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政策提言

2009/04/10 

緊急提言・経済危機脱出への国家ビジョン
「未来投資特別勘定」50兆円で日本の構造転換を急げ
2009年 中央公論5月号

政治に必要な「覚悟」の規模

 世界経済は間違いなく未曾有の危機に直面している。グローバル化や金融工学の発達は、信用創造を大きく拡張させた。2008〜09年度のGDPは歴史的なマイナス成長になる可能性が高く、日本全体で、多ければ両年度と通して70兆円に迫る需給ギャップ、すなわち需要不足が生じる可能性がある。このまま手をこまねいていたら危機の大きさは80年前の「昭和恐慌」や「世界大恐慌」を凌ぎかねない。

 政府が繰り返し述べてきた「日本の傷は相対的に浅い」という認識は、ここ最近大きく揺らいでいる。今回の危機による最大の被災地は日本なのだ。自動車に代表される輸出企業にすっかり依存する経済構造となった日本が、世界経済収縮の影響を最も猛烈に受けているのは、半ば当然とも言える。

 世界ではこのような「100年に一度の危機」に対応するべく、各国ともにこれまでの政策的常識を塗り替える「100年に一度の対策」で応じようとしている。すでにオバマ新政権は約70兆円の財政出動を実施に移しているし、中国も57兆円の対策を講じつつある。私は、日本においても、通常の予算とは別枠で透明性の高い「未来投資特別勘定」を創設し、この先2年間で最低でも50兆円を投入することを提案したい。

 この国家的危機を次世代成長へのチャンスに転換するためには、これぐらい思い切った国家ビジョンが求められているのだ。100年に一度の危機だといって、身を屈めて嵐の過ぎ去るのを待つだけでは未来は開けない。むしろピンチの今こそ、日本の「国のかたち」を大きく転換する100年に一度のチャンスととらえるべきだ。われわれはどんな国を目指すのか、その国家ビジョン、国家のグランドデザインを示すことこそ政治の使命だと思う。

 ところが、政権交代を声高に叫ぶ民主党も、民主党には政権担当能力がないと批判する自民党も、国家ビジョンを全く提示できていない。次の総選挙に向けた本当の意味のマニフェストを示していないのである。

 まずトップリーダーが国の将来ビジョンとそこへ至る大きな戦略を示すことだろう。国のかたちと戦略的投資分野、財政出動の規模や財政見通しなど、大きな絵があって初めて、有識者や官僚、そして与党議員も具体策を描けるのだ。昨今の世論調査結果での無党派層や「麻生・小沢双方不支持層」の急増は、まさにこうした夢なき政治、ビジョンなき政治への失望や信頼喪失の表れではないか。

 まず、この危機を乗り越えるための国家的な「覚悟」を腹ギメする必要がある。すなわち、苦しい国家財政状況下において、歯を食いしばってでも減税を含め財政資金をいくら投入するのか、政治家の本気度がまず問われる。

 昨年来の政府の「緊急対策」は総額75兆円とされるが、これは「事業費ベース」で実際はずっと小さい。多くは信用保証枠などセーフティーネット(安全網)にからむ予算で、政府が直接雇用創出する公的固定資本形成はわずか24兆円。減税効果などを含めても「需要創出ベース」では数兆円にとどまる。仮に2008年度の成長率をマイナス3%、2009年度をマイナス7%とすると、需給ギャップを埋めるだけで、2年度分で約70兆円規模の需要追加が必要になる筋合いだ。ここは思い切った財政出動が不可欠である。

 この際、冒頭で述べたように、通常の予算とは別枠で、バラマキ的ムダを拝する、透明性の高い「未来投資特別勘定」を創設し、この先2年間で最低でも50兆円を投入すべきである。未来投資特別勘定には新しい「国のかたち」を作るために思い切って使うべきだ。昔ながらの公共事業に規模だけを競って国の資金を投じるのは、単なるバラマキであって、日本経済の足腰を強くすることにはならない。

 もちろん、日本の国・地方はすでに800兆円に迫る借金を抱えており、財政規律の精神を決して忘れてはならない。したがって、「骨太2006年」で定めた財政規律は「一時凍結」とし、今回の措置はあくまでも非常時における異例の、しかし先を見通した果敢な「一時的な措置」とすべきだ。その財源については、まずは天下りの根絶などを通じた無駄撲滅、埋蔵金・政府資産の一層の活用、国会議員歳費カット・定数削減などによる国民負担増抑制は当然だが、危機に直面している今、不足分は建設国債、赤字国債の発行もやむを得ない。だが、これらの国債は「未来投資国債」として通常予算の国債とは別枠で管理してはどうか。そうして場合によっては日本銀行に引き受けさせる。日銀の覚悟も大事だ。将来は消費税率の引き上げは避けて通れないが、その際は原則として社会保障に使う目的税化すべきだ。また基本食料などは非課税もしくは低税率にする、複数税率化も必要だ。

 ではこの未曾有の経済危機を乗り切るために求められる国家ビジョン、すなわち「新しい国のかたち」とは一体どんなものか。


産業構造転換以外に道はない

 危機の歴史を繙けば、そこには多くの有益な教訓が眠っている。日本の昭和恐慌の折、高橋是清大蔵大臣は「時局匡救費」による農道整備など、公共土木工事によって地方の失業救済を試みた。国債の日銀引受けによって財政を膨張させ、公共事業と次に述べる軍事費に投じた。公共事業の部分は、今まさに日本で起ころうとしていることにほかならない。だが、こうした公共事業の経済効果は残念ながら限られていた、というのが歴史的な評価だ。

 では昭和恐慌からの脱出は何によって可能になったか。中期的には満州事変を背景とする陸軍・海軍の軍需への膨大な予算配分が、機械工業や重化学工業などへの新たな時代の要請に応える産業構造への転換を促し、農村部から都市部への人口移動など、新しい成長基盤創造の呼び水ともなった。それによって経済の収縮が止まり、恐慌から脱することができたのである。つまり、財政政策によって後の戦後高度経済成長を可能にする産業構造、労働力分布、金融の資源配分など、広く経済社会全般の転換が進みだしたのだ。

 日本はこの10年、実質実効為替レートを円安にし、輸出を大きく伸ばすことで経済を成長させるモデルを続けてきた。内需拡大と言う一方で、経済構造は完全なまでの外需依存型になっていたわけである。今こそ、思い切った財政出動によって産業構造を転換し、人的資源を再配分し、将来の確かな成長、発展の手ごたえを国民が体感することによって社会保障の不安をも解消できる新しい仕組みを作り上げる時なのだ。とりわけ、ヒト、モノ、カネが地方に回帰し、東京一極集中と輸出産業中心の太平洋ベルト地帯のみ繁栄するいびつな国のかたちの解消が必要だ。当然、財政政策だけで十分なはずもなく、規制改革や地方分権など、日本の国のかたちを変えるのに必要な政策は総動員しなければならない。

 ではこの未来投資特別勘定50兆円を何に投資するのか。私は、以下の5つの分野で、日本が「世界の中心地」となることを目指すべきだと考える。(1)高付加価値産業の中心、(2)物流・情報の中心、(3)人材・技術・文化の中心、(4)金融・資本の中心、(5)安全・安心の中心、の5つを、新たな国是とすることを提案したい。

(1)日本を高付加価値産業の中心地に

 これは「新・産業革命戦略」と言えるものだ。日本は天然資源やエネルギー源に恵まれない。国民の努力と知恵によって、世界に例のない新しいモノやサービスを生み出し、世界に発信していく以外、国民が豊かになる術はない。高い付加価値を生む産業の育成に重点的に取り組み、日本の産業の競争力を高めることが急務だ。もはや従来の加工組立型の産業だけでは高い付加価値を生み出し続けることは難しい。

 まずは、バイオテクノロジーやナノテクノロジーといった「無から有」を生むような新産業の育成を国家戦略とする。たとえば万能細胞の研究で日本は世界の最先端にある。インシュリンを生み出す細胞を人工的に作ることで糖尿病を絶滅できる可能性があるとも言われる。世界の医療が劇的に変わる可能性を秘めているのだ。

 こうした新しい研究や技術を、世界は虎視眈々と狙っている。世界に例をみない発明だった青色発光ダイオードの研究者が米国に招聘されて行ったように、このままでは優秀な人材は海外に流出してしまう。こうした新産業に重点的に予算を配分し、税制上の恩典を思い切って与えるべきだ。

 もう1つの柱は「再生可能エネルギー」である。天然資源のない日本にとって化石燃料依存度を下げることは国の競争力を高めることに直結する。また環境技術は日本が世界に誇るものの1つで、これこそ高付加価値を生む産業である。すでに政府も動いているが、積極的に再生可能エネルギーへの転換を促進、太陽光発電や風力発電などの新エネルギー産業や蓄電技術を一気呵成に強化することが重要だ。自民党地球温暖化対策推進本部の提言もあり、経済産業省はすでに太陽光発電の普及促進に向け、各家庭で発電した電力をこれまでの2倍の値段で電力会社が買い取ることを決めた。来島海峡や鳴門海峡のような潮流の速い場所での潮流発電なども研究すべきだ。

 低炭素車への切り替えを一気に進める政策も柱だろう。電気自動車や水素自動車などへの転換を促進するには、排出炭素量に応じた自動車取得・保有税など新税制が有効だろう。また環境分野での国際基準の策定に日本が主導権を握っていくことも重要だ。再生可能エネルギーに特化した新たな国際組織「IRENA」に一刻も早く参加し、日本の人材を送り込むことで国際的なデファクト・スタンダードを日本が作り、日本成長の「種」を生み出す戦略性を持ちたい。携帯電話の様式選択での失敗を繰り返してはならない。


(2)日本を物流・情報の中心地に

 これは安倍内閣で私たちが推進した「アジア・ゲートウェイ構想」の延長線上にある。ただし羽田の国際空港化など航空行政の転換だけで終わらせる話ではない。いかにアジアや世界の中心として日本を位置付けるかだ。私はこれを「新・開国戦略」と名付けたい。明治維新から140年余を経た、再度の開国である。だが脱亜入欧を掲げ海外の文物を猛烈な勢いで受け入れた明治の開国とは異なり、日本で磨き上げた文物を広く世界へと発信し、広げていくための開国でもある。

 物流・情報拠点としての日本のインフラは国際的に圧倒的に劣っている。政府はようやく、羽田空港の国際化に向けて第5滑走路の整備を検討し始めたと聞くが、完成までには時間がかかる。まずは現在の滑走路を早急に3500メートル級に延伸し、欧米・中東方面など遠距離便の離発着を可能にすることだ。ハブを考える場合、発想の大転換も大事だ。日本国内で欧米に最も近い空港はどこかご存知だろうか。時間距離で最短なのは北海道の千歳空港である。千歳を一気に拡張し、欧米向け路線のハブとして整備すれば、大都市圏空港への集中を緩和できるばかりか、全国各地が等しく利便性を共有できる。同時に、アジアに近い九州や沖縄など拡張性の高い場所に大規模な国際空港を作ればよい。ドバイ空港の発展ぶりが参考になる。

 空だけでなく、24時間稼働可能な港湾設備を集中的に設備し、効率性を一気に向上させることも重要な戦略だ。

 国内鉄道網の整備も急ぐ必要がある。いずれ訪れる東海道新幹線の耐用年数切れは真剣に考えるべき問題だ。JR東海は独自にリニアモーターカーの敷設を計画しているが、国としてもリニアモーターカー幹線の設備を早急に検討してはどうか。

 情報の世界の中心となるとともに、地方活性化の可能性を開くためには、u-Japan政策を遥かに越える通信インフラの抜本的整備が不可欠だ。光ファイバー幹線網を国の責任で全国に張り巡らせる。無線LANの無料公共アクセスポイントの整備も投資効率が高いだろう。


(3)日本を人材・技術・文化の中心地に

 これは「日本文化・文明力戦略」と呼ぶべきものだ。もの作り技術を含めた文化・文明力を担うのは言うまでもなく人材。まずはアジアと世界の「人材ハブ」として、高等教育・研究機関の整備が必要だ。具体的には世界最高水準の大学・大学院を創る。これは世界から有能な頭脳を集め、国籍や年齢にとらわれずに評価し、世界一の知力を鍛える場でなければならない。このことは、昨年のノーベル賞受賞者4人のうち2人はすでに海外在住という頭脳の海外流出を阻止することにもなろう。
 安倍内閣で設置した「教育再生会議」では、日本の大学が世界ランキングで下位に甘んじていることが問題点として大きな議論になった。ベストテンに日本の大学が2,3は入ることを目標とすべきだ。また、世界で活躍する人材を育てるには初等中等教育の質をさらに劇的に引き上げるための抜本改革やインターナショナルスクール増設に乗り出すことも必要になる。

 今、世界では「ジャパン・クール」と言われ日本の新しい製品や、食、文化などが大いに受け入れられている。新しい製品を作り出す発想力やデザイン力、技術力などを含めた日本の総合的な文化の力は世界に通じるのだ。

 にもかかわらず日本の文化行政はお粗末である。国立の美術館や博物館は独立行政法人化されたが、努力して経費を削ると補助金が減るというジレンマに苦しんでいる。日本にやってくる展覧会の美術品に国際標準である国家補償を付け、主催者の巨額保険料負担からの開放を図るなど、文化を育てる思い切った政策転換が早急に必要だ。


(4)日本を金融・資本の中心地に

 わが国は言うまでもなく債権国である。約100兆円の外貨準備を持つ。こうした資産は本来、資本として再生産活動に投じられていくべきものだが、これまで日本の余剰資産は国内では本来の資本とならず、米国債などに投資されたり、米国の投資銀行などを通じて世界に再投資される形になっていた。債権国自らが再投資先を決めない「余剰マネー」によって、カネにカネを生ませるマネーゲームがはびこったと考えられる。つまり、世界のマネーバブルの一因は日本にもあるのだ。

 今後は、責任ある債権国として、自らの蓄積した資本の再投資方法を決めていかなければならない。そのためには安易な金融商品投資を改め、世界の事業に資本投資をしていく金融・資本の中心に日本がなる必要がある。いわば「債権国型金融戦略」だ。 金融立国と言うと反対する向きも少なくないしかし、金融は決して軽視すべきではない。金融と実業は車の両輪なのだ。さらに金融の本質は情報である。金融業の発展は情報の集積につながり、産業発展を促す。アジアと世界の金融ハブとしての高度な金融業を育成していく必要があるのだ。

 日本の銀行に代表される金融機関はすべて「債務国型」つまり資本不足を前提に設計されてものだ。日本の金融機関の傷は浅いと言われているが、これは残念ながら間違いだろう。海外の債券に巨額の投資をしたり、国内株式を大量に保有している日本の銀行の損失が表面化してくるのは時間の問題だと思う。そうなった時には、国が一気に資本を注入し、金融システムを守らなければならないが、それと同時に銀行のビジネスモデルの根本的な転換を迫らなければならない。つまり「債権国型」への転換である。

 金融を債権国型に転換するには、資産運用業の強化が不可欠だ。それを正しく発展させるには、情報開示基準の設定や、独立取締役の活用などコーポレートガバナンスの強化が不可欠になる。会計基準を国際水準にまで引き上げるのは当然として、債権国として資本を守るには、さらにもう一段厳しい情報開示ルールを課していい。開示ルールの厳格化を、世界でリードすべきは日本である。

 資本市場も同様だ。投資家が世界一安心して投資できる場にすることが債権国の責任である。取引所の上場基準はむしろ厳格化して、日本市場のブランド力を高め、外国企業の上場を促進したい。安倍内閣が打ち出した取引所の総合化も加速すべきだ。

 世界で有効需要が縮小する中、アジア地域の経済発展を支える幹線道路網や橋、治水といったインフラ整備はまだまだだ。日本が企画構想力をもってアジアへの資本供給基地となることで、アジアの成長を早期に回復させ、長期に持続させる手助けをすることが可能だ。アジアで日本資本を活用することには長期的意味がある。円が大量に投資されればアジア圏での国際通貨としての地位を得ていくだろう。すでに各界で議論されている「東アジア経済圏構想」を推進したい。欧州連合(EU)が通貨統合まで50年以上の歳月をかけたことを考えながら、経済関係の強化で将来の通貨統合を構想すべきだろう。


(5)日本を安全・安心の中心地に

 グローバル化した社会の中で、日本だけが安全・安心な国であることを目指すことはもはや難しい。国際社会との関わりを強化する中で「安全・安心」を追求することが重要だ。とくに近隣であるアジアとの関係の中で「安全・安心立国戦略」を取るべきだと考える。

 その大前提は、すっかりほころびが目立つようになり、国民の信頼を失いかけている医療、介護、年金、障害者、子育てなど、わが国の社会保障制度を財源を含めて抜本的に見直すことだ。

 その上で、まず医療だ。今日本では救急医療の崩壊が深刻な問題になっている。これを早急に立て直すことは先進国として当然のことである。

 新生児集中治療室や24時間型救急治療室(ER)の整備も課題だが、ドクターヘリや小型ジェット機の活用などを格段に進めてはどうか。数を絞り込んだ上で、ヘリポートや小型機用滑走路を備えた救急拠点を整備すれば、広域をカバーする質の高い救急医療が可能になる。滑走路があれば、アジア地域からの救急患者の受け入れもでき、アジアの安全・安心の中心となることも夢ではない。先端医療の中心地作りも必要だ。全国に先端医療センターを設置すべきだが、同じものを各地に作るのではなく、各医療分野ごとに全国数ヵ所に集約し高機能化する。各地に分散している医学部の集約・高機能化も必要だ。

 災害対策でも日本の知恵と経験をアジアや世界に生かしていきたい。まずはアジアまで含めた広域の災害援助体制を整備することで、日本全国の援助体制整備につなげることができるだろう。日本の金融保険技術を活用したアジア版自然災害保障制度の構築なども考えられる。

 「食」の安全・安心はもはやわが国だけでは成り立たない。消費者庁を早期に設置し、消費者の視点に立った行政を推進したい。その際、食の国際安全基準作りを早急に進め、アジア諸国とともに安全な食品を製造し消費する体制を構築する。日本食が世界でブームになっている好機をとらえ、日本の安全な食材生産や食品管理技術などを、積極的にアジアや世界に広げていく。

 食の基本である農業、漁業の整備も大きな課題だ。従来、低付加価値・低賃金・低成長の代表的産業と思われてきた「農林水産業」を抜本的に見直し、再生する。低生産性の産業として放置されてきた農林水産業は、逆に潜在力を秘めている。日本の農林水産政策を「成長力のある産業を創る」観点から見直していく。

 さらに2番目の「新・開国戦略」の裏返しだが、人口が減少する中で海外から働き手やってくるのは必然である。なし崩し的に外国人労働者を受け入れるのではなく、きちんとした制度を早急に整え、外国人の居住権や社会保障番号の整備などが必要だ。もはや鎖国ができない以上、隣人として受け入れる外国人には生活者としての権利と義務を保障し、一方で犯罪目的でやってくる外国人などは徹底的に排除する。さもなければ、国民の安全・安心を守ることはできない。

 以上、5つの戦略を早急に実行すべきだと、私は信じる。

 危機に直面した今、一方で日本はすべての局面で大転換する好機を迎えている。国家のリーダーが自らのビジョンの旗を掲げ、国民と絶えず対話しながら、民間問わずに英知を結集し、政策を実現していかねばならない。

 中堅と言われる私も、今や、孫にも恵まれた。その孫の世代が本当に幸せに暮らせる日本を創ることが、私の使命だと考えている。その覚悟が今、私にはある。