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2012/09/06(木) NO.730号 

国会同意を得ない原子力規制委員会は法律違反だ

 昨年来より私が法案作成に奔走し、このメールマガジンでも度々ご紹介している原子力規制委員会について、昨日、今日と、野田総理が国会の同意を得ずに「特例」措置を持って委員長と委員を任命するとの記事が報道されている。

 原子力規制委員会の委員人事については、自公は早期に審議すべきと主張しているが、民主党内で賛否が割れてしまい、党としての意見をまとめることができなくなってしまっている。そのため、緊急事態下においては国会の同意を必要としない、原子力規制委員会設置法附則第2条第5項の「特例」をもって、総理任命を行なおうとしている。

 しかし、この第5項には、「国会の閉会又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないとき」が、「特例」の条件と書かれている。7月26日に人事案が国会に提示され、8月1日には所信聴取が行なわれた。それから1か月以上あったことも考えると、「閉会もしくは解散のせいで同意を得ることができなかった」ケースとは到底言えまい。この場合、第5項「特例」は適用できないはずだ。

 緊急事態下の、国会開会中の人事の任命に関する規定があるのは、同じ附則第2条の第3項だ。そこには、「国会又は各議院の休会中の期間を除いて10日以内に当該同意に係る議決をしないとき」、国会の同意なしで総理が任命できるとされている。今回はこの条項が適用されるはずだ。しかし、政府は何故か、人事案の提示はしたものの、この第3項の発動要件である緊急要請を行なわなかった。

 会期中に国会同意を緊急要請せず、閉会まで待っていれば、事後も含め国会の同意が一切不要となる。当然、そんなことを法律は許していない。開会中は第3項が適用されるからだ。「特例」の第5項が適用される、「国会の閉会又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないとき」とは、明らかに、法律の施行日が会期末まで残り10日もない日だったとか、天災等のどうしようもない理由で本会議を開けないまま会期末が来てしまったなど、開会中であっても物理的に閉会時と変わらない場合などに限られる。今回、民主党内がまとまらなかったからとして、第3項ではなく、「特例」の第5項を適用するのは、明らかに法律の趣旨に反している。

 そもそも三条委員会は憲法上特殊な行政機関だ。憲法65条では「行政権は、内閣に属する。」とされているが、三条委員会は内閣の指揮監督の下に置かれずに行政権を有している。それに対し、国会同意人事が政治的中立性と民主的統制を及ぼすことで、三条委員会の正統性と合憲性が担保されている。国会同意人事がない三条委員会は、違憲であるとすら言えなくもないのだ。

 また、「特例」において、次の国会での事後同意まで不要とした背景は、原子力災害対策特別措置法第15条に定める緊急事態宣言が発令されている中で、事故の対応が一分一秒でも遅れてはならないという危機意識からだった。しかし、既に事故発生から1年半以上余り経過し、更に言えば次の臨時国会の開催は10月の予定だ。その頃に至ってもなお、同意人事を諮る余裕すらない状況だとはとても言えまい。

 政府は法律に定められた通り、次国会において国会同意を諮らなければならない。定められた民主的手続きを経ない原子力規制委員会は、明らかに法律違反だ。

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