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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2000/03/17(金) NO.27号 

銀行業への異業種参入は歓迎。しかし哲学を!

今朝の自民党・金融問題調査会は、イトーヨーカ堂とソニーの役員においでを頂き、銀行業への参入についての考え方を聞きました。加藤紘一先生もご出席で、他にも大臣経験者がいつもより多く、問題への関心の高さを感じました。

私の基本的な考えは、戦後長らくがんじがらめの規制を受け、ダイナミズムに全く欠いてきた日本の金融界を活性化するためには、こうした「外の血」を受け入れ、古い銀行からは出てこない発想による刺激を認めるべきだと思います。イトーヨーカ堂は9000もの拠点を全国に持ち、その流通での優位性を活かした消費者向け金融サービル提供を、ソニーはインターネットのノウハウを駆使した「E-バンキング」のフロンティア開発を是非お願いしたいと思います。

ただ、ここで「振り子が振れやすい」われわれ日本人は冷静な議論も同時にしなければなりません。昨年米国では、今後異業種による銀行業への参入を禁止しましたが、なぜでしょうか?英国でもルールをしっかり打ち立て、条件付で認めているのはどうしてか?
やはり、銀行業はどこでも「中央銀行のレンダーオブラストリゾート(最後の貸し手)機能や預金保険制度など、政府による補助金的支援」を受けており、異業種経営者が銀行業に参入することにより、そのメリットを利用し、もともとの分野での競争条件を歪めるかもしれません。また、親会社が銀行を悪用し、不当に資金提供を受けたり、ライバル企業へ影響力行使をすることも考えられます。さらに、その銀行が破綻したときの預金者などの保護のために親会社の責任をどうすべきかも重要です。

やはり、銀行は特殊であり、それだけに扱いには冷静な哲学が必要です。『異業種が銀行業に参入してくるなら、逆に銀行も異業種に参入できるようにするべきだ』などと言う発想では、結局過去の歴史での失敗を繰り返すことになってしまいます。