2006/08/31
やすひさの瓦版(第70号)

7月5日未明、北朝鮮は国際社会の警告を無視し、弾道ミサイルを発射しました。私は南アフリカ出張を切り上げ、直ちに帰国、麻生大臣と共に事態に当りました。98年のテポドン1発射の際には、日本列島の頭越しに三陸沖に着水しながら、国連安保理はプレスリリース発出に留まりましたが、今回は官房長官を中心に対策チームが政府内に密かに設けられるなど事前準備も万端、ミサイル発射後、日本は直ちに安保理に国連加盟後初めての決議案を提出、麻生外相、安倍官房長官のぶれない連携の下、日本が中心的となって全会一致での決議案採択に漕ぎ着けました。
今回の政治主導外交は、日本外交史における新たなページを開いたと思います。ただ、これはたまたま日本が安保理メンバーであったため、迅速かつ強固な外交を展開できましたが、来年から3〜6年間は日本は同委からはずれてしまいます。国益を守り、国際社会で責任ある平和外交を政治主導で行うためには、やはり安保理常任理事国入りが必要です。本当の意味で戦後体制を脱するためにも、次の政権は、腰を据えた「安保理入り戦略」をこの際改めて立て、外交方針の中心の一つにすべきだと思います。
オープンな日本、より貢献をする日本と日本人
この9ヶ月余り私は外務副大臣として、世界において日本と日本人が本来の力に見合った活躍をしていない一方、日本国内も、外に向かって「良いヒト、良いモノ、良いカネ」を十分受け入れるオープンな体制になっていないことを実感してきました。今後日本が、国際社会において実力相応の貢献をし、国内的にもよりオープンで、活力ある安定したパワーとしての地位を確保し、生き残るためにはどうするべきかを模索すべく、6月に「世界の中の日本・30人委員会」を立ち上げました。内外のエコノミスト、外交専門家、ノーベル賞受賞者、経営者、NGO、宇宙飛行士、アニメ関係者、若手官僚など、幅広い分野で活躍する実に多様なメンバーにお集まり頂き、@日本の規範形成力、A日本人の存在感、B日本のアピール力、C日本の受容力、という問題意識の下、「この国のかたち」を議論し、8月末にも提言をとりまとめる予定です。
戦後の日本及び日本人の国際社会との関わりは、ある意味では明治維新の時期と比べても希薄だったかもしれません。例えば、手段としての英語力が極めて脆弱な中、国際機関などで活躍する日本人は極めて少なく、世界基準設定の現場にも日本人は余りいません。そして、日本独自の魅力や強さが存在しながら世界へのアピール力も不足、さらに日本で活躍する外国人はまだまだ稀です。
9月20日には自民党総裁選挙があり、日本の新たなリーダーが誕生します。世界の中で日本がどうあるべきか、長期的視野に立った総合戦略が必要です。
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