支援協議ができた。

昨年春、彼らの招聘を最初に提案した際、政府はフセイン政権との国交を理由に接触を断った経緯がある。だが、世界第2位の石油埋蔵量を誇る同国の中でも大型のキルクーク油田は、本来クルド地区で、クルド愛国同盟のタラバーニ議長の出身地でもある。将来はクルド人の影響下になる可能性すらあるだろう。

そのような重要な政治勢力と水面下での連携を構築するには、現地で地道に活動しているNGOが築き上げてきた信頼感と実績が不可欠である。わが国政府も民間団体との連携を強化し国益を守る知恵を持つべきだ。わが国があのまま彼らとの接触拒否を続けていたら、イラク戦争後に使える外交チャネルの貴重なパイプの一つを失っていたかもしれない。

クルド地区東部のスレイマニアで、あるNGOは数年前にユニセフ、赤新月社と組んで20万人分の上水用揚水ポンプ場とタンクを作った。総額1億円少々とのことだが、これがもし日本の無償資金協力であれば、20億円かかった案件だという。現状、わが国の2200億円余りの「無償資金協力」の担い手は、NGOには開かれていない。加えて日本のスペックはコストが割高となる。
これをNGOによる単独受注はもちろん、日本企業、国際機関とのジョイントベンチャー、複数団体による共同事業などへ開放し、国民の血税を節約しながら現地ニーズを十分満たす復興支援策を、格安に提供してはどうだろうか。

ODA(政府開発援助)のうち米国では3割以上、他の主要国でも数%から1割ほどがNGOを通じて供給されているが、日本では1%をはるかに下回る。今回のイラク行きで、日本のNGOが現地に極めて通じていることを再認識できた。

1988年に化学兵器が使われ、一度に約5000人の犠牲者を出したイラン国境近くのハラブジャ地区を訪問した際、実態調査と医療協力を強く要請された。まずは、大量破壊兵器による犠牲者の実態解明と、被爆国ならではの治療を、NGOと日本の医師団などが協力して始めてみてはどうだろうか。