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政策提言

2006/08/04

第2回 東京-北京フォーラムにおける基調講演

平成18年6月

1.問題意識

 世界経済のグローバル化が加速し、中国やインドが勃興しつつあるなかで、世界は新たな大競争の時代に突入している。少子高齢社会に突入しているわが国が、21世紀の新たな現実のもとで、活力を失うことなく国際社会における安定したパワーとしての地位を確保し生き残っていくためには、国際社会での日本の存在感や発言力を格段に高めていくとともに、その拠って立つ基盤として、日本に、世界から最高のヒト、モノ、カネを集積させる磁力を意識的に生み出すための取り組みが不可欠である。具体的には、以下のような課題を克服するための総合的な戦略が求められている。

  • 日本の規範形成力:わが国が、いかにグローバルな規則や国際標準への形成過程や意思決定過程に実質的に参画し発言力を強めていくか
  • 日本人の存在感:国際機関や最先端の分野で国際的に活動する企業、大学・研究機関、マスコミ、NGOなどの諸活動に対して、日本人を大量に供給し存在感を増していくためには何を行うべきか
  • 日本の訴求力:製造業の強さ、アニメ、伝統美など、わが国の強さや魅力を国際社会に対して訴求するコンセプトやノームの形成をいかに図るか
  • 日本の受容力:日本社会における外国人の受容力をいかにスピーディに高めていくか

 これらの対外政策のサブスタンスに関わる点は、いわゆる「国のかたち」の設計図を描くことと直結するものであり、総合的な見地から検討が必要である。こうした認識のもと、下記の要領により、上記の観点からの諸問題について議論を深めるべく、今般、外務省の中に(担当:塩崎副大臣)各界の有識者等からなる「世界の中の日本」を立ち上げ、幅広いご意見を賜ったうえで提言をとりまとめていくこととしたい。


2.参加者(候補)及び取り進め方

 参加者の間で短期間に、精力的に意見交換を行う。日程が合わなければ、出席1回の発言でも、又は寄稿や面談、電話インタビュー等でも可とする。

3.日程案

第1回 6月20日(火)午前10-12時:日本の規範形成力
第2回 7月 3日(月)午前10-12時:日本人の存在感
第3回 7月12日(水)午前10-12時:日本の訴求力
第4回 7月21日(金)午前10-12時:日本の受容力
第5回 8月 2日(水)午前10-12時:総括
第6回 8月下旬:提言とりまとめ


本文中4点にかかる問題意識について、より詳しく例示すると以下のとおり。

1.日本の規範形成力:わが国が、いかにグローバルな規則や国際標準への形成過程や意思決定過程に実質的に参画し発言力を強めていくか

  • 例えば、金融監督や会計基準において、わが国のルールが、国内だけでしか通用しないローカル・ルールとなれば、わが国の国際競争力の低下に繋がりかねない。こうした事態に陥らないためにも、わが国のルールについて、国際的な位置付けを常に検証し改めていくとともに、グローバルな規則形成の場においても発言力を持ち得るよう、官民一体となった取り組みを行うことが不可欠ではないか。
  • 安全保障や人権、国際司法の分野においても、わが国の国力に相応しい国際的な意思決定への関与のあり方を飛躍的に強化していくべきではないか。
  • こうした取り組みの中で、わが国のルールの合理性や考え方を世界に説明し、モノだけでない「理念を輸出する」ことが、わが国の各分野での影響力を強めることに繋がるのではないか。

2.日本人の存在感:国際機関や最先端の分野で国際的に活動する企業、大学・研究機関、マスコミ、NGOなどの諸活動に対して、日本人を大量に供給し存在感を増していくためには何を行うべきか

  • いまのうちから、様々な分野において国際社会で活躍する「日本人の顔」を飛躍的に増やしていかなければ、将来、日本からの資金的貢献が枯渇するとともに、日本としての影響力も途絶するのではないか。
  • 国際機関では、今後、国際機関の組織運営の中枢部門を歩み、国際機関の将来を背負って立つような日本人を大量に供給することが必要ではないか。そのために必要な戦略はなにか。
  • 海外の大学・研究機関と国内の大学・研究機関の間での人的な交流をさらに増加させることで、「世界のどこに行っても、どのイシューを議論しても、最先端分野には日本人がいる」(「ナンバーワン計画」)ようにすべきではないか。

3.日本の訴求力:製造業の強さ、アニメ、伝統美など、わが国の強さや魅力を国際社会に対して訴求するコンセプトやノームの形成をいかに図るか

  • 80年代に世界がモデルとし、バブル崩壊後に再び蘇ったわが国の製造業の強さをカリスマ化して世界にいま一度アピールしていくべきではないか。
  • アニメ・マンガなど「クール・ジャパン・カルチャー」を外交資産として捉えた場合、これを通じて日本の何をコンセプトとして国際社会に対してまず売っていくべきなのか。さらに、これを超一流の産業としても拡大させるには何が必要か。
  • わが国の伝統思想や伝統芸術、伝統美を組織化・言語化して、国際社会に訴えるべき日本の哲学として理論武装していくことが、日本の強さに資するのではないか。
  • 日本の変わることのない外交理念は、「自由と民主主義とともに、平和と繁栄の両立を求めること」とすれば、これをアジアに訴求していくべきではないか。

4.日本の受容力:日本社会における外国人の受容力をいかにスピーディに高めていくか

  • わが国の最先端の科学技術の研究機関においてすら、海外の研究機関と比べると外国人の占める比率が低いとされており、これは結果的にわが国研究者の閉鎖的な指向を助長していないか。
  • スポーツや芸術の分野で鎖国状態となっているものはないか。
  • マスコミの報道・記事の捉え方が、国内向けの視点のみに偏りすぎているのではないか。
  • 一般社会、毎日の生活や観光の場面において、さらに外国人の受容力を高めていくために何が必要か。


「世界の中の日本・30人委員会」参加者
(敬称略、50音順)18.7.20現在

・明石康 日本国際連合学会理事長
・朝比奈一郎 新しい霞ヶ関を創る若手の会代表
・大西健丞 ピースウィンズ・ジャパン代表
・小川和久 軍事アナリスト
・木村政雄 木村政雄の事務所所長
・黒川清 日本学術会議議長
・カルロス・ゴーン ルノー会長兼CEO、日産自動車CEO
・坂元一哉 大阪大学教授
・坂本春生 流通システム開発センター会長
・櫻井よしこ ジャーナリスト
・神保謙 慶應義塾大学総合政策学部専任講師
・アンソニー・ソレンティ 国際銀行協会事務局長
・竹内孝次 テレコム・アニメーションフィルム代表取締役社長
・橘・フクシマ・咲江 日本コーンフェリーインターナショナル代表取締役
・田中直毅 21世紀政策研究所理事長
・新浪剛史 ローソン代表取締役社長兼CEO
・野依良治 理化学研究所理事長
・藤ジニー 山形県銀山温泉・旅館藤屋女将
・ロバート・フェルドマン モルガン・スタンレー証券株式会社チーフエコノミスト
・堀井昭成 日本銀行理事
・三木谷浩史 楽天代表取締役会長兼社長
・毛利衛 日本科学未来館館長
・山田辰巳 国際会計基準審議会理事
・山本正 日本国際交流センター理事長
・塩崎恭久 外務副大臣
事務局
・事務局長  石川薫 外務省経済局長
・事務局次長 谷口智彦 外務省外務副報道官
・総括    上月豊久 外務省大臣官房総務課長
・補佐    小沼士郎 外務省経済局調査室主席事務官