1997/01/01
やすひさの瓦版(第30号)

かつて社会科の授業で、民主主義の基本原則のひとつとして「三権分立」という仕組みを学びました。すなわち「立法(国会)」「行政(霞ヶ関などのお役所)」「司法(裁判所)」の三権が独立し、お互いにチェックし合う仕組みで、その機能を「チェック・アンド・バランス」と呼ぶことはご存知の通りです。
戦後五十年あまりの日本政治を振り返ると、この「チェック・アンド・バランス機能」が行政府と立法府の間で充分には確立していなかったと思います。本来は、国会議員、すなわち政治家が法律や制度の仕組みを作り、行政官はそれを忠実に実行する、というのが自然な姿ですが、戦後日本では優秀な官僚が法律も政策も作り、政治に対し圧倒的優位を保って参りました。
戦後の目覚ましい経済発展がこうした体制の下で達成されたことは事実ですが、昨年起きた住専問題や、薬害エイズ問題、厚生省での不祥事、自己増殖を続けるような公益法人による不明朗な出来事などを検証してみると、政治による役人に対するチェック機能が働いていなかったことは明らかです。さらに、政府部内では、役所同士や同一役所内での「チェック機能」にも欠け、なれ合いや主従関係の下で多くの問題を引き起こしてきたのも否定できません。
大蔵省改革や日銀法改正を嚆矢とする行政改革をはじめ、五つの行革に共通することは、政治がリーダーシップを本格的に発揮し「日本型民主主義の確立」を目指さねば、いずれの行革も達成できないことです。しかしその際大切なことは、宮沢元総理が言われた通り、役人と対決ばかりするのではなく、むしろお互いに知恵を出し合い、役人と政治家が一緒になって新しい日本の姿を共につくる気構えだと思います。
私たち自民党は「橋本ビジョン」により改革の方向性と決意のほどを示しました。そしてその具体像を作り上げ、実行に移すため、精一杯頑張って参りたいと思います。
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