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やすひさの瓦版 Yasuhisa's Kawaraban やすひさの季刊誌をまとめています

2007/11/26

地方の活力、日本の再生(瓦版75号)

募る現状打破への期待

 この夏以来、松山を中心に多くの方々と語り合ってきました。痛感することは、様々な要因により、地方に暮らす人々に本来の元気さが乏しくなり、確かな夢を持てていない、そして、何とかして現状を打開して欲しい、と思っておられる、ということです。この現実が、他の短期的要因と相まって、先の選挙での政府・与党に対する国民の厳しい審判を招いたと重く受け止めています。
確かに、中央と地方の格差、すなわち東京一極集中問題、ワーキングプアや非正規雇用に代表される所得格差、税・社会保障負担の増加、年金不信、農業や公共事業関連業界の低迷、シャッター街の広がり、中小企業の伸び悩み等々、様々な問題が表面化し、これらが皆さんの心に重しとなってきていることは疑いもありません。目下、さらなる政策対応に全力投球中です。

三つの反省

 このところ、政治が必ず心掛けなければならない三つの事が必ずしも十分に実行されず、その事が国民の不信をかったと思います。まず第一に、国民の悩みや苦しみを政治がしっかり受け止めている、問題意識を共有している、ということが国民にしっかり伝わらねばなりません。第二に、国民生活の将来像、ビジョンとそこへ至る道行きを明示せねばなりません。そして第三には、そうした政策を分かり易く、繰り返し国民に説明する努力を重ねなければなりません。

正しい診断で正しい治療を

 ここで一つおさえておきたい事は、上記のような問題の多くは、日本だけが抱える問題ではなく、世界各国で共通の問題だということです。例えば、格差の問題は米国や中国でも同根ですし、年金や社会保障の問題は欧州でも深刻です。また、シャッター通りの問題は台湾でもみられます。すなわち、小泉改革や安倍改革が全ての問題をもたらした、というような単純な問題ではないということです。従って、ここは改めて問題視されている点の原因解明を冷静に行い、世界的な視野をもって、一つ一つの問題に合った対策を緻密に、早急に打つべきです。まさに、お医者さんが誤った診断をすれば、治療を間違えてしまうのと同じです。また、井の中の蛙で満足せず、世界で最良の治療法を編み出し、断行していくことが大切でしょう。

与野党協議で「答えの出る政治」を

 ここ一年間私たちは、変わりゆく世界と人口減少の下で日本の生き残りと国民の活力回復のため、様々な政策に一段と果敢に取り組んできました。格差問題についても、本年2月には「成長力底上げ戦略」をまとめ、職業能力開発、就労支援、中小企業の生産性向上、最低賃金の引き上げなどを通じて、働く人々全体の生活の底上げを図りつつあります。地域力再生機構設置に加え、新たな地方活性化策も幅広く導入します。
今後、持続可能な社会保障、財政再建の実現、積極的な外交・安保政策推進などに向け、さらに勇気ある政策実現が不可欠です。財政再建については、国民が合意できる新たな年金制度など社会保障制度全体のあり方と一体不可分であり、その本格的議論なしに増税論議ばかりが先走ってはいけません。「増税派か成長派か?」との単純な対立構図ではベストな答えは生まれません。やはり、まずは@ムダを排すべく歳出を徹底的に見直し、同時にA経済成長による税収増の確保を図り、Bそれでも足らざるものは国民に正直に増税を必要最低限提案する、というのが筋だと思いますし、何よりも、前提となる社会保障制度全体構想が不可欠です。
この際、こうした根本的議論を衆参ねじれの中で、与野党が腹を割って地道に議論をし、一つ一つ結論を出すことが何よりも大事ではないでしょうか?かつて参議院で過半数割れをした98年の金融国会で、我々「政策新人類」による与野党実務者協議が官僚抜きで金融再生法を作り上げ、その法律により金融危機を克服した実績があります。また、スウェーデンが与野党一体で新たな年金制度を構築した歴史に日本も学ぶべきです。
いつまでも「答えの出ない政治」で時間の浪費をする余裕は日本にはありません。決して国民生活を政治の犠牲にしてはならないのです。