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政策提言

2006/03/09

塩崎恭久 開会挨拶 外務省・国際移住機関共催シンポジウム
「外国人問題にどう対処すべきか」(第2回)
〜外国人の日本社会への統合に向けての模索〜

平成18年3月9日(木)於 国連大学

 本日は、皆様ご多忙の中、「外国人問題」に関するシンポジウムにお集まり頂きありがとうございます。今回のシンポジウムを国際移住機関と共催する外務省を代表しまして一言ご挨拶申し上げます。

 先ず開会に当たり、ご多忙中、本シンポジウムにご出席頂いている安居帝人相談役、北脇浜松市長、また遠路ご参加頂いたジュースムート元独連邦議会議長、ヒューマー独バイエルン州局長に篤く御礼申し上げます。また、本シンポジウムの開催に当たり、ご尽力頂きました手塚千葉大学教授、マッキンレー国際移住機関事務局長をはじめとする関係者の方々にもこの場をお借りして改めて御礼申し上げます。

 グローバル化が進む国際社会の中で、日本では少子高齢化に伴う人口減少時代、すなわち、労働力減少時代に突入しています。そのような中、多くの外国人の方々が様々な形で日本に入国し、日本各地において、働き、住み、子供を育て、日本の繁栄を支えておられます。現在、こうして日本に住む外国人の方々の数は、200万人にも上り、今や日本での結婚の20組に1組、東京ではなんと10組に1組が国際結婚という報道もあります。
 また、一昨年の秋、私自身、自民党人身取引対策プロジェクトチームの事務局長として、IOMやNGOの皆さんとともに、外国人の方々がいわゆる専門・技術職のひとつと定義される「エンターテナー」として日本に連れて来られ、人道上看過できない扱いを受けることがないようにするための対策をとりまとめた記憶も新しいところです。
 一方、劣悪な労働条件、言葉の問題に起因するコミュニケーション不足からくる近隣住民の方々とのトラブル、果ては重大犯罪の発生、子供たちの教育機会の不足など、日本における外国人を取り巻く状況は、平和と繁栄を謳歌する国として誇れる状況では決してありません。
 翻って、日本の外国人の受入れは、ほとんど「場当たり的」との指摘を受けるなど、国家として戦略的な視点を持って取り組んで来ていないということは率直に認めなければならないと考えます。例えば、「単純労働者は受け入れないが、専門・技術労働者は積極的に受け入れる」という方針が政府の公式的立場ですが、現実は研究者など真の専門・技術労働者の流入は減少する一方、「法の網の目をくぐった」単純労働者の増加、「外国人研修・技能実習制度」の名の下に、正面から単純労働者を受け入れ、日本の産業構造の高度化のスローダウンをもたらしているというのが実態です。
 先ほど述べたようにすでに多くの外国人の方々が日本に住んでおられ、政策的に何もせずとも日本に来られ定住する外国人の方々はますます増加すると予想され、一方、政府としてもフィリピン、タイなどのEPAにおいて、看護、介護職などの外国人受け入れは管理しながら、いささかおっかなびっくり増やそうとしています。今こそ、日本の外国人受け入れ政策の基本戦略を構築することが急務ではないかと思います。外務省においてもこのため抜本的な見直しを行う必要があると考えております。また、外国人を正しく受け入れられない国民は、裏返せば外国においても正しく受け入れられない可能性が高いということも留意すべきではないでしょうか。
 今回のシンポジウムでは、このような視点から、根本的な問題意識も基本的視座に入れ、日本が今後外国人を受け入れる際の基本姿勢の整理をしながら、必要な地域や学校の受入れ体制の整備などの措置、さらには1990年の入管法改正以降、日系人を中心とした外国人受入れの急増に伴って顕在化している諸問題に関連した諸措置、また外国人の方々がその能力を十分に発揮し、社会の構成員として疎外されず受入れられるために何ができるか等について、ドイツからのお客様のお話も参考にしながら、一緒に考えていきたいと考えております。また、今回のシンポジウムでは、こうした問題に日夜現場で取り組んでおられる方々が多数おいでであり、会場の皆様とこれらの問題について一緒に考え、議論していきたいと考えております。
 今年の2月、私は、スーダン南部を訪問し、現地でIOMや国連の各機関、NGOのスタッフの皆さんが厳しい、時に危険な環境の中、自分たちのすみかを離れなければならなくなった難民、避難民(IDP)の方々が再び定住できるように日夜努力している姿を目の当たりにしました。日本でも、故郷を離れ遠い日本で暮らす外国人の方々を日夜支援する方々がおられます。日本で、スーダンで、世界各地で、こうした人々のために献身的な努力を払う方々に対して感謝の気持ちを捧げ、私の挨拶と致します。

ご静聴ありがとうございました。 
(了)