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週刊東洋経済「視点」-2001/02/24 号

政治は大いに天日に晒すべし

KSD問題で国会議員の役割と資質が再び問われている。特に今回は国会質問の内容が問題になっており、一層深刻だ。こうした贈収賄のような人間の古典的「負の資質」の発露を未然に防ぐ仕組みがどれだけ精緻かが、いわば「民主主義の熟度」の指標と言えよう。

その仕組みの本質は、政治を大いに天日に晒す、すなわちディスクロージャーの徹底ではないか。「衆目の監視下にある」との政治家の自覚こそが腐敗への抑止力と政治の質向上へのプレッシャーとなるはずだ。

もちろんその方向での努力を国会が怠ってきた訳ではない。まず両院とも本会議、委員会の議事は一昨年からインターネットで中継が始まり、国民は国会議員の活動振りを常時ウォッチ可能となった。また、国会会議録はこれまで一般の人々には殆どアクセスが無いに等しかったが、これも衆議院が昨年から自らのホームページに一部載せ始め、衆参両院・国会図書館共同システム上のインターネット議事録公開も、この4月からは1947年の第1回国会から閲覧でき、キーワード検索も可能になる。国会周辺のネットワークも、米国議会図書館の議会情報提供サイトである「THOMAS」のレベルに徐々に近づきつつある。

しかし一般家庭での身近な情報源は何といってもテレビ。89年の「自民党政治改革大綱」の中で「国会中継TV局」の創設が謳われた。米国ではウォーターゲート事件等への反省から、議会中継などを中心としたテレビ局であるC-SPANが79年に誕生し、わが国でもそれを手本としたC-NETが98年からスタート、無修正の国会中継と、国会議員等の討論番組などを流している。私も何回か出演したが、極めて貴重な存在だ。米国のC-SPANは既にテレビ3局、ラジオ1局を擁するまで成長しており、北京の迎賓館「釣魚台」でも米議会中継が見れるほど世界的にも普及している。すなわち、米国の国会議員は世界の目まで意識しながら議会活動をせざるを得なくなっているとも言える。

ところがわが国の C-NET は今存亡の危機に瀕している。要は収支が合わないのだ。米国C-SPAN の場合殆どがケーブルTVを通じて報道され、しかも多局セットメニューであるベーシック・パッケージに組み込まれているため申し込みは不要。ケーブルTV事業者が C-SPAN に支払うライセンス料を主な収入源としてここまで成長してきたが、その額は全米加入者(7700万世帯)一件につき月額6セント相当。ところが日本ではケーブルTVは殆ど C-NET を扱わず、日本に一つしかない民間CS局がメイン媒体。だが、これがベーシック・パッケージを提供しないため、希望者はわざわざ月額500円を出さねばC‐NETを見れない。これでは加入者が増えるはずがない。しかしここは単なる商売の問題では済ませられない。問われているのは放送通信行政や同業界が政治の質的向上に如何に配慮、貢献するか、というまさに良心、良識の問題ではないか。このまま国会テレビを潰すようなら、日本の民主主義の質的向上はいよいよ望めない。