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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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1999/12/30(木) NO.14号 

あーあ、遂にまたやってしまった・・・

昨晩、与党3党の『政策責任者』は、ペイオフ解禁を1年間全面凍結することを決めてしまいました。介護保険、企業・団体献金問題、定数是正問題等々に続いて『またか!』との想いで、ビッグバンのドラフトを作った者として、憤りを通り越してなんとも表現できないむなしさを私は感じています。たった3%のシェアしかない信用組合、それも1000万円を超える部分の預金はさらにその5分の1、つまり全体の0.6%の問題を口実にビッグバンの要であるペイオフ実施を先送ることにしたのです。ペイオフ解禁凍結の意味することは、引き続き破綻金融機関の預金者へは、国民全員の税金で不足部分を補填してあげます、ということ。ひとの失敗を税金で埋め合わせることをいつまでも国民が容認するとは思えません。

案の定、海外の反応を見ると、ファイナンシャル・タイムズやエイジアン・ウォールストリート・ジャーナル、ダウ・ジョーンズなど、一斉に『今回の決定は金融構造改革の先延ばし』との批判を展開しています。政策責任者の一人が『国際的にも問題になる』との指摘に対し、『これは条約ではないのだから、国際公約ではない』と発言していましたが、指摘の趣旨はそのようなレベルの話ではなく、単に『海外があきれますよ』との警告だったのが理解できておられなかったのです。

先の『商工ローン問題』への対応としての出資法の上限金利引下げの決定も、『リスク・プレミアム』との概念をまったく理解せず、『目ん玉よこせ』『腎臓売れ』と言った極端な脅迫的取り立てに感情的反応をし、上限金利をいきなり29.2%に下げてしまいました。これは与党3党のみならず、最後は全会一致。国会全体が経済原則を無視している感じになってしまいました。予想通り今になって地方の中小クレジット会社や、それらと一心同体の商店街から悲鳴があがり始めており、筋違いの対応が政党の支持基盤にダメージを与えてしまったことに政策責任者も段々と気づいていくでしょう。

いずれにしても、こんなに『ブレ』の大きい政治を続けていけば、政治への信頼は地に落ちてしまいます。国家にとって、正しいリーダーシップや精緻なガバナンスの仕組みが如何に大切か、早く偉い方々に気づいていただきたいものです。