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政策提言

2004/10/05

独占禁止法の見直しに関する取りまとめ

平成16年10月5日
自由民主党 独禁法調査会

 本調査会では、昨年12月以来、本日まで14回にわたる会合を開催し、独占禁止法の見直しについて、審議を行ってきた。この間、公正取引委員会からの報告聴取のほか、有識者、経済団体等からも意見聴取を行い、法改正事項以外の検討課題を含めて審議を行ったところである。臨時国会の開会を控え、本調査会としては、これまでの審議の成果について以下のように取りまとめることとし、併せて政府に強く要請することとする。

  •  我が国経済の再生と持続的な成長の実現に向けて、自由な経済活動を保障し、企業の国際競争力を強化する観点及び我が党の政権公約等を踏まえ、政府は、別紙1を内容とする独占禁止法改正法案を臨時国会に提出すること。

  •  前記改正法案が成立した場合において、政府は、カルテル、不公正な取引方法等に対する制裁の在り方(課徴金への一本化又は課徴金と刑事罰の振分け等)及び公正取引委員会における審査・審判の在り方等について速やかに検討を開始し、2年以内に結論を得るべく検討を進めること。その際、検討の場は内閣府に設け、学識経験者、経済界その他幅広く有識者を集めて検討すること。

  •  公共調達について、価格だけでなく技術や品質を含めた評価の下で健全な競争が行われるようにするため、党として、現行の入札・契約制度の見直しについて鋭意検討の上、早急に具体的成案を得る。また、政府に対し、同様の検討作業を要請するとともに、別紙2記載事項についても早急に検討、実施するよう要請する。

  •  いわゆる「官製談合」問題については、「入札談合等関与行為の防止に関する法律」が制定され、昨年1月から施行されているが、「官製談合」をより効果的に防止する観点から、同法の見直しも含めて入札談合等関与行為防止法見直しチームにおいて検討を行い、速やかに結論を得ることとする。

  •  ダンピング受注の問題については、各発注官庁等において、低入札価格調査制度及び最低制限価格制度を適切に活用するとともに、公正取引委員会においては、独占禁止法上問題となる不当廉売に対しては厳正に対処すること。

  •  中小企業等に不当な不利益を与える不当廉売、優越的地位の濫用等の不公正な取引方法については、公正取引委員会において、厳正に対処するとともに、一層効果的な措置を講ずることができる方策につき早急に検討し、実施すること。

  •  公正取引委員会は、専門的人材を積極的に採用し、政策企画・立案、審査・審判体制を充実するなど、業務執行体制を格段に強化することにより、同委員会に対する一層の信頼醸成に努めるべきであり、また、政府・与党としても、同委員会の体制強化等のために、予算面等でも配慮すること。

(別紙1)独占禁止法改正案の概要

課徴金の算定率の引上げ
 課徴金の算定に当たり基準とする率については、以下のとおりとする。

  • 製造業等については、大企業10%、中小企業4%
  • 卸売業については、大企業2%、中小企業1%
  • 小売業については、大企業3%、中小企業1.2%

 課徴金の算定期間については、現行法と同様に3年間とする。

課徴金減免制度の導入
 課徴金減免制度を導入し、対象企業数については3社とする。

見直し規定
 改正法の附則において、法施行後2年以内に、課徴金に係る制度の在り方、違反行為を排除するために必要な措置を命ずるための手続の在り方、審判手続の在り方等について検討し、その結果に基づいて所要の措置を講ずる旨の見直し規定を設ける。

その他
 犯則調査権限の導入、審判手続きの見直しなど所要の改正を行う。

(別紙2)公共調達制度に係る政府・関係当局への要請事項

 独占禁止法の改正に当たって政府・関係当局において以下の諸施策について早急に検討、実施されるよう強く要請する。

  • 指名回避措置の見直し
     立入検査を受けた事業者を指名の対象から外すいわゆる「指名回避」は、公取委の調査中にもかかわらず不利益を及ぼすと言う問題があり、直ちに撤廃すべき。

  • 指名停止措置に係る弾力的な運用基準の設定
     現在は3〜12か月というように幅がある基準となっているのに、一律の期間で運用されているが、談合等の規模、悪質性等を考慮して指名停止期間を決められるような基準を設けるべき。

  • 最低制限価格制度等の活用と最低制限価格の事前公表制度の撤廃
     ダンピング防止対策を徹底する観点から、最低制限価格制度、低入札価格調査制度の有効活用に努めるべき(発注官庁ごとに何らかの目標基準を設けるべき。)。
    また、ダンピング誘発につながり得る最低制限価格の公表は厳に慎むべき。

  • 違約金特約条項
     現行違約金制度では、請負金額の10%等と一律に規定しているが、談合の実態・企業規模等に則して、徴収金額を決められるような算定基準を設けるべき。

  • 地方公共団体に対する指導の徹底
     政府は、前記1から4までの事項について、地方公共団体において速やかな取組が行われるよう、地方公共団体に対する指導を徹底すべき。