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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2013/01/13(日) NO.748号 

「失われた20年」克服へのモードチェンジ

 今回の緊急経済対策で最も大事なことは、わが国が政策の転換、モードチェンジをするんだ、ということを国内外に明確に感じてもらうことである。皆の気持ちを前向きにし、先行きに対してなんとなく明るい希望を持って頂き、企業経営者には新たな投資への意欲と計画を持ってもらうこと。そして、働く人々にも自分の担当分野などで新しいことを企画し、トライしてみよう、と考えてもらうようになること。さらに海外投資家にも、やはり日本に投資しよう、と考えてもらうこと。これが最も大事だった。

 その意味では、安倍総理が11日の記者会見で、「萎縮し続ける経済」から「強い経済」を目指す、と国家の基本政策の大きな転換を宣言し、民主党政権下での「縮小均衡の再配分」中心の政策から、「成長による富の創出」に向けた政策へと大胆に転換することを明確化したことの意味は大きい。

 それは、新しくなりつつある自民党を中心とする新たな政権が、昨年後半からの経済の落ち込みが極めて深刻で緊急対応が必要である、との認識を持ち、同時に、「失われた20年」という言葉に込められた、わが国が経済・産業の構造的問題を抱え、今度こそ問題先送りすることなく、この根本問題に正面から逃げずに取り組み、「強い社会保障」、「強い外交・安全保障」、「強い教育」等を実現するという、二重の意味から来る基本姿勢の転換だ。

 批判することが使命の新聞紙上などでは、「崩れる財政規律」、「カンフル剤か劇薬か」など、懸念の言葉が躍っている。確かに、政府が前面に出過ぎる印象をもたれないよう民間金融、PPPやPFIなどによる民間活力フル活用など、工夫はすべきと思うが、ここは、政権発足からたった17日目にして、世界の日本に対する見方を変え得た事実を、まずは評価すべきだろう。

 ただ、これからは、寄せられている様々懸念に応えながら、骨太の哲学を持って日本経済の再生を図らねばならない。やはり「官僚統制、社会主義国家」ではなく、「民間中心の、規律ある、そして温かい資本主義国家」として、活力ある日本を取り戻さねばならない。これこそが、先月の総選挙での我々の国民に対する約束だったはずだ。

 今回の緊急経済対策策定、補正予算の編成は、文字通り緊急ゆえの荒削りさもあった。しかし、すでに準備が始まっている平成25年度予算編成に当たっては、そうはいかない。再起動を始めた経済財政諮問会議が復活を決めている「骨太の方針」のような、よって立つ基本方針、物差しを示すことが大事である。

 哲学なく霞が関の諸官庁や自民党内各部会などがばらばらに主張した結果、ベクトルが決まる、ということでは、いけない。ここは、日本経済や日本そのものの復活の哲学が必要で、当然その中には、子供たちの世代に安易なつけ回しはしない、との財政規律もなくては、持続可能な経済・社会とならない。来週、政府・与党でこの点をしっかり詰めないといけないと思う。