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週刊東洋経済「視点」-2000/12/23 号

羽田空港国際化で始まる新外交戦略

このほど、千葉県の英断によって、深夜・早朝に限り国際チャーター便、国際ビジネス自家用機の東京・羽田空港乗り入れが可能となった。千葉県上空を飛行しないことが条件とはいえ、長きにわたり成田空港問題で幾多の困難克服を強いられてきた千葉県の今回の決定は、高く評価される。

これまで羽田空港の国際化問題は、不幸にして「千葉 vs. 東京」という構図に矮小化されてきた。しかし拡張後の成田および羽田の発着能力でも首都圏航空需要を賄い切れない。 したがって羽田を国際化しようとしまいと成田の重要性に変化はないし、本格的国際化時代を迎え、首都圏空港政策は抜本的見直しが必要となる。運輸省などは「羽田は国内、成田は国際」が弾力運用の余地のない不変の国家方針かのごとく主張しているが、実は閣議決定も正式文書も存在しない。

羽田国際化問題を一躍クローズアップさせたのは、9月の訪日した金大中・韓国大統領がぶち上げた「ソウル・羽田間シャトル便構想」だ。最も身近で大切な国であり、2002年のワールドカップも共催する韓国からの要望は重い。地方空港を加えると年間330万人もの人が日韓間を行き来し、うち成田だけで220万人を超える。このうちほとんどの人が「羽田を使えればどんなに便利か」と思っているはずだ。

これを契機に自民党外交部会で国際化問題を取り上げてきたが、「羽田は国内線中心」との原則下でも人的交流を通じ韓国を含めた近隣諸国と融和する外交政策の観点から、深夜・早朝にとどまらず、昼間の定期便を含めた羽田の国際化を推進すべきと考える。それには越えればならぬハードルが三つある。(1.)羽田の発着枠問題、(2.)各国無差別扱いを規定する民間航空に関するシカゴ条約、(3.)成田空港と上空通過問題を抱える千葉県民への配慮、だ。

まず羽田発着枠は、中条潮・慶大教授の見方(11月5日付産経新聞)のように、必要以上に取り置かれている枠の一部使用や、着陸後の滑走路占有時間の短縮などを工夫すれば、昼間を含め十分余裕がある。シカゴ条約は、一定距離内のすべての国を対象にしながらも、相互に入国審査官を派遣する「プレクリアランス協定」を結ぶ国に限って「準国内線扱い」するなどで遵守可能だし、どの国と同協定を結ぶかは我が国外交の裁量内のはずだ。さらに、成田問題については東京と結ぶ新高速鉄道の早期実現で解決を図り、千葉上空通過問題については、私から石原慎太郎都知事にも直接要望したように、横田管制圏の空域利用促進により住民の理解を求めつつ東京上空通過への道を開くことで解決せざるをえない。

近距離中心の米ワシントンDCナショナル空港やNYラガーディア空港からは、カナダだけでなく英領バミューダ、バハマなどにもプレクリアランス体制で運航しており、国境をほとんど感じさせない。「真に開かれた日本」実現のために、羽田の国際化を進めるべきだ。