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やすひさの瓦版 Yasuhisa's Kawaraban やすひさの季刊誌をまとめています

1998/03/30

やすひさの瓦版(第35号)

「接待文化」を超えて

 大蔵省、そして遂に一国の信用の源泉とも言うべき日銀から「収賄容疑」で逮捕者を出してしまいました。この際、出すべき膿は全て出し、新たなスタートを切らねばなりません。

 真相はともかく、少なくとも異常とも言うべきわが国の「接待文化」とそれを前提とした金融界・公的部門の人々の行動が、日本の金融行政や金融政策の現場に深く染み込んでいたことを露呈した形です。考えてみれば、こうした「文化」や「慣習」は、おそらく他の業界・省庁にも共通した問題であろうことは容易に想像でき、更に言えば、日本人の家庭生活パターンや夫婦の関係、子供と父親の関係までをも決定付けてきたのではないでしょうか。癒着や腐敗の温床となるこうした伝統を改め、スッキリ軽く効率的な公共政策遂行スタイルを確立し、同時に健全で人間らしい社会・家庭生活ができる仕組みを取り戻すことが大切ではないでしょうか。

 もっとも行政府などの人が業界の実態や本音を知らずに良い仕事ができるはずはなく、欧米でもいろいろな形で接触は持っています。しかしその「情報交換」のスタイルは、極めてオープンかつドライ。英国では役人が外部の人と昼食を共にするようなときはその情報が役所内のコンピューターシステム上で公開されているようです。日本のように、秘密裏に、どっぷりウエットな関係で、休日にゴルフまで一緒にしながら長時間仕事の話をするというスタイルは、いみじくも公共政策を担う者には最早相応しくないでしょう。「李下に冠を正さず」との考え方は東洋には古くからあったはずです。