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週刊東洋経済「視点」-2002/07/01 号

民法第34条改正がこの国を変える

今国会混迷の発端となったアフガン復興会議へのNGO出席拒否問題の際、「お上を信用できない者はお上の主催する会議への参加資格なし」との圧力に対し、「意見の相違がありうるからこそ参加する」との本音を語ってくれたNGOのリーダーの言葉が新鮮だった。公益とは何かを巡り、新旧ガバナンス(統治)の差異を端的に表していた。

本年3月の閣議決定に従い、わが国政府は明治29年の民法制定以来根本的に見直されることのなかった公益法人制度の改革に漸く取り組む。本年度中に「公益法人制度等改革大綱」を策定し、平成17年度末までに必要な措置を講ずることとし、今月中には中間論点整理がパブリックコメントにかけられる。

民法第34条により、社団法人など公益法人の設立には、主務官庁の許可が必要だ。「公益」とは行政が認めたものだけだったのだ。そして、一旦許可され税制優遇などが与えられると、事後チェックがきかず、KSDのような事件もしばしば起き、天下りの受け皿にもなってきた。その反面、地域などで活躍しながら法人格を取得できないケースも多く、ここ2年程で漸くNPO法や中間法人法が整備されただけで、公益性の認定を含め包括的な見直しは、実に100余年来初めての事だ。

どの国でも社会の抱える問題は多様化し、もはや「官」が独占的に担う「公益」だけでは対応し切れていない。9.11 テロ後、日本のNGOは直ちに緊急人道支援を始め、遅くとも11月にはアフガン国内での活動も本格化していた。それに対し日本政府は本年4月になって漸く援助調査団を派遣する悠長さだ。公益は立派に存在しているのに、行政自らは十分な対応ができていないのだ。阪神大震災の際、自然発生的にボランティアが結集したように、国民は進んで公益に関与しようと、関心を強めている。今回の抜本改革では、市民活動と政府の役割、税のあり方など、国や社会のガバナンスの仕組みを大きく変え、役所主体ではなく、市民や納税者主体の国にしなくてはならない。

改革のポイントは「法人格の取得」と「優遇税制の付与」の2点だ。政府は、全法人を「非営利法人」と「営利法人」の二種類に分け、非営利法人格取得は格段に容易にする案と、「非営利・公益法人」「中間法人」「営利法人」の三つに分ける案を考えているが、相変わらず役所が公益性を判断する後者の案では進歩がない。また税制こそ決定的に重要で、21世紀の日本は、寄付等を通じた「民―民」支援のバックアップと「官―民」協力の促進を、税制を通じても図る、ということを明確にすべきだ。特定公益増進法人の2年毎の優遇税制適用更新手続きが、複数の担当者が半年間張り付きになるほど煩雑なのは、もってのほかだ。また昨秋導入された認定NPO制度では、パブリック・サポートテスト等に大いに問題があり、政府や国際機関からの補助金を算定の対象外とするなど、シビル・ソサエティ活動の本質や政府と「対等なパートナーシップ」を組む事の意味合い等、基本哲学が税務当局に理解されていない。

新たなガバナンスの確立のためには、税務当局を含めた第三者機関が公益法人への優遇税制適用の可否を判断するくらいの大胆さが求められる。