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政策提言

2019/03/19 【最新の政策提言】

「第13回 日本・シンガポール・シンポジウム」にて、日本・シンガポール友好促進議員連盟会長として挨拶を行いました。

「第13回日本・シンガポール・シンポジウム」における、塩崎恭久日本・シンガポール友好促進議員連盟会長挨拶【PDF】
  
第13回日本・シンガポール・シンポジウム 
塩崎恭久 議員連盟会長講演

タン・ウーメン上級政務次官、鈴木外務大臣政務官
トミー・コー共同議長、野上共同議長、
並びに御列席の皆様、

 日本・シンガポール友好促進議員連盟で会長を務めております衆議院議員の塩崎恭久でございます。昨日はクローズド・セッションにおいて、幾つかのテーマについて有意義な意見交換が行われたと伺っております。本日は、オープン・セッションということで、この特別な機会に、皆様の前でこうして御挨拶できることを大変光栄に思います。
 
 私は、議連会長として、長年、日本とシンガポールの友好親善、また、相互理解の促進に向けて、活動を行って参りました。昨年で言えば、テオ・チーヒン副首相、ヘン・スィーキェット財務大臣、ビビアン・バラクリシュナン外務大臣が訪日した際に意見交換を行いました。また、昨年は2回シンガポールを訪問しましたが、その際には、私が厚生労働大臣を務めていた際のカウンターパートである、ガン・キムヨン保健大臣やGICの幹部などとも意見交換を行いました。本シンポジウムには、過去6回参加させていただいております。本日も有意義な意見交換が行われることを期待しております。
 
 昨今の東アジアを取り巻く地政学的な緊張(geopolitical tension)と地経学的な摩擦(geoeconomic friction)は、地域に大きな不安と緊張をもたらしています。米中関係の緊張も、日シンガポール両国がともに注目し、向き合っていかなければいけない課題です。
 
 しかし、迫り来る不確実性の下で、法の支配、自由貿易という基本的な価値観を共有し、ともに科学技術などにおけるイノベーションを最も大切にする日本とシンガポールの長く固い絆は、深い暗闇に指す一筋の光明のように、地域の安定と発展において、ますますその重要性を増しています。
 
 例えば、戦後の核不拡散レジームに対する露骨な挑戦や、アジアにおける領土・海洋を巡る緊張を解決していく上では、両国が重んじる国際法の枠組の実効性をより力強く打ち出し、ASEAN沿岸諸国の海上法執行能力支援など、協力できることが多くあるのではないでしょうか。
 
 また、世界的な保護主義の広がりを断ち切り、経済的緊張を緩和していく上では、何よりもまずTPP11を両国が中心となって大きく動かすことにより、改めて自由貿易の恩恵を世界に発信することが可能となると考えます。
 
 我々の目の前には、第4次産業革命と呼ばれる一連の技術革新により、国民国家の枠組を超えた新たなビジネスやサービスが誕生しつつあります。両国ともに、国家・国民の生き残りのためには、デジタル革命、AI、IoTをはじめとする広範な「イノベーション」をどう促進し、経済成長、国民生活の質の向上、社会保障の充実や持続可能性の実現に結び付けていくかが重要な政策課題となっています。一方、データの取扱いやネットビジネスに対する国際的な課税や、競争政策上の規制の在り方とその国際調和を通じて、それぞれの国の消費者利益を最大化する手立てのあり方など、次世代の社会経済ルールづくりや科学技術研究開発振興、それらを支える教育改革なども、両国が共に直面している課題であると同時に、大きな潜在力を持っている分野であると言えましょう。
 
 こうした地域的又はグローバルな状況を背景に、両国はお互いに学び合える点が多く存在します。
 
 かつて、リー・クアンユー元首相は、人口問題に関連し、「私が日本人だったら未来が見えないので、おそらく外国に移民する」と語られたことがあります。初めてこのお話を聞いたときには、「どういう意味だろうか?」と思われた方も多かったかもしれませんが、リー・クアンユー元首相の発言の全文を読むと、人口問題に有効な手を打てない日本に対する慈愛にあふれた警鐘であることが分かります。そして、その言葉から少し時間が経ってしまいましたが、日本はこの4月から、外国人労働者への門戸を広げる一歩を踏み出します。
 
 今や高齢化社会への対応は、日本だけの問題ではなく、両国共通の課題です。皆様ご承知のとおり、日本は1975年に出生率が2%を割り込んで以降、2008年に人口のピークを迎え、2025年には3人に1人が65歳以上となることが見込まれる、超高齢・人口減少社会を迎えようとしています。一方、シンガポールも近年の出生率は1.2%前後と日本よりも低く、将来のさらなる少子高齢化に備え、既に様々な政策対応をされてきている事を、貴国の政策責任者から学んで参りました。
 
 最先端の超高齢社会に向かう日本は、国民の健康寿命の延伸と、保健医療制度の持続可能性の同時達成に挑戦し続けています。
 
 シンガポールと同様、保健医療サービスのデジタル化・システム化を進め、ビッグデータ化、PHR(Personal Health Record)化、そして科学的介護の実現などを図り、健康サービスの質向上、生産性向上の実現を目指すとともに、それらを通じて国民自身による「予防と自己管理」の強化を、いわば「国民運動」として推進しようとしつつあります。新たな成功モデルを生み出し、シンガポールにも役立てれば良いが、と思っています。
 
 私は、厚生労働大臣時代に、「我が事・丸ごと」の「地域共生社会」づくりの取組を始めました。

 我が国の福祉は、長らく「高齢者」、「子ども」、「障がい者」と言った縦割りで取り組んできましたが、少子高齢化、人口減少が進む中、最早そのような余裕はありません。制度、分野ごとの縦割りを排し、「支え手」、「受け手」と言う固定的役割から脱し、いわゆる「弱者」と認識されてきた人々も、持てる限りの能力一杯に他者を支援する、と言う「地域共生社会」を作ることが、これからは一層重要となります。そのためにも、所属するコミュニティづくりに他人事ではなく、我が事として参画して、普段から助け合いの仕組みを構築しておくことが重要となります。
 
 また、日本は、少子高齢化を克服し、持続的な成長の実現に向けて、現在、AIやロボットを活用した様々な取組を始めています。一例を挙げますと、AIやロボットの導入により、自動車の運転や物流等で自動化が進むことにより、交通事故の削減や地域における移動弱者の減少、安全・安心な自動運転社会につなげられます。さらに、人手不足に直面する物流現場の効率化につながり、過度な業務負担も大幅に軽減されるでしょう。シンガポールにおいても、AIやIoTの研究開発を加速させていると承知しており、両国がこれらのイノベーションの分野で連携を深めることで、少子高齢化を克服し、持続的な成長を実現していくことができるのではないでしょうか。
 
 日・シンガポール両国がそれぞれの取組・経験・教訓を第三国・地域に対し共有することで、今後世界的に広がる高齢化社会の対応面で国際社会に貢献できるのではないかと考えます。その共有の仕方につきましては、両国政府の工夫に委ねることにしたいと思います。
 
 本シンポジウムは今回で13回目を数えます。毎回この場では、政府間の公式な議論の場ではなかなか出て来ないような両国の本音や野心的なアイディアが出て来ます。しかしながら、それが、実際の日シンガポール政府間の取組に必ずしもつながっていなかったように思えます。本シンポジウムをより有意義なものとするために、来年からは、両国政府に対し政策提言をし、翌年それをレビューするようにすることも一案ではないかと考えます。
 
 人口が少ないがゆえに、トップダウンによる不断の改革に取り組むことで様々な課題を乗り越え発展してきたシンガポールに対し、人口がより多く、戦後の成功モデルがあるがゆえに、改革のスピードが遅い日本。真の友情は、おべっかや建前では決して生まれません。お互いの成功や失敗の経験からどのように学び合い、それぞれの国家戦略をより良いものにしていくのか、是非ハラハラするような本音の議論をぶつけ合い、両国の未来につながる具体的な行動に結び付けることを期待いたします。
 
 最後になりますが、日本とシンガポールが共に発展し、さらに地域と国際の平和と安定に今後も貢献していくことを祈念して、私からの挨拶とさせていただきます。
 
 ご静聴、ありがとうございました。
 
(以上)