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日本経済新聞-1999年12月22日

会計基準作り民間に移行

信頼回復へ常設機関
自民党金融問題調査会の企業会計に関する小委員会(委員長、塩崎恭久参院議員)がまとめた中間報告の内容が21日、明らかになった。会計基準を作る権限を持つ設定機関を現在の企業会計審議会(蔵相の諮問機関)から、先進各国と同様、民間組織に移すことを求めている。国際的に揺らいでいる日本の会計基準に対する信頼を早期に回復させるには、会計制度の設定過程を整備する必要があると判断した。2001年初めをメドに具体的骨格を示すべきだとしている。

具体的骨格、2001年メドに
 「企業会計基準設定主体の拡充・強化に向けて」と題した中間報告案では、設定機関の具体像として常勤の委員やスタッフを置く常設機関で、政治や特定の省庁、特定業界、特定学派などから政策面、予算面、人事面で独立性を保つことが重要だとしている。
 そのうえで、ドイツが98年5月に設立したドイツ会計基準委員会(DRSC)を参考に「行政庁が最終的な基準設定権限を留保しつつ、民間法人に機能を委任する」としている。機関設立までに時間がかかる場合、国際的な流れに追随できなくなる懸念もあるため、暫定的に企業会計審議会や大蔵省の担当部局を拡充することも求めている。
 現在、会計の世界基準づくりを目指す国際会計基準委員会(IASC)が、より強力な世界組織への脱皮を準備している。日本は新しい組織の理事会に代表を送りたい考えだが、行政から独立した設定機関を持たないことが障害になるとの見方が出ていた。
 自民党の金問調は会計制度が「金融資本市場のインフラであり、その整備なくしてはビッグバンの総仕上げはありえない」との考えから、小委を設置した。企業会計小委は今年8月から11回にわたって会合を開き、議論を重ねてきた。
 大蔵省は当初、企業会計審議会で対応できるとしていたが、常駐の会計士を置く事務局の必要性などでは意見が一致している。

会計士産業界 行政から独立求める
日本の会計制度に対する国際的な不信の背景には、会計基準が政治や官庁の意向でねじ曲げられてきた経緯がある。98年3月末に保有株式の損失発生を防ぐため、銀行に評価方法の低価法から原価法への変更を認めたのはその典型だ。欧米では特定の組織からの独立した機関による会計基準づくりを重視している。
 公認会計士の間や産業界では「日本にも行政から独立した会計基準設定機関を」との声が大きくなっている。「行政との関係があいまいな審議会のままでは、日本が国際会計基準を作る新しい組織の理事会メンバーに選ばれるか心配だ」と日本人として初めて国際会計士連盟の会長に内定している藤沼亜起会計士は危惧(きぐ)する。
 今年から英文の年次報告書の監査報告に「日本基準に基づいて作られた決算書であり、国際的に通用するものとは異なる」という趣旨の「警句」の記載が義務づけられるなど、「国際基準に従わなければ、企業の信用を大きく左右する事態」(大手自動車部品メーカー幹部)と、産業界の危機感も強まっている。
 韓国は年明けにも韓国会計基準理事会を正式発足させる。証券監視当局のほか、証券取引所や会計士協会、銀行、民間企業が幅広く出資、米国のFASB(財務会計基準審議会)などをモデルにした民間型の機関だ。基準を作る組織を欧米並みに整備することも、日本の会計国際化の大きな課題となっている。